夢の在留資格【永住権】とは?〜永住許可申請を1から詳しく〜

「永住権」と聞くと、どのようなイメージを抱かれるでしょうか? 「取得するのが難しいのではないか?」「沢山の書類を準備しなくてはいけないのではないだろうか?」といった疑問が浮かぶかもしれません。この記事では、永住権の基礎、他の在留資格との比較や申請書類まで詳しく解説します。


1. 永住権とは?

永住権とは、「無期限に、その国に滞在し続けることが出来る権利」を指します。


永住権_まとめ1

 

日本では、「永住者」という在留資格を取得することが、この権利に当たります。この在留資格は「日本に生活の拠点を置いて、その後の人生を過ごす」ことが念頭に置かれています。在留期間がなく、活動に制限が加えられません。つまり、他の在留資格に定められている活動はもちろん、単純労働を行うことも可能です。このように、就労に関する取り扱いは日本人と同様であり、安定した生活を営むことが可能となります。


永住に関する許可はその方に関する最後の審査となることから、入国管理局によって厳重に調査が行われる傾向にあるようです。在留資格取消制度(詳しくはこちら)の対象となっており、退去強制の事由に該当する場合、退去を強制されることもある為、取得後も注意が必要です。


「高度専門職」のような、日本への貢献が期待されている方々に対するインセンティブとして永住許可が与えられる場合もあります。


「特別永住者」という名称の似ている在留資格も存在しますが、こちらは「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」に定められているもので、「永住者」とは別の在留資格です。


2. 永住権取得のために必要な3つの条件

3つの条件

永住権を取得する為には、どのような条件があるのでしょうか? まずは、「永住者」の該当範囲について考えてみましょう。「出入国管理及び難民認定法」に定められた、永住許可に関する申請の要旨は以下の通りです。


「法務大臣が永住を認める者」

(出入国管理関係法令研究会「ひと目でわかる 外国人の入国・在留案内」2015年,p183)


この様に、法務大臣の裁量によって決定される為、後述の様々な要素が総合的に考慮され、在留を認めるかどうかが決定されます。


主に以下の3つの要件がキーポイントとなります。

 

①素行が善良であること

②独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

③その者の永住が日本の利益に合致すると認められること


では、一つずつ詳しく見てみることに致しましょう。

 

永住権_まとめ2

 

①素行が善良であること

これは日本の法律を守り、社会的に非難されることのない生活を営んでいることを言います。以下の様な点に該当しないことが求められています。


  • 日本国の法令に違反して、懲役、禁錮又は罰金に処せられたことがある者
  • 少年法による保護処分が継続中の者
  • 日常生活又は社会生活において、違反行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行う等、素行善良と認められない特段の事情がある者

交通違反にも注意が必要です。スピード違反を繰り返す、飲酒運転をしている等の場合は不許可になる可能性が高くなるようです。


②独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

日常生活において公共の負担となっていないこと、そして、職業や資産の観点から見た場合に、将来にわたって安定的な生活が送れることが求められています。


つまり、生活保護を受給しる場合には不許可になる可能性が高いと言えます。日本において、長期的に見て自立して生活出来ると認められる必要があります。


この要件は、申請人自身が備えている必要はなく、申請人や配偶者等を含めた世帯単位で考慮されます。したがって、世帯単位で生活を続けられると判断された場合には、要件に適合するものとみなされます。


③その者の永住が日本の利益に合致すると認められること

この要件は、いわゆる「国益要件」と呼ばれるもので、以下のような条件を満たしていることが求められます。


  • 長期間にわたり日本社会の構成員として居住していると認められること
  • 原則として、引き続き10年以上日本に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していること
  • 現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること
  • 納税義務等公的義務を履行していること
  • 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
  • 著しく公益を害する行為をするおそれがないと認められること

「公衆衛生上の観点」とは、現状生活している家がごみ屋敷になっていないか、という点に関しても調査がなされるようです。

特例や優遇措置

特例や優遇措置として、上記の3つの要件が適用されない場合があります。一部を見てみましょう。


3つの要件が適用されない場合:

  • 日本人、永住者または特別永住者の配偶者、実子、養子又は特別養子に関しては、以下の要件が適用されません。

①素行が善良であること

②独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること


  • 難民の認定を受けている場合には、②の条件に適合することを要しません。

在留要件(10年以上)が適用されない場合:

  • 日本人、永住者または特別永住者の配偶者については、実体を伴った婚姻が3年以上継続し、かつ引き続き1年以上日本に在留していれば在留に関する要件を満たしていることになります。
  • 日本人、永住者または特別永住者の実子、特別養子については、引き続き1年以上日本に在留していれば、在留に関する要件を満たしていることになります。
  • 高度専門職のポイント計算にて70点以上を有しており、「高度人材外国人」として3年以上継続して日本に在留している場合には、在留要件を満たしていることになります。
  • 高度専門職のポイント計算にて80点以上を有しており、「高度人材外国人」として1年以上継続して日本に在留している場合には、在留要件を満たしていることになります。
  • 外交、社会、経済、文化分野における日本への貢献があると認められる者は、引き続き5年以上日本に在留していることで足りるとされています。

その他、具体的な要件や審査期間については、以下の記事をご参照ください。

1から詳しく! 【永住権】取得のために必要な3つの条件と審査期間


3. 永住権と帰化の違い

「永住権と帰化って何が違うのだろう...」 そんな疑問を抱かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。先ずは帰化の概要から考えてみましょう。

帰化とは?

帰化とは、申請者が自分の持っている国籍を離脱して、日本の国籍を取得することを指します。簡単に言えば、”日本人になること”を意味しています。

 

永住権_まとめ4-1


帰化すると、ビザの更新の必要がなくなります。また、選挙権や被選挙権を持つことが出来ます。就労についても制限がなくどんな仕事にも就くことが出来ます。パスポートも日本のものを取得出来るようになります。


永住権にも取得要件があったように、帰化にも取得する為には、主に以下の条件をクリアする必要があります。


  • 引き続き5年以上、日本に住所を有すること
  • 20歳以上で、日本法上の行為能力(法律行為を単独で有効に行なうことの出来る能力)を有していること
  • 素行が善良であること
  • 経済的に安定した生活を営めること
  • 原則として、日本語の読み書き、会話の能力があること
  • 暴力等で政府を破壊することを企てていないか

帰化申請では、弁護士や行政書士を代理人とした場合でも、本人が何度も出頭しなくてはなりません。面接、筆記試験も存在します。帰化申請に関しては、入念な準備と共に、時間的コストが掛かることを覚悟しなくてはなりません。


帰化するためには、原則として家族単位で、法務局に対して行います。

永住と帰化の違い

帰化のためには、帰化によって元の国籍を離脱することが必須となっています(重国籍防止要件)。


一方、在留資格「永住者」では、元の国籍を保持したまま、日本に在留し続けることが前提となってます。永住権を得ても、選挙権、被選挙権はなく、警察等の公的機関への就職は出来ません。ただし、自治体と密接な関係を持っているとして、永住権を持つ外国人にも、一部選挙権や公務員としての就職が認められています。


永住権を得るためには、入国管理局に対して永住許可申請を行います。


このように、永住と帰化では、「元の国籍を離脱する必要があるのか、ないのか」という点において大きな違いがあります。


その他、帰化のメリットや申請書類については、以下の記事をご覧ください。

【永住】と【帰化】2つの違いと許可のポイントを徹底解説!

 

4. 永住権と高度人材 それぞれの特徴

「永住権ビザと高度人材ビザってどのような違いがあるのだろう」と思われる方も少なくないのではないでしょうか。このセクションでは、それぞれの特徴と違いについて考えて見たいと思います。

高度人材ビザとは?

一般に「高度人材」と呼ばれているビザは、「高度専門職」という在留資格を指しています。「高度専門職」は、日本の経済に対する新たな活力の創造、国際競争力の強化への寄与が見込まれる高度な知識・技術等を有する外国人の方々を受け入れるための在留資格です。


このビザを取得する為には、法務省が公開しているポイント制度の評価において、70点以上を取る必要があります。


ポイント制の詳細はこちら


在留資格「高度専門職」の特徴として、一般的な在留資格よりも活動制限が大幅に緩和される、という特徴があります。この在留資格を持って一定期間在留すると、無期限で在留することも可能になります。


はじめに、在留資格「高度専門職1号」を取得する必要があります。その後、3年経過した段階で、「高度専門職2号」の取得を希望する場合には、在留資格の変更申請を行います。「高度専門職2号」では、在留期間が無期限となります。

永住と高度人材の違い

「高度専門職2号」では、在留期間が無期限になりますが、「高度専門職」としての活動を続けることが求められています。また、「高度専門職」としての活動を、継続して6か月間以上行っていない場合には、在留資格が取り消されてしまう場合があります。


転職して業務内容が変わった場合に、「高度専門職」ではなくなる可能性もあります。その際には変更後のビザの在留期間に従うことになる為、無期限に滞在することが出来なくなります。


「高度専門職」には、一定の要件を満たした場合に、「親の帯同」や「外国人家事使用人の帯同」が許されるという優遇措置もあります。

 

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一方、在留資格「永住者」では、「高度専門職」のような活動に関する制限は存在せず、どのような活動を行っていても無期限で日本に在留し続けることが可能です。つまり、転職によって活動内容が変わった場合でも、「永住者」として日本で生活し続けることが出来ます。


ただし、「親の帯同」や「外国人家事使用人の帯同」に関しては、「高度専門職」のような優遇措置は存在しません。「永住者」ビザを持っていても、親を連れてきて一緒に長期間住むことは難しいのです。他の就労ビザでも原則不可となっています。


「高度専門職」であれば、世帯年収800万円以上で、7歳未満の子どもを3ヶ月以上養育する目的等が存在する場合、親を帯同することが出来ます。


このように、「永住者」と「高度専門職」にはそれぞれのメリットがあります。状況に応じて、比較検討する必要があるでしょう。

 

また平成24年5月7日より、「高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度」が開始されました。これにより研究や事業経営等、高度な専門的知識をもつ「高度人材外国人」として認められれば日本に10年以上在留していなくても永住許可の対象となることが出来ます。

 

具体的には、80点以上のポイントを有する「高度人材外国人」として1年以上継続して在留している場合が該当します。法務省「永住許可申請4-(1)-ア」もご参照ください。

 

5. 永住権申請の為に準備すべき書類

永住許可の申請手続きにあたっては、どんな資料が必要となるのでしょうか? ここでは、就労関係のビザを有している外国人の方が準備すべき資料を取り上げてみます。

  • 永住許可申請書
  • パスポート
  • 在留カード
  • 申請人の顔写真
  • 理由書
  • 申請人を含む家族全員の外国人に係る住民票の写し又は在留カードの写し
  • 申請人又は申請人を扶養する方の職業を証明する資料 (ex. 在職証明書、確定申告書控えの写し等)
  • 過去3年分の申請人又は申請人を扶養する方の所得及び納税状況を証明する資料 (ex. 課税証明書、納税証明書等)
  • 申請人又は申請人を扶養する方の資産を証明する資料 (ex. 預貯金通帳の写し、不動産の登記事項証明書等)
  • 身元保証に関する資料
  • 外交、社会、経済、文化等の分野において、我が国への貢献がある場合には、それに関する資料 (ex. 表彰状、感謝状等)

その他、申請人の立場によって申請書類が変化します。詳しくは以下の記事をご覧ください。

1からわかる! 【永住権】申請のために準備すべき書類と提出先


6. 永住権申請と身元保証人

永住許可の申請手続きにあたっては、身元保証に関して、以下の資料を準備する必要があります。


  • 身元保証書
  • 身元保証人の印鑑
  • 身元保証人に係る資料

(職業を証明する資料、所得証明書、住民票の写し、外国人の方が身元保証人の場合は在留カード)


通常の場合、身元保証人は、損害賠償を担保したり金銭債務を保証したりする為に付けられるものです。しかし、この場合の身元保証人には損害賠償の担保等の役割は求められません。

 

保証の内容としては、

 

  1. 滞在費
  2. 帰国旅費
  3. 法令の遵守

となっています。


したがって、身元保証人には、永住者の日本における生活をサポートし、法令を遵守させることや、本人に支払能力がない場合に滞在費や帰国旅費を負担することが求められています。

 

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その他、身元保証人の責任の詳細や、書類のダウンロードについては、以下の記事をご参照ください。

【身元保証書とは?】3つのポイントと身元保証人の責任範囲


7. 永住権取得後の注意点

永住権は一度取得すれば、そのまま無条件に保持し続けられるものではなく、取り消されることもあります。

 

取り消されてしまう場合は、以下の通りです。

  • 申請内容に虚偽がある場合
  • 再入国許可を受けていない場合
  • 居住地登録をしない場合
  • 在留カードの有効期間更新申請手続をしなかった場合
  • 懲役や禁錮に処せられた場合

詳しくは以下の記事をご覧ください。

【永住権】取得後の注意点と取消対象となる5つの事柄

 

まとめ

永住許可の申請には「もし不許可となった場合であっても、現在の在留資格に影響がもたらされない」という特徴もあります。この記事で取り上げた要件を満たしているならば、思い切って申請してみることも一つの手かもしれません。


現在、日本で永住権を取得する為には、一定期間在留することが求められています。つまり、入国後直ぐに「永住者」の在留資格が与えられることはありません。


この為、「永住者」の在留資格を得たいと望んでいる外国人は在留資格の変更(出生の場合は取得)の手続きを通じて申請を行う必要があります。その際には、取得要件をしっかりと確認し、申請書類を綿密に準備する必要があるといえるでしょう。

 

one visa 編集部

株式会社one visaは”世界から国境をなくす”をビジョンに掲げ、ビザ申請・取得・管理をサポートするオンラインサービス「one visa」を提供する企業です。

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