就労ビザには、在留期間(期限)が設けられています。
この期間は、許可された業種の仕事をしても良いという、いわばお墨付きですが、もしこの在留期限が過ぎているのに、更新手続きを行っていなかった場合、どのような事態が起こるのでしょうか?
またどう対処すればいいのでしょうか?詳しくご説明します。
期限が切れたらどうなるか?
就労ビザの更新申請をしないで、在留期限が切れた場合、次のような事態が起こることが考えられます。
強制送還される
在留期間とは、日本に滞在を許可された期間のことを指します。
よって、その期間を1日でも過ぎた場合には、違法ということになります。
これはいわゆる「不法滞在」ということですから、基本的には「退去強制」の対象となる場合が高く、本国への強制送還の手続きが取られます。また、一旦強制送還となった場合には、その後5年間日本への入国ができなくなります。
ペナルティが科される
またそれ以外に、不法滞在を行った外国人に対して、刑事罰が科される場合もあります。具体的には法律で、「3年以下の懲役もしくは禁錮もしくは300万円以下の罰金に処し、またはその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科」との規定がなされています。
懲役、罰金ともに、かなりの重い罰が科されることがわかります。
就労ビザが失効したらどうするか?
就労ビザの在留期限が切れていることに気付いた場合には、次のような対処を行うことになります。
入国管理局へ出頭する
以前は、期限が1日、2日程度過ぎていても、入国管理局に申し出れば「特別受理」として、比較的柔軟な対応がなされていました。
もちろん現在も「特別受理」の対応は存在していますが、以前よりも期限について厳格化が進んでおり、現状では1日でも期限が切れると「オーバーステイ」、「不法滞在」とみなされ、比較的厳しい対応が取られるようになっています。そこで、期限が切れたことが判明したならば、速やかに本人が入国管理局へ出頭しなければならないといえるでしょう。
急を要することですから、仕事を休んででも、最優先に出頭することが大切であるといえます。
入国管理局で事情を説明する
入国管理局へ出頭したら、担当者に対して、在留期限が過ぎている旨を伝えます。
それと併せて、「なぜ期限を過ぎるに至ったか」についての説明も必要です。その際に、期限を過ぎた理由を説明するための文書を作成・持参し、担当者に対して簡潔にわかりやすく説明することが大切であるといえるでしょう。
担当者の指示に従う
その後は、担当者の指示に従うこととなります。
外国人にとって最も理想的なのは、
- 更新手続きを行い、それが認められ、
- 引き続きの日本に滞在できること
だといえるでしょう。
しかし、なかなか希望どおりに行くとは限りません。
最悪の場合、一旦母国に帰国し、再度日本へ入国し、就労ビザを取り直すことになるかもしれません。いずれにしても、外国人が個々に置かれている立場や状況によって、取るべき対応が違ってくる為、とにかく担当者の指示に従う必要があるといえます。
また、現在勤めている会社の人事担当者には、入国管理局の担当者から指示された内容を速やかに伝えるようにしなければなりません。
会社に隠してそのまま働き続けたり、会社の人事担当者が上手く対応しなかったりした場合、多くの人々に迷惑がかかる結果につながりかねません。
まとめ
就労ビザの在留期限は、運転免許証の有効期限とは違って、行政機関から「もうすぐ更新日です」と通知が来るものではありません。
従って、外国人本人はもちろん、雇っている会社の人事担当者も、在留期限については、十分把握しておく必要があると言えるでしょう。