外国人が長期間(3ヶ月以上)にわたり日本で暮らすためには、日本で行う目的に応じた在留資格を得る申請を出入国在留管理局に対し行います。

ところで申請を提出してから在留資格を得るまでの審査期間はどれくらいかかるのでしょうか。
また在留資格を得た後はどれくらい日本にいることができるのでしょうか。

今回は入管での審査期間と日本にいられる在留期間について解説していきます。

 

就労ビザの在留期間

在留資格と在留期間の関係性について

日本にいることができる在留期間はどのように決められるのでしょうか。
実は在留期間は在留資格と深い関係があります。

令和元年11月現在の在留資格一覧表がこちらとなります。(出入国在留管理庁 : 在留資格一覧表
これによると在留資格は29種類となっています。(特定技能及び技能実習は1号、2号併せて1つと数えています。)

一覧表の右側に「在留期間」という欄がありますが、実は許可される在留期間は在留資格ごとに決められているのです。

在留期間の種類

在留資格が一度許可されればずっと日本で暮らせるのかと言えばそうではありません。
日本に在留できる期間には有効期限があり、それを「在留期間」と言います。

上記の通り、在留資格ごとに出入国在留管理局が許可できる期間というのは決められています。
在留資格を申請する際、申請書にどれくらいの在留期間を希望するかを記入しますが、その通りに許可されるかどうかは分かりません。

例えば一般的な就労ビザである「技術・人文知識・国際業務」で許可される在留期間は「5年、3年、1年又は3月」と定められています。もちろん長く日本で働きたい外国人は申請の際3年や5年と記載するかもしれませんが、初回は1年で許可されることが多いようです。


では、1年を経過したら帰国しなければならないのでしょうか?
そのような事はなく、1年経過後も日本で働きたい場合には「在留期間更新許可申請」の手続きを行います。

 

更新はいつからできる?

この申請は現在有している在留期間が満了するおおむね3ヶ月前から出来ます。
万が一更新が不許可となった場合の事も考慮し、早目に行うようにしましょう。

審査のポイント

また期間更新の際、現在有している在留期間より長い期間が許可されるとは限りません。
税金、年金等の滞納や交通違反を繰り返す等のほか、行っている仕事内容が有している在留資格とは違う、許可されていない仕事を行っている等の在留状況が悪いと判断されると長期の在留期間を得られないばかりではなく、最悪の場合在留資格の期間更新が不許可となる場合があります。

また転職を行っている場合にも期間更新申請時の審査が厳しくなる傾向があります。
期間更新申請の審査の際には、それまでの在留状況が審査されますので長期の在留期間を取得したい場合には、日本の法令を遵守すること、転職をした場合には必要な届出を行い、「就労資格証明書」を取得しておくと良いでしょう。

 

就労ビザの審査期間

それでは就労ビザの期間更新をする場合や現在有している在留資格の種類を変更する(例えば外国人留学生がそのまま日本で働くために就労ビザに変更する等)場合にはそれぞれどれくらいの期間がかかっているのでしょうか。
それぞれの標準処理期間を確認してみましょう。

在留資格変更の場合

法務省が発表している出入国在留管理局の標準処理期間は2週間から1ヶ月ということになっています。(法務省 : 在留資格変更許可申請

法務省が実際の統計データを四半期ごとに発表しています。(法務省 : 在留審査処理期間

 

【技術・人文知識・国際業務への変更申請】

変更申請

統計データで見ると、一ヶ月以上かかっている事がはっきりとわかりますね。
1月から3月にかけては約一月半を要しています。これは日本企業のほとんどが、4月から新入社員を迎えるためだと思われます。
そのために出入国在留管理局は相当混雑するので、許可が下りるまでの期間を長めに想定しておく必要がありそうです。

ちなみに在留資格「経営・管理」では、51.8日→53.6日→58.0日→52.8日→47.9日→51.0日→57.3日(上記表と期間同じ)となっており、標準処理期間を大幅に日数超過しています。

 

期間更新の場合

法務省が発表している出入国在留管理局の標準処理期間は、ビザ(在留資格)の変更の場合と同じく、二週間から一か月です(法務省 : 在留資格変更許可申請)。

法務省発表の統計データで、確認してみましょう。
【技術・人文知識・国際業務の期間更新申請】

更新申請ビザ(在留資格)の変更の場合よりも、若干短い期間で許可が下りていることがわかります。
しかしやはり約一か月の期間を要していますので、それ以上の期間が必要となっているケースも少なくはないでしょう。

ちなみに在留資格「経営・管理」では、33.6日→33.4日→32.8日→29.5日→28.1日→33.7日→32.5日(上記表と期間同じ)となっており、やはり標準処理期間をオーバーしていることがわかります。

 

在留資格認定証明書交付申請の場合

在留資格を既に有している場合の審査期間を見てきましたが、そもそも在留資格を最初に申請する場合(在留資格認定証明書交付申請)にはどれくらいの期間がかかるのでしょうか。

法務省が発表している出入国在留管理局の標準処理期間は1ヶ月から3ヶ月となっており変更申請や期間更新にくらべ審査に長期間を必要としていることが分かります。


では実際どれくらいの日数がかかっているか法務省の統計データで見てみましょう。
【技術・人文知識・国際業務の在留資格認定証明書交付申請】

認定申請

変更申請や期間更新に比べ審査期間が長いことが分かります。3ヶ月とまではいかないものの、短くても審査期間2ヶ月は見ておいた方が無難なようです。
また近年、審査期間が長くなっている傾向があります。

ちなみに在留資格「経営・管理」では、61.0日→65.5日→76.0日→85.1日→96.9日→122.2日→87.7日(上記表と期間同じ)となっており、非常に審査に時間がかかっている事が分かります。

 

在留期間内に申請の結果が出なかったら・・・?

期間更新や在留資格変更申請にはある程度の時間がかかることが分かりました。

出入国在留管理局にビザ(在留資格)の変更やビザ(在留資格)の期間更新の申請をしたにもかかわらず、現在のビザ(在留資格)の在留期間までに、許可が下りない…という事態を迎えると、外国人の方は相当慌てます。

場合によっては、受け入れ企業の職員の方も一緒になって慌てていることがあります。
このような場合、現在の在留期限を迎える前に一度出国しなければならないのでしょうか。


いえ、大丈夫です。日本に留まっていることができます。
なぜか?入管法の特例措置で、在留期間の満了後も「当該処分がされる日」、又は「従前の在留期間の満了の日から二か月が経過する日」のいずれか早い日までの間は、引き続き従前の在留資格でそのまま在留することができるようになっているのです。

入国管理局にビザ(在留資格)の変更やビザ(在留資格)の期間更新の申請をしていれば、在留期間の満了日が来たからといって、すぐに不法残留となることはないので、安心してください。

 

不許可の場合

では、不許可となった場合はどうなるのでしょうか。
不許可となると明日にでも出国しなければならないわけではなく、帰国する準備期間として30日間もしくは31日間の特定活動という在留資格が与えられます。31日間の特定活動が与えられた場合、不許可の事由を是正して再申請することが可能です。

しかし、30日の特定活動が与えられた場合には、残念ながら再申請しても不許可になる可能性が高いと考えられますので、期限までに帰国することとなります。

 

在留期間更新はいつまで続ける必要があるのか?

日本に滞在している間は在留期間更新をし続けなければいけないのでしょうか。

在留資格によっては在留期間更新が不要となります。
その代表が「永住者」という在留資格です。
一定の要件を満たした外国人は永住申請が出来、許可されると永住者としての在留資格を有します。

永住者は在留期間更新申請も不要ですし、就労についても制限がありません。
この「永住申請」を行う場合、現在有している在留期間が、現在有している在留資格に対して設定されている最長の期間でなければなりません。

つまり、現在「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に設定されている最長の在留期間は5年ですので、5年の在留期間を有していることが永住申請の要件の一つとなります。
ただし、当面の間在留期間3年でも永住許可申請は可能となっています。


また高度専門職2号という在留資格を有する外国人も在留期間更新申請が不要となります。
ただし、永住者も高度専門職2号も「在留カード」には有効期間が設定されており、この有効期間更新申請は必要となります。

永住者と高度専門職2号は「外国人」として日本に在留する期間に定めがありませんが、「帰化」という手続きを行い、日本国籍を取得することで「在留期間」という概念もなく日本で生活をする方法もあります。
ちなみに「帰化申請」は出入国在留管理局ではなく、法務局に対し申請を行うことになります。

 

まとめ

在留資格変更や期間更新の審査はやはり相当の時間を要することがご理解いただけたと思います。
また上記の審査期間はあくまでも目安であり、それより短い期間で結果が出る方もいれば、長期間を要する方もいるでしょう。
結果が不許可になってしまった場合のリカバリーも考慮に入れながら早目に申請を行うことをお勧めします。

また審査期間が延びる要因として提出資料の不備や不足等も挙げられます。
最初から審査官が必要であろう情報を提示しておくと審査期間の短縮につながるかもしれません。

しかし、審査官がどのような情報を必要としているかについて判断するのは難しい場合もあるでしょう。
また期間更新をしなくてはいけないと思いつつ、忙しくて在留期限ぎりぎりの申請になってしまう可能性もあります。

そのような時には外国人本人や外国人を雇用しようとする機関に代わって申請を提出できる申請取次者に申請を依頼することも検討してみるのはいかがでしょうか。
申請業務に慣れた申請取次者に依頼することで申請書の不備や不足を防げるだけではなく、ご自身が出入国在留管理局に出向かなくても申請が可能になります。