1から詳しく! 外国人雇用と社会保険&労働保険【社会保険編】

 

事業所が労働者を雇用した場合、一定の条件を満たした労働者を社会保険や労働保険に加入させなくてはいけません。

 

社会保険とは従業員やその扶養家族が普段の生活を送っていく際に直面するリスクに備える公的な保険制度です。

 

労働保険とは雇用保険と労災保険を合わせた総称であり、労働者の失業や怪我等のリスクに備える公的な保険制度です。

 

これらは従業員の年齢や性別、国籍等は関係ありません。従って外国人を雇った場合も日本人と同様これらの保険の適用を受けることになります。

 

今回は2回にわたり外国人雇用と社会保険、労働保険について解説していきます。

 

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これだけは知っておきたい 社会保険&労働保険の基礎知識

外国人はそれぞれ与えられた在留資格の範囲内における就労活動が認められています。

 

外国人を雇用するために在留資格を申請する際には、取得しようとする在留資格の要件と日本において従事させようとする業務内容に整合性がなければなりません。

 

従って在留資格の申請を行う際には、日本においてどのような条件で、どのような業務内容に従事させるかを明記した文書を申請書類として入国管理局に提出しなくてはなりません。

 

在留資格を取得して日本において就労を開始する際には社会保険への加入が必要となります。

 

社会保険_ポイント

 

社会保険とは「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」を言います。

 

3ヶ月を超えて日本に在留する40歳以上の外国人は「介護保険」の被保険者となり日本人と同様に保険料を支払わなくてはなりません。

 

「健康保険」と「厚生年金保険」に関しては、外国人が雇用されている事業所が、株式会社等の法人事業所である場合、常時雇用される従業員が5名以上の個人事業所(一部の業種を除きます。)である場合に加入しなくてはいけません。

 

外国人の雇用形態が正社員ではなく、パートやアルバイトだったとしても労働時間や労働日数などで被保険者となる可能性がありますので、不明な点は年金事務所等に問い合わせると良いでしょう。

保険未加入の場合のリスク

一部を除き、ほとんどの在留資格は一定の期間を定め日本に在留できる許可を与えられているためその期間を経過する前に在留期間の更新手続きを行う必要があります。

 

また、現在有している在留資格から他の在留資格への変更をしたいと思う外国人もいるかもしれません。そのような時にも在留資格変更の申請を入国管理局に行うことになります。入国管理局は在留資格の変更及び更新の申請に対する審査はガイドラインに沿って行われます。

 

国が外国人の社会保険への加入促進を図っていることもあり、申請時に窓口で保険証の提示を求められることもあります。窓口で保険証の提示が出来なかったからといって、申請が不許可となることはありませんが、保険加入をしているか、また保険料をきちんと納めているかについては審査における重要な事項であることは間違いないでしょう。

 

保険に加入する義務があるにも関わらず加入していない、もしくは保険料の未納があるなどの要素は審査におけるマイナス要素となるだけではなく、法令違反でもあります。法令違反を犯すことも在留資格の更新等に大きな影響を及ぼします。

 

これらの責任は外国人本人だけの問題ではなく、外国人を雇用する事業所自体の責任も問われてきます。所轄官庁からの勧告を受けると事業所自体の社会的信頼もなくすおそれがありますので、注意が必要です。

 

健康保険と介護保険について

普段の生活の中で怪我や病気等になった場合は、病院にかかることがあるでしょう。業務外での怪我や病気等により病院にかかった場合の医療費の一部を負担してくれるのが健康保険です。

 

前述のとおり、外国人が法人事業所、または常時雇用している従業員が5名以上いる個人事業所に勤務している場合、事業所が加入している健康保険組合が運営する健康保険に加入します。健康保険に加入できない場合は国民健康保険に加入しなくてはなりません。

 

いずれにしても、加入していないと医療機関にかかった場合、高額な医療費の支払いをしなくてはならなかったり、医療機関にかかれず病状を悪化させたりすることにもなりかねませんので、きちんと加入しましょう。

 

介護保険制度が2000年に施行され、介護保険への加入は日本国民の義務となりました。高齢者の介護を社会全体で支えていくことを目的とした保険制度です。外国人は日本国民ではないので、介護保険への加入義務はないかと言いますとそうではありません。

 

3ヶ月を超えて日本に在留する40歳以上の外国人は介護保険に加入する義務があります。これにより日本に在留中に介護が必要となった外国人は、日本人と同様の介護サービスを受けることが出来るようになります。

 

厚生年金保険について

「日本の年金制度は2階建てになっている」という話を一度は耳にしたことがあるでしょう。

 

1階部分が基礎年金と言われる国民年金、2階部分は会社員や公務員が加入する厚生年金です。

厚生年金は「老齢給付」「障害給付」「遺族給付」があり、老後に備えるだけではなく、日本で亡くなってしまった場合に、遺族に「遺族厚生年金」が支給されたり、厚生年金に加入している間に病気や怪我で障がいが残ってしまったような場合に「障害厚生年金」が支給されたりする制度です。

 

日本で働く外国人は本人の意思に関係なく、厚生年金に加入しなくてはいけません。それにより、万が一外国人が日本で死亡したり、障害が残るような病気や怪我をしたりした場合、本国の遺族に年金が支払われたり、外国人本人に年金が支払われたりすることになります。

 

まとめ

今回は外国人を雇用した際の社会保険について解説しました。

 

従業員を雇用する場合、外国人だからと言って日本の社会保険制度が適用されないわけではありません。しかし、一方で社会保険制度の仕組みが複雑で分かりにくい側面もあるかもしれません。

外国人を雇用する際には事業主自身が判断せず、関係機関に確認のうえ、各種手続きをきちんと行うように注意しましょう。

 

行政書士古橋洋美

平成28年 行政書士として静岡県浜松市にて独立開業。 現在起業支援や補助金申請支援等中小零細企業支援と入管業務を中心に業務を行っており、 技能実習生に対する法的保護講習の講師も担当している。 英語力を生かし、入国管理局や役所等に提出するために必要な出生や結婚等の各種証明書や契約書等の日本語への翻訳作業の対応も行っている。

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