【その労働条件、法律違反かも?】外国人雇用と2つの労働関連法規

外国人労働者であっても、日本で働く以上、日本の法律が適用されます。

特に、労働関連の法律については、外国人自身がその内容を十分理解していない場合があり、トラブル発生の原因にもなります。

 

今回は、外国人を雇用する際の法律、特に労働関連法規で注意すべき点をご説明いたします。

 

労働基準法

労働基準法とは?

外国人に限らず、誰もが日本で働く場合、基本となる法律が「労働基準法」です。

 

現代社会は、「契約自由の原則」が基本です。これは、契約する当事者が、契約内容に納得して初めて契約が成立するという考え方です。逆に言えば、契約内容に国がむやみに干渉しないことによって、自由競争が保証されるということになります。

 

ただ、ある程度の制約がないと、使用者(会社など)と労働者の力関係から考えて、不当な労働を強いられ、健全な労働条件が作られない可能性が出てきます。そこで、法律によって、最低条件の労働条件をあらかじめ決めておき、その範囲内で自由に労働に関する契約を結んでもらおうとする考え方が出てきたのです。この最低限の条件を定めた法律が、「労働基準法」です。

労働基準法の効力

もし、この労働基準法が定める規定を超える条件で、会社と労働者が契約を結んだ場合、どうなるのでしょうか?

 

契約当事者の双方が了承していればそれでいいのでは、と思う人がいるかもしれません。しかし、労働基準法は、双方の合意があるかないかを問わず、法律に反する契約を行った場合は、例外なく違反とされる「強行規定」です。

 

従って、双方が合意して結んだ労働契約であっても、最低基準を満たさない部分があれば、その部分は最低基準に置き換えられることになります。

労働基準法と外国人雇用

労働基準法は、日本の国内で就労する限り、就労する外国人が、この労働基準法で定義している労働者に当てはまれば、在留資格の点で適法な就労か違法な就労かを問わず、原則として適用されることになります。

 

つまり、在留資格が違法だとしても、労働者であれば労働基準法で保護されるということです。

また、労働基準法第3条では、労働者の国籍を理由として、賃金、労働時間、その他の労働条件について、差別をしてはいけないと規定しています。

 

最低賃金法

最低賃金法とは?

「最低賃金法」とは、文字どおり労働者が受け取る賃金の最低額を決めている法律です。この法律ができた目的は、労働者の生活の安定と労働力の向上です。

 

自分が働いた対価として、人間らしく生活できるような賃金が支給されると、人はもっと働こうとする意欲が生まれ、結果的に労働力が上がることになります。これは、資本主義社会の基本です。

 

もし賃金の最低額が決まっていなければ、会社の都合で給料を下げることができることになり、労働意欲が湧かず、労働力が低下して、会社の生産性が低下し、結果的に社会が活性化しないことになります。

最低賃金法と外国人雇用

労働基準法と同じく、日本に在留し働く外国人労働者にも、「最低基準法」は適用されます。外国人の中には、日本に比べて大幅に物価が低い国の出身者がいます。

 

そのような外国人にとっては、日本で受け取る給料はかなりの高額に感じるはずです。だからと言って、出身国の物価水準に合わせて賃金を設定することは許されません。最低賃金法に違反するだけはもちろん、そのまま日本で生活することが困難になり、労働意欲をなくすことになります。

 

外国人労働者に対して、日本の事情がよくわからないことに乗じ、最低賃金を下回るような契約を結ぶことがあってもいけません。以前に比べて日本に在留する外国人が増えていますから、それぞれに連絡網やコミュニティなどがあり、賃金や待遇に不備がある場合は、すぐ周知されることになります。

 

まとめ

たとえ外国人労働者であっても、日本の労働関連の法律は適用されます。もし遵守されていない場合は、労働基準監督署から指導されることになりますから、注意が必要です。

 

 

行政書士井上通夫

熊本県出身。福岡大学法学部法律学科卒業。在学中は、新聞部編集長として、学内新聞を発行。憲法・行政法ゼミ(石村ゼミ第18期生)所属。大学卒業後は、大手信販会社、大手学習塾に勤務。平成18年度行政書士試験に合格後、平成20年7月福岡市で行政書士事務所を開業、現在に至る。扱う案件は、主に相続・遺言、民事法務(内容証明・契約書・離婚協議書等)、公益法人業務(社団・財団法人)など幅広く対応。

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