ビザ申請時の注意点~申請書類編~

ビザ申請における注意点として、決して忘れてはならない言葉があります。それは“法務大臣の裁量”という言葉です。つまりビザの申請・変更(正確には、「在留資格の申請・変更」)は、法務大臣の胸三寸だということを、肝に銘じなければならないのです。

ではどうすれば、“裁量”の網を潜り抜けられるのでしょうか?

答えは、“ビザ申請書類作成準備を十分にする”です。

そこで、申請書類作成の準備をする注意点を確認しておきましょう。

ビザ申請書類は、証明書類!?

ビザ申請書類は記入欄が小さいため、多くのことを記載するスペースがありません。そこで、必要最小限度の記載内容を書いただけで終わりとする方が多く見受けられます。

でもちょっと待ってください!

ビザの申請・更新には、“法務大臣の裁量”が認められているのですよね。

その内容で本当に大丈夫だと言い切れますか?

ビザ申請(在留資格認定申請)のケースでの注意点

特に大事な注意点は、嘘を書かないということです。

嘘がばれたときには、ビザの申請許可が下りないだけでなく、「嘘をついた」という記録が残ってしまうからです。

たとえば「犯罪を理由とする処分を受けたことの有無」、「退去強制又は出国命令による出国の有無」、「職歴」など、事実と異なる内容を決して申請書に書いてはいけないのです。

外国人の方の母国のことなんてわかるはずがない、と油断していると、本当に申請が却下されてしまいますから、お気を付けください。

一つのケースをご紹介しましょう。

「技能」でビザの申請(在留資格認定申請)をしたところ、職歴が嘘だということで申請が却下されました。職歴欄にあった、本人が10年間勤めていたという飲食店は、実のところ開業してからまだ8年しか経っていなかったということが分かり、虚偽の申請とみなされてしまったのです。これは入国管理局側が調べ上げて判明した事実です。

このような場合、再度申請をやり直すことは可能ですが、一度嘘をついたという事実が記録されてしまっているため、ビザの申請が通るのは、非常に難しくなってしまっています。

ビザ変更(在留資格変更申請)のケースでの注意点

ビザ申請(在留資格認定申請)のケースと全く同じことが言えますが、追加しておくべき注意点があります。

それが、「変更の理由」です。

ビザの変更(在留資格の変更申請)のケースでは、とにかく「変更の理由」を大事にすることです。

日本に居続けることが、日本の社会に利益をもたらすことになると、アピールしなければなりません。更には、日本に害悪をもたらす悪い人間ではないということも、触れておくべきでしょう

しかし、申請用紙にはそれ程の記載枠がありません。

そこでやむを得ず、「就職のため」、「通訳として働くため」などという必要最低限の言葉を書いておくだけになります。

実際にそれが間違いというわけではないのですが、それだけでは当然に“裁量”の網をうまく掻い潜ることはできません。

そこで「理由書」なるものを別に用意して、審査官に理解してもらうために、より詳しく書き連ねるのです。日本という国にとって有益であり、かつ無害であるということを証明するためです。

申請者が技術者の場合の注意点

ビザの変更申請(在留資格の変更申請)のケースでは、理由書が重要だとご理解いただけたかと思います。そして技術者の方には、更に気を付けるべき注意点があるのです。

どういうことかと言いますと、入国審査官は技術者でないことが一般的だということです。つまり高度に専門的な内容を淡々と書かれても、それを十分に理解できるとは限らないのです。つまり専門的な内容を、一般人である審査官が読んで理解できるように、書き連ねる必要があるということなのです。

高度に専門的な内容を簡易に表現するのは難しいと思いますが、“理由書”はあくまでも“証明書”であることを忘れてはなりません。そのための努力は、証明する側に求められています。

申請書に書いてある内容を把握しておく

ビザの申請書に何が書いてあるのか、実はよくわかっていないという外国人の方が時々おられます。就職先の会社の採用担当者や申請取次の資格を有した弁護士や行政書士に頼り過ぎて、中身を把握していないというケースがあります。

外国人の代わりに、日本語を理解している代理人が申請書を書いた方が、より正しく申請書や理由書を書けそうなので、書いてもらうこと自体は問題ないのです。しかし、そこに書かれている内容に間違いがないかどうかを確認することは、絶対に必要です。これは本当に大事な注意点です。

ごくまれに、より良く見せようとして若干脚色された内容が理由書に盛り込まれることがあります。しかしそれが事実と違うことが判明し、そのせいでビザの申請が認められなかったことがありました。このような悲劇を招かないよう、申請書や理由書の中身は、事前に確認し合っておくことが、ポイントです。

まとめ

決まったことを書いて提出すれば、それで終わりという申請であれば、ビザの申請はとても簡単なのです。

しかし、“裁量”の世界でうまくやるためには、理由書を活用すべきです。そのために何をどのように書くのか、どういう言葉を使った方がよいのかなど、相当の配慮が必要となり、とても難しいのが現実です。

また、日本にとって有益な人物だと主張し、害を及ぼさない人間だということを証明するためのものが、申請書と理由書です。そのため、そこには嘘や偽りが紛れ込んでは絶対にいけません。

外国人が日本に入国・在留するのは、法務大臣の裁量次第です。ただ漫然と書類を用意しても、ビザの申請は承認されません。注意点を十分に理解いただいて、万全の準備の元に、ビザの申請を行ってください。

行政書士齊藤学

千葉県行政書士会会員・葛南支部船橋幹事。 25年間の会社勤務経験を経て2016年に行政書士として独立。市民法務と国際業務を中心に活動し、ビザの申請取次業務にも従事。

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