行政書士の中で、在留資格などの申請が許可される人を「取次行政書士」と言います。

また、取次行政書士である証明として、出入国在留管理庁から「届出済証明書」が交付されます。
ここでは、取次行政書士と届出済証明書について、詳しくご説明します。

取次行政書士とは?

取次行政書士とは、行政書士の中で、在留資格認定証明書交付申請、更新、変更などの取次を行うことができる資格を持った人のことです。

本来、在留資格の申請などは、外国人本人が出入国在留管理庁(局)に出頭して、行わなければなりません。しかし、外国人の代わりに申請が許されている資格者が、この取次行政書士ということです。


また、申請書の作成、補足の添付書類の収集などについて、外国人に適切なアドバイスを与えることができることも、取次行政書士に認められた権限です。

 

届出済証明書の取得方法は?

取次行政書士としての資格を持てば、「届出済証明書」とう許可証が交付されます。この許可証はどのような方法で取得できるのでしょうか?


まず大前提として、行政書士の登録をしていなければなりません。
登録というのは、行政書士しての資格を持った上で、各都道府県の行政書士会に登録の申請を行い、許可を受けて、開業しているということです。

従って、単に行政書士の試験に合格しているというだけでは、「届出済証明書」を取得することはできないことになります。


取得方法

行政書士の登録をした上で、定期的に行われる「行政書士申請取次事務研修会」に申し込むことになります。この研修の情報は、日本行政書士会連合会が発行している「月刊日本行政」に掲載されています。

なお、この研修は、「新規」と「継続」の2種類がありますが、新たに取次行政書士の資格を取りたい人、有効期間内に継続の申請を行わなかったために資格が失効した人は、「新規」の研修を受講します。

申し込みはFAXで行い、研修費3万円を振り込んだら、受付完了です。折り返し、FAXで受付票が送られてきます。
※(参照:「行政書士申請取次事務研修会」の御案内 「月刊 日本行政2020年4月号(p.51)」)


研修時間と内容

研修時間は、概ね10:30 ~ 17:00です。もちろん、間に昼休みがあります。

第1限は総論で、第2限・第3限は各論、第4限は職務倫理で第5限に効果測定というスケジュールになっています。
最後の効果測定は、研修内容から出題され、基本的に資料やテキストを見ても構いません。


研修から2週間程度で、修了証が郵送されてきます。その後、申請取次行政書士になるための新規の届出手続きを行うために、以下の書類を各都道府県の行政書士会に郵送します。

  • 修了証(コピー)
  • 行政書士証票(コピー)
  • 申請取次申出書
  • 誓約書
  • 経歴書
  • 写真(2㎝×2㎝:2枚)
  • 返信用封筒

 

です。
申請取次申出書、誓約書、経歴書は各都道府県の行政書士会、日本行政書士会連合会のホームページからダウンロードできます。

その後、各都道府県の行政書士会によっては、研修会を兼ねて、「届出済証明書」の交付式が行われます。研修を受けた後に、「届出済証明書」を受け取ることになります。

 

届出済証明書(ピンクカード)とは?

交付される「届出済証明書」は、縦6㎝、横9㎝のです。色はピンクで、通称「ピンクカード」と呼ばれています。

表面には、「届出済証明書」と記載されていて、

  • 取次行政書士の氏名
  • 生年月日
  • 所属会名(○○行政書士会)

が印字されています。

そして、「上記の者は、入管法施行規則の規定に基づき届出行った行政書士であることを証明する。」と記載され、取次行政書士の事務所を管轄する出入国在留管理局長の記名と押印があります。


裏面には、「出入国在留管理職員の要求があった場合には、この証明書を提示しなければならない」などの注意事項が列記されています。


有効期間

また、「届出済証明書」の有効期間は、発行から3年です。

更新を希望する場合には、有効期間が切れる前に、「継続」の研修を受講し、継続の手続きをしなければなりません。


なお、地域によっては、この「届出済証明書」の色がピンクではなく、黄色の場合があります。その際は、通称「イエローカード」ということになります。

 

届出済証明書を受け取ったら?

「届出済証明書」を受け取ったら、まず自分の氏名、生年月日などの記載を確認し、間違いがないか、確認する必要があります。

もし間違いや変更などがあれば、速やかに所属する行政書士会に連絡をしましょう。


また、裏面の注意事項にも、十分目を通しましょう。「他人に貸与したり、預け入れ、又は譲り渡したりしてはいけない」など、重要な注意事項記載されています。この注意事項を遵守しないと、取次行政書士の資格を停止、または取り消されることがあります。

なお、表面の「有効期間」については、常に留意するようにします。3年間は長いようで、意外と短いものです。うっかり更新手続きを忘れてしまった、ということがないように注意しましょう。

 

まとめ

取次行政書士は、厳密に言えば、在留資格などの手続きを行う外国人の「代理人」ではありません。

あくまでも、手続きを行う外国人を出入国在留管理庁に「取り次ぐ」資格を持っている資格に過ぎません。


しかし、手続きを行う外国人にとっては、面倒な手続きについて、アドバイスしてくれる頼りになる存在であることには違いありません。