外国人が日本で不法就労をしているニュースが、時々報道されます。
不法就労が発覚すると、外国人本人に不利益が生じることはもちろん、雇用している会社にもペナルティが科される可能性があります。不法就労について、詳しくご説明いたします。
不法就労とは?
「不法就労」と言っても、分類することができます。ここでは、3つの種類に分けてご説明致します。
不法滞在者
外国人が日本に観光目的で滞在する場合、在留資格「短期滞在」が必要です(一定の国から入国する場合を除く)。
しかし、この在留資格「短期滞在」に定められた日数を超えても、日本から出国せず、そのまま滞在し続けると、「不法滞在者」となります。そのまま滞在して働くことで、不法就労となるのです。
就労が許可されていない人
日本に入国、滞在するには、基本的に在留資格(ビザ)を取得する必要があります。そのうち就労が許可されているのは、次のような種類の在留資格(ビザ)です。
- 公用
- 外交
- 芸術
- 宗教
- 報道
- 教授
- 経営・管理
- 法律・会計事務
- 医療
- 教育
- 研究
- 技術・人文知識・国際業務
- 企業内転勤
- 技能
- 興行
- 介護
- 技能実習
- 特定活動
- 特定技能
これらの在留資格(ビザ)を取得していない場合に、報酬を受け取って、就労した場合、不法就労に該当します。
ただし、以下に該当し、それらに適合する在留資格(ビザ)を取得している場合には就労可能です。
- 永住者
- 永住者と結婚している人
- 日本人と結婚している人
- 定住者(法務大臣から一定期間住むことを認められている人)
範囲を超えて働いている人
先程ご説明した種類のビザを取得していれば、どのような仕事をしても構わない、というわけではありません。
仕事の内容が職種の範囲を超えている場合、あるいは職種を変えたにもかかわらず、在留資格変更許可や資格外活動許可の手続きを行っていなければ、不法就労になります。
つまり、外国籍の方は、入国管理局から許可を得た職種でしか、働くことはできないのです。
会社へのペナルティ
不法就労者に該当する外国籍の方を雇用していた場合には、会社は次のようなペナルティを科される場合があります。
不法労働助長罪
不法就労をさせたり、不法就労を斡旋した事業主は、「不法労働助長罪」という罪に問われる場合があります。
これによって、3年以下の懲役、または300万円以下の罰金、あるいはこの両方の罰則が科される可能性があります。
なお会社は、「不法就労者だとは知らなかった」という弁明はできません。従って、常に雇用している外国人が不法就労者に該当しないか、管理しておく必要があります。
営業停止
不法就労者を雇用する会社が外国籍の方によって経営されていた場合も、罪に問われます。有罪判決になった場合には、営業停止となり、経営者は日本からの強制退去を命じられる可能性があります。
30万円以下の罰金
外国人の雇用について、ハローワークに届け出なかった場合、あるいは虚偽の申請をした場合には、罰せられます。この場合、30万円以下の罰金が科せられますので、確実に届出を行い、正しく申請しなければなりません。
不法就労者を雇用しないための対策
以上のように、不法就労者を雇用してしまった場合、仮にその事実を知らなくても、重いペナルティが科されます。従って、会社は不法就労者を雇用しないように、定期的に「在留カード」を確認する必要があります。また必要に応じて、入国管理局に照会を行う等の方法も必要です。
外国籍従業員が転職してきた場合には、あらかじめ「就労資格証明書」を提出してもらうことも有効かもしれません。
まとめ
不法残留者の数は、アジアの国々を中心にして、7万人を超えています。
法務省HP「本邦における不法残留者数について(平成31年1月1日現在)」
訪日外国人の数が年々増えている現在、今後ますます増加することが予想できます。
企業の人事担当者は、雇用している外国人の管理強化が、より一層求められます。