1から10まで|人材派遣にて外国籍の方を受け入れる場合の注意点

近年、日本では少子高齢化に伴い、労働力の低下により、コンビニや飲食業などで人手不足が相次いでおります。そんな中、日本を支えてくれている外国人労働者が増えていると感じている方も多いのではないでしょうか。最近筆者がよく行くコンビニの定員は日本人の店長又はアルバイトリーダー1人が発注を行い、2、3人の外国人労働者がレジや品出しを行っている光景をよく見かけます。また、同様に筆者が食品工場にて研修を受けていたころ、半分以上が外国人の方々でとても親切丁寧に仕事を教えてくれて、皆仕事にストイックで一生懸命な印象を受けたのを覚えています。

 

さて、そんな外国人の方々の雇用状況ですが、2012年から2017年までの間で約60万人にまで増えています。(ビザの内訳は、「身分に基づく在留資格」25%、「専門的・技術的分野の在留資格」19%、「特定活動・技能実習」21%、「資格外活動」32%。)

 

今回は、今後も増加傾向にある外国人の方々を、直接の雇用ではなく、人材派遣という形で受け入れる際に注意するべき点についてお話ししていきたいと思います。

人材派遣とは

最初に、直接雇用と派遣の違いについてのお話を簡単に。

 

直接雇用と派遣という言葉は、一般的にも用いられますし、皆さんにも馴染みがある制度だと思いますが、法的にはどのような違いがあるのか今一度確認してみましょう。

 

まずは、直接雇用についてです。直接雇用といっても正社員、契約社員、アルバイトパートは、これらの労働契約は原則的に、雇用主と労働者の間で結ばれるという点で共通しています。

 労働契約

 

一方、派遣には、原則として当事者として三者が登場します。すなわち、派遣元(派遣会社)、派遣先(受入れ会社)、労働者です。派遣契約の図式としては、派遣元と派遣労働者の間で労働契約を結び、派遣元が労働者派遣契約を結んでいる派遣先に労働者を派遣し、労働者は派遣先の指揮命令を受けて働くという形になります。

 

労働者に賃金を支払う会社は派遣元なのにも拘わらず、指揮命令をする会社は派遣先であるという複雑な労働形態となっていることから、労働者派遣法で細かいルールが定められています。この点、労働者の国籍を問わない一般的な話ではありますが、派遣で人材を受け入れるうえでの注意点の一つといえるでしょう。

 

外国人労働者を受け入れる場合の注意点

さて、ここからは、労働者が外国人であった場合について確認していきたいと思います。

 

まず、基本的な事項の確認を、直接雇用の場合で見ていきましょう。

 

既に国内にいる外国人の方を直接雇用する際には、パスポート、在留カード就労資格証明書資格外活動許可書などを一度は確認するのが良いでしょう。この際、本人確認や外国人登録がされているかのチェックを行うほか、既に持っているビザが何なのかもしっかり確認する必要がありますね。これは、個別のビザごとに、就職できる職種が決まっているためです。

 

これから日本にきて働こうとする外国人の方を雇用しようとする際(呼び寄せようとする際)には、まず、雇用契約の前に、採用する外国人の学歴職歴を正式な文書によって確認し、その人材が就労可能なビザのいずれかに該当しているのかを確認する必要があります。これは、出入国管理及び難民認定法という法律(いわゆる入管法)で、それぞれの就労ビザに取得要件が細かく定められているためです。(例えば、職歴に関連する学歴や10年以上の同職種の職歴などが必要となります。)

 

また、いずれの場合にも共通して、外国人雇用状況の届出をハローワークに対して行う必要があります。

 

これらはあくまでも直接雇用の際の注意点の一部です。これが直接雇用でなく派遣の場合でも、着眼点は基本的に同じなのですが、既述の通り当事者関係が複雑であり、派遣法の制約も受けるため、より注意すべき点が多くなります。では、確認していきましょう。

人材派遣にて外国人労働者を受け入れる場合の注意点

各契約内容の確認

派遣の場合、各当事者間の契約内容を把握するとが大切です。就労ビザを申請する場合、雇用契約書などを添付してその内容を証明していくことになりますが、この雇用契約は基本的に、派遣元と外国人労働者で結ばれたものになります。

 

また、派遣先は、派遣元との労働者派遣契約で定めた就業日・就業時間・時間外労働等の限度内で派遣労働者を就業させなければならず、また、派遣元の36協定の内容に縛られます。そのため、36協定の内容を把握しておく必要があります。

 

さらに、三者間の契約の様態によっては、人材派遣ではなく請負契約となる可能性があります。守るべき法律が変わってくるため、指揮命令や監督責任の所在をはっきりとさせておくべきです。

 

派遣期間の確認

派遣にはこれを行うことのできる期間が定められており、派遣先と労働者それぞれについて制限されているため、この点を把握しておく必要があります。派遣元事業者と外国人との雇用契約書を確認することで、派遣期間や、予定職務が確定しているかを確認しましょう。

 

ビザの内容と従事しようとしている職務が合致しているか

既述の通り、就労ビザで従事できる職務は限られています。この職務については、派遣される先で何を行うかという点で判断されます。パスポートや在留カードに記載されている在留資格と受け入れ先で行おうとしている職務が合致しているか確認しましょう。就労資格証明書を提出してもらうと、より具体的にわかるため安心です。

 

外国人がオーバーステイとなっていないか

オーバーステイの外国人を受け入れている場合、直接雇用か派遣かにかかわらず、派遣先がその事実を知ったにも関わらず当該外国人を働かせていたと判断されてしまうと、不法就労助長罪に問われるおそれがあります。

 

派遣元事業者が適法か、労働者派遣事業の届出を行っているか。

派遣先が違法な派遣と知りながら派遣社員を受けて入れている場合、違法状態が発生した時点から派遣先が派遣社員に対して直接雇用を申し込んだものとみなすという制度があります。この場合、労働者がこのみなし申込みに対して承諾すれば、派遣元と派遣労働者との間で定められた賃金や雇用期間等の労働条件がそのまま適用されて、派遣先と派遣労働者との間で直接の雇用契約が成立するため注意が必要です。

 

なお、ビザの種類によっては、事業の安定性や継続性について判断される場合がありますが、これについては、派遣先ではなく、派遣元で判断されます(外国人と雇用契約を結んでいるのは派遣元のため)。また、同様の理由から、外国人雇用状況の届出についても派遣元に届出義務があります。受け入れ企業に直接関係があることではありませんが、この点も頭に入れておくとよいでしょう。

 

派遣先の事業が労働者派遣を受け入れられる事業かどうか

港湾、建設、警備、病院などにおける医療関係業務に対しては派遣を行うことができません。禁止業務への派遣とならないか、確認が必要です。

 

まとめ

原則として、人材派遣にて外国人労働者を受け入れる場合、外国人を雇用する際の注意点と人材派遣を行う場合の注意点の双方に気を払う必要があります。

 

特に重要なのは、専門性の判断は派遣先の仕事で判断されるといったように、各要件を証明したり、制度上の義務を負ったりするのが派遣元なのか派遣先なのかをしっかりと意識するということです。これらを念頭に置いて申請に臨んでください。

 

補足 4月からスタートする特定技能ビザについて

新制度の下では農業と漁業については派遣による受け入れを認めております。これは季節労働者性が強い分野であるため、限定的に認められています。柔軟な人員配置が求められる業種にあった制度だと思いますので、人員不足にお悩みの事業者様は是非ご検討いただければと存じます。

 

行政書士 北川哲也

神奈川県の湘南地域を中心に、主に小規模企業の法務や資金調達のサポート、また外国人のビザ取得のサポートを行なっている。創業段階から成長段階の企業(従業員20名以下が目安)の法務相談、許認可などの各種行政規制に関する手続代理・コンサルティング、補助金コンサルティング、外国人の在留資格の取得・アドバイスを専門分野とする。地方創生に関するビジネスプロジェクトにも参画中。

新規CTA

合わせて読みたい