4つの観点からみる就労ビザが失効した場合の注意点〜就労編〜

苦労してビザの申請(正確には、「在留資格の申請」)をして、やっと手に入れた就労ビザにもかかわらず、有効期限の管理が甘く、気付いたら間もなくビザが失効しそうである場合、または失効してしまったという場合、どのように対応することができるのでしょうか。その点に関しての注意点をまとめてみましょう。


就労ビザの有効期間を確認しましょう

就労ビザ(在留資格)は、「5年、3年、1年又は3月」というのが基本パターンです。たとえば「経営・管理」では先の4つの基本期間に加えて「4月」というものもあります。「演劇、演芸、演奏、スポ―ツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動」では、基本期間に加えて、「6月」や「15日」が加わります。

 

このように就労ビザには決まった有効期間がありますから、いつまでなのかを最初にしっかりと確認しておくことが大事です。なぜなら在留期間を超えてしまうと、不法残留者となってしまうからです。入管法違反を問われ、退去強制処分や刑罰を受ける可能性があります。

 

このような不利益を被らないように、在留期間満了前に、ビザ(在留資格)更新の申請をしなければならないのです。6か月以上の在留期間がある場合は、有効期間満了の3か月前からビザ更新の申請を受け付けてもらえます。

 

3か月以内の在留期間であれば、その在留期間の2分の1以上経過したときから申請が可能です。このスケジュール管理を外国人だけでなく、会社サイドもしっかりと行っていくことが、優秀な人材を確保するという意味で、とても大事です。


就労ビザ更新申請の最中に、在留期間の満了日を迎えたとき

就労ビザの有効期間満了日前に、あわててビザ更新の申請をしたとしても、入国管理局が満了日までに大急ぎで申請を処理してくれるということは、残念ながらありません。就労ビザの有効期間満了日は、無情にも迫ってきます。

 

しかし、日本政府も多少の配慮をしてくれています。ビザ更新の申請を審査している最中に在留期間が経過しても、「①審査結果が出るとき」、または「②在留期間満了日から2月を経過する日」のいずれか早い日までの間(これを「特例期間」といいます。)は、適法に在留することができるようになっています。

 

更にこの時例期間内は、引き続き就労することも全く問題ありません。外国人の方は、今まで通りに仕事をすることができます。


うっかりして就労ビザの有効期間満了日を過ぎてしまったとき

会社も外国人本人も、互いに仕事を順調にこなしていくことにばかり気が向いてしまい、気が付いたら就労ビザの有効期間満了日を過ぎてしまったということも、ないとは言い切ることができません。このような場合には、もはや特例期間というものは認めてもらえません。

 

残念ではありますが、不法残留者扱いとなり、退去強制処分となってしまう可能性が高いと言えます。しかし、それでも「特別受理」や「在留特別許可」を認めてもらえることもあります。

特別受理とは

「特別受理」とは、天災、事故、疾病などの事情が認められたり、その他に入国管理局が認める場合で、かつ、更新許可が確実と見込まれたりする場合に、就労ビザ更新申請が受理されるというものです。入管法上に根拠はないので、条件が調ったからといって、必ず受理されると油断するのは禁物です。単なる「うっかり」では、受理されるのはかなり難しいようです。

 

そのため、特別受理となるために資料を用意するのは当然であり、かつ申請理由書を審査官に納得してもらえる内容に書き上げることが注意点として挙げられます。特別受理が認められるまでは、就労することはできなくなります。

在留特別許可とは

特別受理が認められないとなると、法務大臣の特別な恩恵である「在留特別許可」を得ることになるのですが、就労ビザのケースで認めてもらうのは現実的ではないかもしれません。


この在留特別許可を取得できる条件は、在留期間を経過した日数が短く、かつ在留状況が良好な場合です。そして、日本人や永住者と密接な身分関係にあったり、日本への定住性や人道上の在留の必要性があったりするのです。そのため、単なる就労ビザで就労しているということだけでは、「在留特別許可」を得ることは難しいと思われます。

 

しかし、日本人や永住者との密接な身分関係がなくとも、単純に今までと同じ就労ビザを取得できたというケースも、ゼロではありません。在留特別許可を申請しているということは、申請前から既にオーバーステイの状態ですから、やはり就労は認められませんので、お気を付けください。

まとめ

就労ビザの有効期間については、外国人本人任せにせずに、会社サイドでもしっかりと確認しておくことが大事なポイントです。もしも有効期間満了日を過ぎてしまったら、不法滞在となり、就労はできなくなってしまいます。

 

最悪、有効期間満了日の前日にでも、就労ビザ更新の申請をすれば、引き続き就労することが可能になります。有効期間の満了日は絶対に忘れないようにしましょう。

 

 

行政書士齊藤学

千葉県行政書士会会員・葛南支部船橋幹事。 25年間の会社勤務経験を経て2016年に行政書士として独立。市民法務と国際業務を中心に活動し、ビザの申請取次業務にも従事。

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