外国籍の方々を取り巻く労働環境が厳しいことは、よく知られているところです。もちろん、外国人の雇用に関する規程は制定されていますが、周知徹底されていないのが、現実です。

ここでは、外国人労働者の雇用に関する規程と、事業主が注意すべき点を詳しくご説明いたします。

外国人の雇用に関する法律とは

雇用対策法第8条とは

外国人労働者の雇用に関して最も重要な条文は、以下に示す「雇用対策法第8条」です。
事業主は、外国人(日本の国籍を有しない者をいい、厚生労働省令で定める者を除く。以下同じ。)が我が国の雇用慣行に関する知識及び求職活動に必要な雇用に関する情報を十分に有していないこと等にかんがみ、その雇用する外国人がその有する能力を有効に発揮できるよう、職業に適応することを容易にするための措置の実施その他の雇用管理の改善に努めるとともに、その雇用する外国人が解雇(自己の責めに帰すべき理由によるものを除く。)その他の厚生労働省令で定める理由により離職する場合において、当該外国人が再就職を希望するときは、求人の開拓その他当該外国人の再就職の援助に関し必要な措置を講ずるように努めなければならない。
少し長い条文ですが、重要なことは、次の2点です。
  • 事業主は、外国人労働者が職業に適応するための措置と雇用管理の改善に努めなければならない
  • 事業主は、離職した外国人が再就職を希望するときは、再就職の援助に努めなければならい

つまり、雇用された外国人が職業に適応するようにすること、解雇されて再就職を希望する外国対して援助することは、事業主の努力義務ということです。

雇用対策法第9条とは

外国人労働者の雇用に関して重要な条文には、以下に示す「雇用対策法第9条」もあります。

厚生労働大臣は、前条に定める事項に関し、事業主が適切に対処するために必要な指針を定め、これを公表するものとする。

この条文では、先程示した事業主の努力義務に関する事柄について、厚生労働大臣は指針を定めて、公表しなければならないとしています。

具体的な内容

厚生労働大臣が示している指針の概要は、次のとおりです。

募集及び採用の適正化

  • 募集:事業主は、外国人労働者を募集する際に、業務の内容、賃金、労働時間、就業の場所、労働契約の期間、労働・社会保険関係法令の適用に関する事項について書面等で明示すること
  • 採用:事業主は、外国人労働者を採用する際に、在留資格により従事することが認められる者であることを確認すること

適正な労働条件の確保

  • 均等待遇:事業主は、労働者の国籍を理由に、賃金、労働時間等の労働条件について、差
    別的取扱いをしてはならないこと
  • 労働条件の明示:事業主は、労働契約の締結の際に、賃金、労働時間等について、外国人労働者が理解できるような書面を交付したり、賃金、社会保険等についても理解できるように説明したりすること
  • 適正な労働時間の管理:事業主は、法定労働時間の遵守、週休日の確保等、適正な労働時間管理を行うこと
  • 労働基準法等関係法令の周知:事業主は、外国人労働者が労働基準法等関係法令を理解できるように説明した上で、周知を行うこと
  • 労働者名簿等の調製:事業主は、労働者名簿、賃金台帳を調製すること
  • 金品の返還等:事業主は、外国人労働者の旅券等を保管せず、外国人労働者が退職する際に金品を返還すること

解雇の予防及び再就職の援助

事業主は、事業規模の縮小等を行おうとするとき、外国人労働者を安易に解雇しないこと。
やむを得ず解雇等する場合で、再就職を希望する外国人者に対しては、再就職が可能となるような援助を行うこと

雇用主、人事担当者が注意すべきこととは?

募集の際の注意点

雇用主、人事担当者は、外国人を募集する際には、業務の内容、賃金、労働時間、就業の場所、労働契約の期間等を明確に示さなければなりません。
同じ日本人でも、日本の会社に就職する際に、「募集内容と違っていた」と就職後にトラブルが起きることも、度々あります。
まして、環境が全く違う外国人に対しては、より丁寧な説明が必要です。

採用の際の注意点

外国人労働者を採用する際に、在留資格を確認することは、必須事項です。
もし在留資格で認められていない業務を行わせた場合、雇用主、事業主は、処罰される可能性があります。

再就職の援助

解雇された外国人が、そのまま日本に滞在しても、就職できないのであれば、不法就労、不法滞在の可能性が出てきます。
そこで、外国人をやむを得ず解雇した雇用主、事業主は、外国人が再就職できるように援助しなければならないのです。
例えば、関連企業へのあっせん、教育訓練の実施・受講あっせん、求人情報の提供等の方法が考えられます。

まとめ

入管法が改正され、2019年4月から在留資格「特定技能」がスタートしたことから、日本は今後多くの外国人労働者を受け入れることになります。
日本に来た外国人が、持っている能力を生かして日本で働けるように、事業主は、募集、採用、雇用環境等の面でしっかりサポートしていく必要があります。