日本で90日以上の長期にわたり日本に在留を希望する外国人は、自身が日本で行う活動目的に応じた在留資格を得る必要があります。
今回はその在留資格を得るために必要となる在留資格認定証明書交付申請書の書き方について解説していきます。

在留資格認定証明書交付申請とは

日本において90日以上の長期にわたり日本に在留を希望している外国人は、日本に入国する前に自国の在外公館において日本で行う活動に応じたビザ(査証)の発給を受けることが必要となります。

自国にある日本大使館で直接ビザの申請を行っても良いですが、ビザ発給までに長期間かかります。
そこで予め日本の出入国在留管理局において当該外国人の行う活動が、希望する在留資格に合うものかどうかの審査を受け、適合すると認められると発行されるのが「在留資格認定証明書」です。

この証明書の交付を申請する手続きを「在留資格認定証明書交付申請」と言います。

 

在留資格認定証明書交付申請書の書き方

在留資格認定証明書は外国人が日本で行う活動に応じて使用する申請書が異なります。
一番大切なのは申請に使用する書式を間違えないことです。

法務省のホームページには日本の入国目的別にそれぞれPDF形式、EXCEL形式の申請書が載っています。
(在留資格認定証明書交付申請書)

また申請書のフォーマットは予告なく変更されていることがあります。
必ず申請の際には最新のフォーマットの申請書を使用するようにしてください。


ここでは技術・人文知識・国際業務の認定証明書交付申請の際に使用する申請書を例に記入例を説明していきます。
必ず埋めなくてはならない項目の番号には(必須)と記載してありますので参考にしてください。

申請書は「申請人等作成用」の1と2、「所属機関等作成用」1から4の合計6ページになります。
「申請人等作成用」は就労する外国人の情報、「所属機関等作成用」は外国人を雇用する企業の情報を記載していきます。

 

申請人等作成用1

申請人等作成用1-1

1.国籍・地域(必須)
 今回申請する外国人の国籍を記入します。

2.生年月日(必須)
 申請する外国人の生年月日を西暦で記入します。

3.氏名(必須)
 申請する外国人の氏名をパスポートの記載通りに記入します。
 中国人のように漢字の表記がある場合は漢字とアルファベットを併記します。

4.性別(必須)
 どちらかに○をつけます。

5.出生地(必須)
 出生地を記入します。国名だけではなく、県、市または省まで記入しましょう。

6.配偶者の有無(必須)
 どちらかに○をつけます。

7.職業(必須)
 現在の職業を記載します。職業についていない場合は「無職」と記入、
 学校に通っている場合は「学生」と記入します。

8.本国における居住地(必須)
 自国での住所を記入します。ここも国名だけではなく、県や市、省まで記入します。

9.日本における連絡先(必須)
 就労先の住所と就労先名を記載します。
 電話番号には就労先の電話番号を、携帯電話番号には分かるようであれば会社代表者などの
 携帯電話番号を記載します。電話番号に記載があれば、携帯電話番号の記入はなくても構いません。

10.旅券(必須)
 現在有効なパスポートの番号と有効期限を記載します。
 ただ申請時に自国においてパスポート申請中の場合もあるかもしれません。
 その際には(1)番号のところに「旅券申請中」と記載してください。

11.入国目的(必須)
 申請する在留資格の□をクリックして選択します。技術・人文知識・国際業務の場合はNを選択します。

12.入国予定日(必須)
 入国する予定日を記入します。申請から2か月後以降の日付を書いておくと良いでしょう。
 ただし、審査結果がいつ出るかが定かではないので、ここで記入した日付に必ず入国しなくては
 ならないということではありません。

13.上陸予定港(必須)
 入国する予定の空港名を記載します。成田国際空港、中部国際空港などというように記入します。

14.滞在予定期間(必須)
 日本でどのくらい滞在する予定かを記入します。
 3年、5年等のように年数で記入しても良いですし、出来るだけ長く日本に在留したい場合は
 「長期」という表現でも構いません。

15.同伴者の有無(必須)
 日本に入国する際、同伴者がいれば有を、いなければ無に○をつけます。

16.査証申請予定地
 日本で在留資格認定証明書が発行されると自国の日本大使館で査証(ビザ)の申請をします。
 自国においてどこでビザの申請を行うかを記載します。
 ハノイ、上海など日本大使館のある自国の都市名を記入します。

17.過去の出入国歴(必須)
 過去に来日したことがある場合は有に○をして、今まで何回来日したかと一番直近で来日した日と
 出国した日を記入します。パスポートを参考に記入し、日付等間違えないようにしましょう。
 過去に来日したことがない場合は無に○をつけます。

18.犯罪を理由とする処分を受けたことの有無(必須)
 日本国内だけではなく自国においても、起訴されて裁判所で裁判にかけられ罪が確定した
 (有罪となった)場合には有を選択し、どのような罪を犯したのかを記載します。
 例えば傷害事件を起こしてしまい罰金刑を受けた場合、その内容等具体的に記載します。
 ただ記載部分が少ないので、別紙記載として、罰金の金額、罰金を払ったこと、
 反省していることなどを記載しても構いません。
 罪を犯したことがないのであれば、無に○をします。

19.退去強制又は出国命令による出国の有無(必須)
 退去強制事由と出国命令対象者については入管法第24条に定められていますが、過去に来日歴があり、
 入管法第24条に該当することにより出国したことがある場合に有とし、回数と直近の出国日を
 記載します。ない場合は無に○をします。

20.在日親族及び同居者(必須)
 日本に親族などがいる場合は有とし、続柄や氏名など必要事項を記入します。
 在日親族とは祖父母、両親、配偶者、子供、兄弟姉妹を指します。
 同居者はルームシェアしている友人、同棲しているパートナー等がいれば記載してください。
 親族や同居人がいない場合は無に○をし、下の欄には何も記入しなくていいです。

 

申請人等作成用2

申請人等作成用1

21.勤務先(必須)
 就労予定の会社名を記入します。
 支店や工場等が複数ある場合、申請人が主に勤務する場所を記入します。
 派遣社員として雇用される場合は派遣元を記入します。

22.最終学歴(必須)
 申請人の最終学歴を選択します。
 学校の名前が「大学」となっていても、短期大学コースを卒業している場合は短期大学を選択します。
 国によって卒業証明書と成績証明書の日付に違いがある場合があります。
 成績証明書が卒業後に発行されることがあるためです。
 この場合、卒業証明書の日付を記入しておくと良いでしょう。

23.専攻・専門分野(必須)
 最終学歴の学校での専攻を選択します。
 選択肢の中に当てはまるものがない場合はその他を選択したうえで専攻を記入します。

24.情報処理技術者資格又は試験合格の有無
 日本で就労する予定の業種がプログラマーやシステムエンジニア等の情報処理業務である場合は
 情報処理系の資格を有しているか否かを記入します。
 情報処理業務以外の業種に従事することが予定されている場合は、記入しなくても良いです。

25.職歴
 働いた経験がある方は職歴を記載します。
 複数の場所で勤務経験があり、欄に書ききれない場合は別紙にまとめても構いません。
 働いた経験がない場合は「該当なし」と記入してください。

26.申請人、法定代理人、法第7条の2第2項に規定する代理人
 就労ビザで在留資格認定証明書交付申請を行う場合、申請する外国人は自国にいることが
 多いと思います。
 その場合、ここは会社の代表者を記入します。電話番号等記載欄の下は自署で名前と日付を記入します。
  *取次者
   申請を外国人本人ではなく行政書士や本人の法定代理人等が取次する場合には記入しますが、
   取次者がいない場合は記入しなくても良いです。

 

所属機関等作成用1

ここからは申請人を雇用する会社の情報について記載していきます。

所属機関等作成用1


1.契約又は招へいする外国人の氏名(必須)
 今回申請する外国人の名前を記入します。申請人等作成用1の3で記入した氏名と同じ名前を記入します。

2.契約の形態(必須)
 今回申請人をどのような形態で雇用するかを選択します。

3.所属機関等契約先(必須)
 (1)申請人と契約する機関(企業等)の名称を記載します。

 (2)法人番号を記入します。法人番号13桁は国税庁法人番号公表サイトで検索することができます。
    https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/

 (3)支店・事業所名(必須)
    申請人が主に勤務する場所を記載します。
    各地に支店等があって、本社以外の場所で主に勤務する場合は、そこの支店名を記入します。

 (4)事業内容(必須)
    所属機関の事業内容を下の業種から選択して、番号を記入します。
    会社の登記簿謄本に記載の事業内容に沿って選択していくのが良いでしょう。

 (5)所在地、電話番号(必須)
    支店等に勤務する場合は本店ではなく、申請人が主に勤務する支店の住所地や
    電話番号を記入します。

 (6)資本金
    企業の場合は資本金を記入します。国や地方公共団体の機関、独立行政法人、公益財団法人、
    社団法人その他NPO法人等と契約する場合は資本金の記入はいりません。

 (7)年間売上高(直近年度)
    直近年度の売上高を記入します。
    申請書と一緒に提出する財務諸表を参照して記入していきます。
    国や地方公共団体の機関、独立行政法人、公益財団法人、社団法人その他NPO法人等と
    契約する場合は売上高の記入はいりません。

 

所属機関等作成用2

所属機関等作成用2

 (8)従業員数(必須)
    申請人が勤務する主な場所の全従業員数を記入します。
    パートやアルバイトの非常勤を含んだ人数を記入します。

 (9)外国人従業員数(必須)
    申請人が勤務する主な場所に勤務している外国人従業員数を記入します。
    アルバイト、派遣社員等も含みます。

4.就労予定期間(必須)
 申請人が働く予定の期間を記入します。
 雇用契約書に記載の契約期間を記入しますが、技術・人文知識・国際業務は長期間安定的に
 勤務することが求められるので1年以上の期間を記入するのが良いでしょう。

5.給与・報酬(税引き前の支払額)(必須)
 年額か月額かにチェックをし、税引き前の金額を記入します。

6.実務経験年数(必須)
 今回申請人が日本で行う業務と関連のある実務経験がある場合はその年数を記入します。
 ない場合は「0」と記入してください。

7.職務上の地位(役職名)(必須)
 申請人が働く会社等で役職がある場合には「あり」にチェックをいれてその役職名を記入します。

8.職務内容(必須)
 申請人が日本で行う主な業務を(1)から(6)の中から選択して数字で記入します。
 技術・人文知識・国際業務の在留資格認定証明書交付申請を行う場合には(2)から選択し、
 上部に記入します。
 また主業務以外でも行う可能性のある業務がある場合には、下部に記入します。
 この場合、業務は複数選択可能です。

 

所属機関等作成用3

これ以降は申請人が人材派遣会社に所属していて、他社に派遣される場合や契約している会社とは違う機関で勤務する場合等に記入します。
所属機関等作成用1の会社等で勤務する場合は空欄で構いません。

ここでは、申請人が派遣社員の場合の申請書の記入方法を解説します。
申請人が派遣社員でないために記入をしなかった場合でも、このページの申請書は入管への申請時に提出してください。
所属機関等作成用3

9.派遣先等
 (1)名称
    申請人が派遣社員である場合、派遣先企業名称を記入します。

 (2)法人番号
    派遣先企業の法人番号を記入します。法人番号は国税庁法人番号公表サイトで
    検索することができます。https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/

 (3)支店・事業所名
    申請人が勤務する派遣先企業の支店名や事業所名などを記入します。
    本社、○○工場、等のように記入します。

 (4)事業内容
    派遣先の事業内容を下記業種から選択して記入します。
    契約先企業(派遣元)と同様、主な業務を1つ、それ以外に事業内容があれば業種を選択して
    番業を記入します。

 (5)所在地、電話番号
    派遣元の所在地、電話番号を記入します。
    申請人が主に勤務する事業所のある所在地と電話番号を記入します。

 

所属機関等作成用4

所属機関等作成用4

 (6)資本金
    派遣先企業の資本金を記入します。

 (7)年間売上高(直近年度)
    派遣先企業の直近年度の年間売上高を記入します。

 (8)派遣予定期間
    申請人が派遣先企業に派遣される予定の期間を記入します。
    労働者派遣個別契約書等の派遣予定期間と同じ期間を記入します。

「勤務先又は所属機関等契約先の名称、代表者の氏名の記名及び押印/申請書作成年月日」(必須)
 申請人が派遣社員の場合は派遣元(人材派遣会社)、派遣社員ではない場合は
 勤務する企業などの名称、代表者名を記入します。
 記名ですので代表者の自筆でなくても構いません。
 「印」の部分に会社の実印を押印し、申請書作成年月日を記入します。
 申請人が派遣社員などではない場合、(6)から(8)の部分は記入しませんが、
 申請時には必ず提出します。

 

記入にあたって間違えやすい項目

申請書を記入する際に間違えやすいのは、名前のスペルや生年月日、パスポート番号等の数字やアルファベットの部分です。

パスポートの有効期限の欄にパスポート発行日などを記載してしまう場合も見受けられるので一度記入したら再度確認をしましょう。

卒業年月日や職歴等を記入する際には、必ず卒業証明書や履歴書等を確認しましょう。
本人の勘違いなどによって年が前後している場合があります。申請書以外に提出する書類と齟齬のないよう確認しながら記入するとよいでしょう。


「申請人等作成用2」と「所属機関等作成用4」は記名と署名の違いに注意します。
「申請人等作成用2」は自筆での記入が必要です。
「所属機関等作成用4」はワープロ打ちでも構いませんが、代表者印の押印を忘れないようにしましょう。

 

書類を準備する際の注意点

認定証明書交付申請を行う際には、申請書のほかに日本での活動内容に応じた資料を提出する必要があります。
どのような資料を提出しなければならないかについても法務省のホームページに記載がありますので、確認しましょう。(日本での活動内容に応じた資料【在留資格認定証明書交付申請】)


技術・人文知識・国際業務の場合、働く会社等の規模や種類によって4つのカテゴリーに分かれています。
カテゴリーによって準備する書類が違いますので、まず所属する会社がどのカテゴリーに属するかを判断し、それに応じた書類を準備していく必要があります。

提出する書類の中に登記簿謄本などの日本で発行される証明書がある場合、発行日から3ヶ月以内のものを提出する必要があります。
あまり早く取得すると申請前に3ヶ月が経過してしまう事もあり得ます。

このような書類は他の提出書類が大体揃ったところで取得することをお勧めします。
また申請する外国人の成績証明書や大学の卒業証明書等外国語で書かれている書類については必ず日本語訳をつけるようにしましょう。

申請の際、提出した書類は原則として返却されませんので、コピーを手元に保管しておくとよいでしょう。
また原本の提出が必要である場合、審査後返却してほしい書類が含まれているような場合は、申請時にその旨申し出るようにしてください。

ただし、申請後、出入国在留管理局で審査する過程において、ホームページに記載されている以外の書類を追加で提出するよう求められる場合もあるので、注意が必要です。

 

まとめ

日本で就労ビザを取得する第一歩としての在留資格認定証明書交付申請ですが、その核となるのが申請書です。
細かく様々な情報を記載しなくてはならないので、間違えてしまったり飛ばしてしまったりすることもあると思います。
しかし申請書に不備があると、申請そのものを受け付けてもらえない場合もあります。
特に数字やアルファベットなど注意して記入するようにしましょう。