2つのケースから学ぶ【留学生の採用】の際、気を付けるべきポイント

少子高齢社会の日本で、海外からの留学生数は年々増加傾向にあります

外部リンク: 独立行政法人日本学生支援機構調査結果 

 

その留学生を戦力として雇用したいという企業が増えているのも、必然的なことではないでしょうか。留学生は「留学」というビザ(在留資格)を申請し、許可を得て入国しています。このような留学生を雇用する場合には、どのような注意点があるのか、一緒に確認していきましょう。

 

留学生をアルバイトとして雇用するケース

そもそも外国人は、「永住者(永住許可)」や「日本人の配偶者等」、「定住者」、「特別永住者」のビザ(在留資格)を除いて、許可されたビザ(在留資格)の範囲外の就労をすることが認められていません。留学生の活動は「教育を受ける活動」に限定され、就労することは一切認められていないのです。

不法就労・不法就労助長罪

留学生は「教育を受ける活動」に限定されるといっても、日本人の「学生」だって「教育を受けながら」も普通にアルバイトをしているのですから、外国人の留学生でもアルバイトくらいは問題ないだろうと思ってしまうこともあるでしょう。


しかしその点が大間違いであり、留学生にとっても雇用する側にとっても、大変な問題を引き起こしてしまうのです。


留学生が勝手にアルバイトをしてしまうと、不法就労となり退去強制の対象となってしまうことだってあるのです。そこまでの処罰を受けなくとも、「懲役・禁錮・罰金」というような処罰を受けることにもなります。

 

本当に運よく処罰を免れたとしても、ビザ(在留資格)更新の申請の際に、在留期間が短縮されたり、そもそも更新申請が不許可となったりすることもあるのです。


処罰されるのは留学生だけではありません。雇用した側も不法就労助長罪に問われ、「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金」に処せられることになります。最悪の場合は、懲役と罰金が併科されることもあるのです。

資格外活動許可

外国人が「留学」のビザを申請し、許可されて日本に滞在している場合、その留学生は一切アルバイトができないかといえば、そうではありません。

 

ちゃんと「資格外活動許可」というものが存在していますから、留学生は「資格外活動許可」を得ていれば、アルバイトが可能になるのです。したがって雇用する側も、留学生が「資格外活動許可」を得ているかどうかを確認し、許可を得ている留学生を採用すれば、何ら問題はありません。

 

これは在留カードを見せてもらえば、すぐにわかります。留学生ならば、表面には「就労不可」の文字がありますが、裏面下に「資格外活動許可欄」があり、「許可」の文字があれば大丈夫です。

 

ただし、留学生は麻雀店・パチンコ店・ゲームセンターなどでは働けません。更にキャバレーやスナックなどのお店でも働けないという制限があります。


このように留学生を雇用する場合には、風俗関連の業種で雇えないだけでなく、次のような注意点もありますから、気を付けましょう。

 

1週28時間以内の労働であること
・在籍学校の長期休みの期間は、1日8時間以内の労働であること

これらの制限を超えると、留学生も雇用する側も処罰を受けます。

 

留学生を正規雇用するケース

「留学」のビザを申請し、許可されて日本に滞在している留学生を、正規の社員として雇用する場合の注意点を確認しましょう。

専攻内容と職種のマッチング

留学生を正規社員として採用しようとする場合、その留学生が卒業した(もしくは卒業予定)大学や専門学校での専攻内容と採用する職種に関連性がなければなりません。よくいわれるのが、会計を学んだ留学生を営業職として採用するのは簡単ではないと言うことです。会計を専攻した学生を採用するならば、経理部門配属となるのが一般的です。


このように、専攻内容を活かせる就労であれば、留学ビザ(在留資格)から就労ビザ(たとえば在留資格「技術・人文知識・国際業務」)に変更の申請をし、許可される可能性が高いのです。


ただし、会計を専攻とした留学生を営業補助とか営業事務で絶対に採用できないかというと、そんなこともありません。大事なことは専攻内容を活かせる就労であることを、入国審査官に認めさせることです。そのために、「職務内容説明書」や「理由書」、「採用理由書」などをしっかりと用意しておく必要があるのです。

実務経験

留学ビザで滞在する留学生を採用したくとも、専攻内容と職種がどうしてもマッチングできないという場合、実務経験があれば雇用することができます。就労ビザ(在留資格「技術・人文知識・国際業務」)であれば、10年以上の実務経験をもっていなければなりません。

  

通訳などの国際業務の場合は3年以上と、求められる実務経験は短くなります。更に大学を卒業して通訳や翻訳の仕事をするのであれば、3年の実務経験も不要です。

雇用契約

留学生を採用しても、その留学生が留学ビザ(在留資格)のままで滞在していては、実際に雇用することは不可能です。就労ビザ(在留資格)への変更の申請をし、許可を得てからの雇用になります。しかし、そのビザ(在留資格)変更の申請をするには、雇用契約書が必要になります。


この矛盾を解消するために、「本雇用契約は、日本で就労可能となる在留資格の許可及び在留期間の更新を条件として、効力を有する」というような条項を雇用契約書に入れておく必要があります。

その他

雇用条件は日本人と同じでなければなりません。外国人労働力を安く雇用しようなどという考えでは、就労ビザへの変更の申請が許可されなくなります。また適切な労働環境を整えていく配慮も必要です。

 

 

まとめ

留学ビザ(在留資格)で滞在している外国人の留学生を雇用するには、その雇用形態によって注意点が異なってきます。アルバイトのような非正規雇用であれば、「資格外活動許可」を得ているかどうかを、在留カードで確認しなければなりません。働ける労働時間や業種にも制限があります。


正規雇用の場合には、専攻内容と職種のマッチングに注意するか、そうでなければ実務経験が必要です。就労ビザへの変更前に雇用契約書を交わさなければなりませんから、就労ビザ取得が雇用の条件であることを盛り込むことも必要です。


最後に雇用形態に関係なく必要な注意点をお伝えします。

外国人を雇用する場合には、必ずその旨をハローワークに届け出る必要があります。離職の場合にも同様に届け出る義務があります。この届出を怠ると、30万円以下の罰金が科せられます。

 

 

行政書士齊藤学

千葉県行政書士会会員・葛南支部船橋幹事。 25年間の会社勤務経験を経て2016年に行政書士として独立。市民法務と国際業務を中心に活動し、ビザの申請取次業務にも従事。

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