日本では、働く外国人の方が年々増加しています。様々な分野で外国人材が活躍していますが、優秀な外国人材の方も多くいます。

そんな優秀な技能や技術を持った外国人の方を採用する際には、他の在留資格よりも優遇される在留資格を取得できる可能性があります。

優秀な外国人を雇用する場合に利用できる高度人材ポイント制について、詳しく解説します。

高度人材ポイント制とは?

高度人材ポイント制とは、どのような制度でしょうか。
制度ができた背景から詳しく説明します。

高度人材の受入背景

海外では、高度な知識や技能を有している「高度人材」と呼ばれる人々の獲得競争が行われています。
日本も、そうした高度人材を呼び寄せ、日本の発展に寄与してもらいたい、という思いがあります。


そこで、そのような優秀な外国人が日本で働く際に、他の在留資格よりも優遇され、日本で働きやすくするための在留資格が、平成24年5月に創設されました。
それが「高度専門職」と呼ばれる就労ビザです。


制度開始から順調に人数を増やし、令和元年12月時点では、すでに21,347件の高度人材ポイント制が認定されています。

出典:法務省「高度人材ポイント制の認定件数(累計)の推移

 

高度専門職を得るためのポイント

優れた能力を持つかどうかの判定基準になるのが、高度人材ポイント制です。
学歴、資格、年収など様々な項目をポイント化したものです。

優遇される在留資格「高度専門職」を得るためには、合計が70点以上のポイントが必要です。

ポイント評価の仕組み

基本的には、学歴、職歴、年収、年齢によるポイントが設定されています。

さらに、ボーナスポイントとして、日本語能力、職務に関する資格、トップレベルの大学の卒業などでポイントが加算されます。


ポイント加算については、これまでに見直しがされ、基準が緩和されたり、トップレベルの人材にさらなるポイント加算ができるようになってきています。

各ポイントの基準は、就労ビザ「高度専門職」の3つの類型ごとに設定されています。

 

高度専門職1号(イ)

日本にある機関と契約を結んで、研究、研究指導、教育などを行う就労ビザです。
具体的には、大学教授や研究者などが当てはまります。


職歴(実務経験)では、3年以上が5ポイント、5年以上が10ポイント、7年以上が15ポイントとなっています。
年収においては、年齢に応じた年収設定がされており、例えば、29歳以下で年収400万円であれば10ポイントとなっています。

この他、年齢によるポイントもあります。

高度専門職1号(ロ)

日本にある機関と契約に基づいて行われる、自然科学、人文科学の分野に関する知識や技術を必要とする仕事です。

よく利用される就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」とほぼ同じ内容ですが、「国際業務」の内容は入っていないため注意が必要です。

「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザを取得しようとしている外国人の方で、大学卒など、高度人材ポイント制で70点以上取得できそうであれば、「高度専門職」での就労ビザを得られる可能性があります。


ポイント評価は、学歴、年収、年齢の基準は(イ)と同じですが、職歴に関しては、10年以上であれば、20ポイント加算できます。
また、職務に関する日本の国家資格があれば、10ポイントが加算できるようになっています。

高度専門職1号(ハ)

日本において経営または管理を行う仕事です。
いわゆる「経営・管理」の就労ビザと同じ内容です。


ポイント評価では、年収については、(イ)(ロ)のような年齢による年収基準ではなく、単純に年収での評価がされます。
1,000万円以上で10ポイント、3,000万円以上なら50ポイントも加算されます。

また、代表取締役であれば10ポイント、取締役であれば5ポイントといった役職に応じたポイントもあります。

出典:入国管理局「ポイント計算表

 

高度人材ポイント制による優遇措置

高度人材ポイント制を利用した就労ビザ「高度専門職」には、1号と2号があります。
それぞれに優遇措置があります。

高度専門職1号(イ)(ロ)(ハ)

通常の在留資格では、一つの職種しか認められませんが、高度人材は、関連する複数の仕事をすることができます。

例えば、大学の研究活動と合わせて、関連事業の経営を行うなどが可能です。


一般的な就労ビザでは、在留期間が1年から3年程度付与されるケースが多いですが、高度人材では、一律で5年付与されます。


通常、永住許可得るためには10年以上日本に住むことが必要ですが、高度人材であれば、3年間で永住許可を申請することができます。
さらに、高度人材ポイントが80点以上であれば、1年で永住許可を申請できます。


高度人材の配偶者が日本で働く場合、「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザと同じような学歴・職歴などの要件を満たさない場合でも、就労することが可能です。

一定の条件はありますが、親や家事使用人の呼び寄せが認められます。

在留手続きに関しても、優先的に早期処理が行われるようになっており、他の在留資格に比べると、かなり優遇されています。

 

高度専門職2号

高度専門職1号で認められる活動の他、就労に関する在留資格で認められるほぼすべての仕事をすることができます。

在留期間が無期限になり、その他は、高度専門職1号と同じ優遇措置が受けられます。


 

手続きの流れについて

高度人材ポイント制を利用した在留資格「高度専門職」の手続きの流れについて説明します。

現在日本にいる外国人の方の場合

現在持っている在留資格から「高度専門職」へ変更する必要があります。

住所を管轄する入国管理局で在留資格変更許可申請を行います。
ポイントが70点以上あると認定され、在留資格が認められたら、「高度専門職」として引き続き日本で働くことができます。

海外から呼び寄せる場合

海外から優秀な外国人材を呼び寄せる場合は、雇用する会社が、予定されている住所地の入国管理局に在留資格認定証明書の申請を行います。

在留資格認定証明書が交付されたら、海外にいる本人に送り、それをもって上陸審査を受け、日本に入国します。

 

手続きの必要書類

手続きの必要書類は、在留資格変更許可申請書または在留資格認定証明書交付申請書のほか、本人の写真、雇用契約書等の仕事内容に関する資料、ポイント計算表、ポイントを証明できる資料です。


仕事内容に関する資料については、他の在留資格「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」とほぼ同じ書類です。

ポイントについては、学歴を証明する卒業証書や資格取得の証明書など、70ポイント以上になる疎明資料が必要です。


また、親や家事使用人も一緒に呼び寄せる場合には、それぞれについての在留資格認定証明書交付申請が必要です。

 

メリットと注意点

高度人材を受け入れる際のメリットは、何といっても優遇措置です。
他の就労ビザに比べて、最初から5年という長期間の在留資格が与えられます。


更新も可能な上、3年以上日本で働けば、永住許可申請も可能になります。
長期にわたって安定して雇用することができ、優秀な外国人材の定着を促進することができます。


高度人材であれば、条件付きではありますが、親や家事使用人の呼び寄せも認められます。
これは、他の在留資格ではないため、大きなメリットです。

採用しようとする外国人のポイントが70点以上になるのであれば、高度専門職の申請をおすすめしますが、注意点もあります。


高度人材ポイント制のリストで自己チェックし、70点以上になる場合であっても、それを証明できる資料があるかどうか、が問題になります。


例えば、トップレベルの大学を卒業した、業務に関する国家資格を持っている、あるいは優れた日本語能力がある、と外国人の方が話したとします。
しかし、卒業証書がない、資格証明もない、日本語試験も合格していない、となるとポイントを証明することができなくなります。


高度人材として申請できるかどうかについては、慎重に判断する必要があります。

高度専門職で申請したものの、ポイント不足で不許可になってしまった場合は、別の在留資格を検討する必要があります。

高度専門職にはなれなかったものの、「技術・人文知識・国際業務」あるいは「経営・管理」などの一般的な就労ビザを取れる可能性があります。

 

まとめ

優秀な外国人材を日本に呼び寄せ、定着させるため、高度人材ポイント制が創設されました。
各項目のポイントの合計が70点以上であれば、「高度専門職」という在留資格の申請が可能です。

「高度専門職」では、長期の在留期間や永住許可を取るための条件緩和など、他の就労ビザにはない優遇措置があります。

優れた技術・能力のある外国人を雇用する際には、高度人材ポイント制を利用して、在留資格「高度専門職」を取得することが可能です。