1度帰国しなくてはいけない?【短期滞在】から就労ビザへの切り替え

「短期滞在」で入国された外国人の方が、日本に滞在したまま就労ビザ(在留資格)を申請したいというケースは、よくあることです。一度帰国するとなると、それなりに渡航費用が負担となるので、できれば日本滞在中にビザ(在留資格)を変更してしまいたいというのは、当然の願いです。

 

しかし実際にこのようなことが可能なのか、可能ならばどのように手続きを進めればよいのか、どのような注意点があるのかなどを確認してみましょう。


「短期滞在」からの原則的な対応

原則としては、「短期滞在」から就労ビザ(在留資格)への変更は認められていません。

 

そもそも「短期滞在」からのビザ(在留資格)変更のためには、「やむを得ない特別の事情」が必要となります。それは、「短期滞在」は比較的簡易にビザが発行されていること、ビザなしの場合もあること、そして一方では長期滞在予定の外国人の方には厳格な審査を行っていることが原因です。

 

「短期滞在」で比較的容易に入国してから厳格な審査を受けることができるとなると、現在の入国管理制度そのものを、ないがしろにしてしまうのです。

 

そのようなことにならないために、「やむを得ない特別の事情」が必要とされているのですが、就労ビザ(在留資格)への変更においては、その「やむを得ない特別の事情」が認められません。

 

その結果、「短期滞在」者は一度帰国して、就労のためのビザ(在留資格認定証明書)を取得し直し、再入国しなければなりません。これが原則的な対応です。

 

「短期滞在」からの例外的な対応

原則的な対応では、「やむを得ない特別の事情」を認めてもらえないため、「短期滞在」から就労ビザ(在留資格)への変更は認めてもらえません。

 

しかしそれにもかかわらず、なんと「やむを得ない特別の事情」を認めてもらえる方法があるのです。

 

それが、在留資格認定証明書を入国後に取得する方法です。もちろんこの場合の在留資格は、「短期滞在」に過ぎません。そして就労ビザ(在留資格)への変更申請の際に、取得済みの在留資格認定証明書を一緒に提出するのです。

 

この手順を踏むと、在留資格認定証明書を添付したことが、「やむを得ない特別の事情」となり、在留資格変更が認められるということになるのです。本来在留資格認定証明書は、日本に入国しようとする外国人の方からの申請を前提とするものです。

 

しかし実務上は、日本国内に既に滞在している外国人の方からも申請できることになっています。

 

「短期滞在」からの重要な注意点

原則的な対応では無理でも、例外的な対応であれば「短期滞在」から就労ビザ(在留資格)への在留資格変更申請が可能です。

 

しかしこれは、あくまでも理論上の話に過ぎませんし、ビザ(在留資格)を与えるかどうかは、法務大臣の裁量に任されているわけです。したがって、必ず就労ビザ(在留資格)への変更申請が認められる保証はありません。

 

更に、重要な注意点はスケジュールです。「短期滞在」は、90日間です。在留資格認定証明書の申請処理の標準処理期間は、一か月から三か月となっています。(http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/16-1.html

 

ビザ(在留資格)の変更申請についての標準処理期間は二週間から一か月(http://www.moj.go.jp/ONLINE/IMMIGRATION/16-2.html)となっています。

 

公表されているこれらの期間を単純に合わせてみると、早ければ約一か月半(45日)、遅ければ四か月(120日)かかるということです。

 

ビザ(在留資格)の変更申請といっても、実際には新規に就労ビザ(在留資格)を取得することと何ら変わりがないと考えるならば、約一か月半ですべてが完了すると考えるのは早計です。

 

在留資格の変更申請をすれば、短期滞在期間は最大2か月延長されますが、それでも余裕あるスケジュールではありません。注意点として、「短期滞在」で入国する前から入念な準備をしておかなければ、一度帰国せざるを得ないということもあり得るということを覚えておいてください。

 

まとめ

「短期滞在」からのビザ(在留資格)の変更は、簡単には認められません。就労ビザ(在留資格)の場合には、特に厳しく、原則認めてもらうことができないのです。

 

しかし例外的な方法で、ビザ(在留資格)の変更を認めてもらうことは可能です。

 

それでも必ず変更申請が認めてもらえるものではないこと、準備をしっかりと行っておかなければスケジュール的に厳しいということが注意点だと、理解しておきましょう。

 

行政書士齊藤学

千葉県行政書士会会員・葛南支部船橋幹事。 25年間の会社勤務経験を経て2016年に行政書士として独立。市民法務と国際業務を中心に活動し、ビザの申請取次業務にも従事。

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