在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、日本で働く外国人が取得する「就労ビザ」の中でも、最も代表的なものです。

この「在留資格」の取得要件、手続き等を詳しくご説明します。

 

技術・人文知識・国際業務ビザとは?

「技術・人文知識・国際業務」ビザは、主に一般企業で働く外国人が取得する「就労ビザ」です。

「技術」と「人文知識・国際業務」に分割されていた時期もありましたが、2015年(平成27年)4月1日に「技術・人文知識・国際業務」として一本化されました。

数ある「就労ビザ」の中でも、最も一般的な「就労ビザ」で、日本で「就労ビザ」を取得している外国人のうち、実に約3割の人がこの「就労ビザ」を取得しています。

 

取得要件、取得方法とは?

取得要件

「技術・人文知識・国際業務」は、大学や専門学校を卒業した人、もしくは実務経験を有する人が取得する在留資格です。

この在留資格を取得するためには、次に記載する①及び②の要件をクリアしなければなりません。

 

① (1)あるいは(2)の条件を満たすこと

 (1)「技術」・「人文知識」に該当する業務を行う場合 
  次のいずれかに該当していること(情報処理に関する業務を行う場合で、特定の試験に合格している場合、あるいは特定の資格を持っている場合を除きます)

 < 大学卒業 >
  業務に必要な技術や知識に関連する科目を専攻して大学を卒業したこと
  (または大学と同等以上の教育を受けたこと)

 < 専門学校卒業 >
  業務に必要な技術や知識に関連する科目を専攻して専修学校の専門課程を修了したこと
  (「専門士」または「高度専門士」をもっている場合に限る)

 < 実務経験 >
  関連する業務について10年以上の実務経験があること
  (大学、高等専門学校、高等学校、(中等教育学校の後期課程または専修学校の専門課程)において関連する科目を専攻した期間を含む)

 

 (2)「国際業務」に該当する業務を行う場合 
  以下のすべてに該当すること

 ・翻訳、通訳、語学指導、広報、宣伝、または海外取引業務、服飾、あるいは室内装飾に係るデザイン、商品開発その他これらに類似する業務を行うこと

 ・行おうとする業務に関連する業務について、3年以上の実務経験があること(翻訳、通訳、語学指導については、学部に関わらず大学を卒業していればクリア)


② 日本人と同等額以上の報酬を受けること

報酬については、体的な金額が定められているわけではありません。
会社の賃金体系を基にして、日本人従業員と同等額以上かをチェックされたり、他社の同じ職種の賃金を参考に判断されたりします。(※大卒の場合、月額20万円以上が目安)
※参考(厚生労働省ホームページ:学歴別にみた賃金

 

取得方法

外国人が本国にいる、または短期滞在で日本にいる外国人の場合には、「在留資格認定証明書交付申請」を行います。

また、外国人が既に他の在留資格で日本にいる場合には、「在留資格変更許可申請」を行います。
いずれの場合も、以下の書類、資料を出入国在留管理局へ提出します。

 

 

① 申請書

② 写真(縦4cm×横3cm)

③ 認定申請時のみ:切手貼付済の返信用封筒

④ 変更申請時のみ:パスポートおよび在留カードの原本の提示

⑤ カテゴリーのいずれかに該当することを証明する文書

⑥ 申請人の活動内容などを明らかにする資料

⑦ 申請人の学歴および職歴など、経歴を証明する書類、履歴書もしくは経歴書

⑧ 登記事項証明書

⑨ 会社概要

⑩ 直近年度の決算書

⑪ 新規事業の場合:事業計画書

⑫ 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表

⑬ 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出できない場合:
源泉徴収の免除を受ける場合:外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料
上記以外の場合:給与支払事務所等の開設届出書の写し、直近3ヶ月分の源 泉納付書もしくは源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

 

以上の書類、資料に不備がある場合は、補正の指示があり、速やかに書類の修正、不足している資料の提出を行わなければなりません。

申請が受理されれば、在留期間を付与され、許可されることになります。
在留期間は、5年、3年、1年、3ヶ月のいずれかになります。


また、「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得した外国人が扶養する配偶者や子どもは、「家族滞在」ビザを取得することができます。

なお、書類の修正や不足分の資料を提出しても許可されない場合は、一旦取り下げて、不許可になった理由を検討し、申請要件を満たしていない場合には、その要件を満たした上で、再度申請することになります。

 

申請のポイント

履修内容と業務内容との関連性

在留資格の取得に際しては、申請人本人の学歴が重要なポイントになります。
大学、専門学校で履修した内容と、今から取得しようとする就労ビザとの内容が関連していなければなりません。

職務内容の専門性

申請人本人が高卒などで学歴がない場合には、10年以上または3年以上の職務経験が必要となります。

この在留資格を取得する場合には、実務経験によっては、過去に勤めた会社から実務経験を証明する書類を取得し、提出しなければなりません。

給与水準

会社がこの在留資格を取得した外国人を雇用するためには、外国人に日本人と同等の給与を支給することが条件となります。
外国人だからという理由で、給与を下げることがあってはいけません。

雇用の必要性

雇い入れる会社の経営状態も重要なポイントです。

会社の事業が安定し、今後も継続して運営されるが証明できなければなりません。
そのために、会社の経営状態を示す資料の提出が必要となるのです。

素行

申請人本人の素行も、申請の際に重要です。
特に他の在留資格からこの資格に変更する場合には、日本での在留期間中に犯罪歴や税の滞納などがないかがポイントとなります。

 

申請が不許可になる事例

業務が在留資格に該当しない例

会社の業務が「技術・人文知識・国際業務」ビザに該当しない場合は、不許可になります。

例えば、ホテル業、旅館業、小売業、飲食業等を業務とする会社では、現場の仕事があります。
しかし、「技術・人文知識・国際業務」ビザでは現場で働くことができません。

従って、宿泊客の荷物運搬、客室清掃等の現場での仕事に対しては、「技術・人文知識・国際業務」ビザで申請しても許可されないことになります。

業務内容と専門性が合致しない例

申請する外国人が持っている専門性と職務内容に関連性がない場合、あるいは関連性が薄い場合には、許可されません。

例えば、大学で経済学を専攻した外国人が金融機関に就職する場合は許可されますが、ファッション関係の専門学校を専攻した外国人が金融商品の営業を行う場合は、関連性が薄いため、不許可になります。

雇用する会社が適切でない例

雇用する会社に何らかの問題があり、不適切な場合には、許可されません。

例えば、会社の決算書を確認した上で、社員として雇用できる状態ではない、あるいは会社規模が小さ過ぎる等、会社経営の継続性に問題があるような場合には、許可されない可能性があります。

申請人(外国人)に問題がある例

申請する外国人が、過去に出入国在留管理局とトラブルになった場合、あるいは入管法に違反していた場合等、外国人に問題がある場合、就労ビザは許可されない可能性があります。

 

申請の注意点

転職した場合の手続き

「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得している外国人が同じ職種の会社に転職する場合は、基本的に在留資格の変更手続きは必要ありません。

しかし、現在の在留資格は現在の会社に就職することを前提として取得したものです。
つまり、新たに就職する会社を前提として、取得した在留資格ではありません。


そこで、新たな会社の業務内容が、現在取得している在留資格が認めている活動内容に含まれていることについて、出入国在留管理局が認めてくれれば、転職先の会社は安心して外国人を雇入れることができます。

そのためには、出入国在留管理局から「就労資格証明書」を発行してもらい、それを転職先の会社に提出する必要があります。
また、外国人が、新たに会社に就職した際には、14日以内に出入国在留管理局へ「契約機関に関する届出」を提出しなければなりません。


一方、異なった業種の会社に転職する場合には、在留資格の変更申請が必要です。
この申請を行わないまま転職すると、「資格外活動」となり、不法就労と見なされます。


なお、「国際業務」の在留資格を持っている外国人が「人文知識」を業務とする会社に転職した場合、基本的に変更申請の必要はありませんが、転職先の会社の業務内容が、現在有している在留資格に該当しない時には、変更申請を行わなければなりません。

 

他の在留資格からの変更について

現在取得している在留資格と異なる業務を行う会社に就職する場合、あるいは留学生が新たに会社に就職する場合には、在留資格の変更が必要です。

なお、取得しようと思う在留資格によって、提出する書類・資料は異なりますので、変更することが決まったら早めに必要な書類・資料を準備するようにしましょう。
(※参考 : 外務省ホームページ 在留資格変更許可申請

アルバイトは可能か?

「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得している外国人は、その就労ビザの範囲内であれば「資格外活動」の許可を受けていなくても、アルバイトができます。
また、就労ビザの範囲外のバイトをする場合には、「資格外活動」の許可を受ける必要があります。


しかし、実際には「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得している外国人について、「資格外活動」が許可されるケースは多くありません。
なぜなら「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を得て働く外国人には、アルバイトの必要がないと捉えられるからです。


また、「資格外活動」が許可されても、原則として単純労働は入管法第19条により、許可されないと解されます。
さらに、アルバイトをする際には、勤めている会社の許可を得ておく必要があります。

もし、会社がアルバイトを禁止していた場合、勝手にアルバイトをすれば会社から処分を受けることもあります。
※出典 : 出入国在留管理庁 資格外活動の許可(入管法第19条)

 

まとめ

「技術・人文知識・国際業務」ビザは、最も代表的な在留資格です。

就労できる業務内容は他の在留資格に比べて広いのですが、転職をする際には、本文で記載したように注意が必要です。