日本に在留する外国人の中には、日本での生活が長く永住権を持っている人がいます。

一方、日本の国籍を取得して帰化する外国人もいます。

この永住と帰化は、一体どう違うのでしょうか。詳しくご説明いたします。

帰化許可申請に必要となる7つの条件については、以下の記事をご参照ください。
帰化許可申請に必要な条件 総まとめ!|7つの条件を一挙解説

永住と帰化の違いとは

永住とは?

永住とは、「永住許可」を得て、外国人が在留期間を制限されることなく、日本に住み続ける権利のことです。


在留資格を持っている外国人が、「永住許可」を得るためには、入国管理局に対して永住許可申請を行います。

ただし「永住許可」を得ても、日本の国籍を取得するわけではないので、選挙権、被選挙権はなく、警察、役所などの公的機関への就職はできません。


ただし、自治体と密接な関係を持っているとして、「永住許可」」を得ている外国人にも、一部選挙権や公務員としての就職が認められています。

一方で注意すべきことは、永住ビザを取得していても、再入国許可を取得しないまま、1年を超えて日本を離れたような場合には、「永住許可」を取り消されることです。また、犯罪などでも「永住許可」を取り消される場合もあります。

 

帰化とは?

帰化とは、外国人が日本の国籍を取得することです。

複数の国籍を持つことができる国もありますが、日本では国籍は一つしか認められていませんから、日本に帰化したら、今持っている国籍を放棄することになります。

帰化すると、国籍上日本人になりますから、ビザの更新や届出はなくなります。また、選挙権や被選挙権を持つことができ、就労についても制限がなく、どんな仕事にも就くことができます。

帰化するためには、法務局に申請を行います。

 

  永住 帰化
申請先 出入国在留管理局 法務局
審査期間 4カ月程度 半年から1年程度
取得要件 ・素行が善良であること

・独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

・その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

・引き続き5年以上日本に住所を有すること

・20歳以上で本国法によって能力を有する者

・素行が善良であること

・自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること 

・国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと

・日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと

・日本語の読み書きができること

戸籍 外国籍のまま 外国籍を離脱し、日本国籍になる
選挙権 選挙権・被選挙権ともなし 選挙権・被選挙権ともあり
更新 7年ごとに在留カードの更新が必要 更新なし

 

帰化のメリットは?

日本人の名前を持つことが可能になる

日本人になるのですから、今までの名前から日本人の名前に変えることができます。日本では、名前の表記で日本人か否かを判別することが出来ます。特に名前が漢字ではなく、カタカナ表記の場合には、それが顕著になる為、それを「日本人の名前」に変更できることはメリットの一つと言えるかもしれません。

帰化し、日本人らしい名前になることで、日本で生活しやすくなるという一面もあります。

日本の戸籍を持てる

日本人になる為、自分の「戸籍」を持つことができます。「戸籍」制度は、日本特有のものであり、「人の出生から死亡に至るまでの親族関係を登録公証するものであり、日本国民について編製」(法務省「戸籍」)されるものです。これにより、実質的に日本国籍が証明される事になります。

在留資格に関わる煩雑な手続きから解放される

帰化した場合には、外国人が日本に中長期滞在する際に必要な「在留資格」に関わる種々の手続き等から解放されるというメリットが存在します。

日本のパスポートを持てる

国籍が日本になるのですから、日本のパスポートを持つことができます。このパスポートが身分証明書となり、今までのように在留カードを所持しておく必要もなくなります。

日本の社会保障の傘下に入る事が出来る

日本人として住民登録される事で、日本の年金制度に加入することが可能となり、一定年齢になれば年金を受け取れます。また、国民健康保険にも加入できますから、医療費負担の軽減も期待できます。

参政権を得られる

18歳以上であれば、国政選挙はもちろん、地方自治体の選挙でも投票することができます。また、一定の年齢が来れば、国政選挙、地方自治体の選挙で立候補することができます。

ローン、融資を利用できる

帰化することで、銀行との取引を更にスムーズに進めることができます。特に、融資を受けたり、ローンを組んだりすることが以前よりも容易になります。

帰化申請とは

帰化申請の条件とは?

  • 日本に引き続き5年以上住んでいること
     ※「引き続き」という条件ですから、一度出国した場合には、年数がリセットされます。
      また、たとえ5年以上の居住歴であっても、「留学3年+就労2年以上」などは条件として当てはまらず、あくまでも日本で生計を立てている年数をカウントします。
  • 20歳以上で、日本の法律上の、いわゆる「行為能力(法律行為を単独で有効に行うことのできる能力)」を持っていること
  • 素行が善良であること
     ※法律違反をしていないことと併せて、納税の義務を果たしている、滞納していないなどが厳しく審査されます。
  • 経済的に安定した生活を営めること
     ※自分の収入があり、平均的な生活ができていること、あるいは同居の親族に扶養されている、あるいは親族などからきちんと仕送りを受けて生活できていれば、問題ありません。
  • 国籍を持っていないか、あるいは日本の国籍を持つことで、今までの国籍を失うこと
  • 暴力等で政府を破壊することを企てていないか(反社会的な勢力に加わっていないか)
  • 日本語力(読む、書く、話す)が小学校3年生以上のレベルがあること
     ※「帰化の動機書」を自分で書き、提出しなければなりません。また、簡単な日本語テストもあります。
    なお、日本において転職した経験があったり、金融機関等で借り入れがあったりしても、決して不利に働くことはありません。
    むしろ、そのような経歴を隠したり、虚偽を述べたりすることは、かえって不信感を持たれます。
    転職、借り入れについても、経緯をきちんと説明できる準備をしておきましょう。

 

帰化申請手続きの方法

  • 管轄の法務局・国籍課に事前相談の予約を入れる:帰化したい旨を伝え、相談日時を予約します。その際に、相談日にもっていく資料を聞きます。
  • 相談の準備を行う:親族関係の把握、生活状況(仕事、資産など)の整理、素行(表彰の有無、税金の滞納の有無、交通違反の有無、刑事事件の有無など)の整理をしておきます。
  • 予約日時に法務局へ行く:持参した資料を提出し、担当者と面談を行います。資料と質疑応答の内容から、帰化申請が可能かどうかを担当者に確認します。可能であれば、そのような書類が必要かを確認し、可能でなければ、その理由と改善策を確認します。
  • 書類の記入、資料の収集を行う:必要な書類、資料を取り寄せ、書類に必要事項を記入します。一度、申請前に記入した書類と資料を法務局の担当者に確認してもらいます。
  • 申請書の提出:法務局に書類と資料を提出し、申請を行います。担当者と面談を行い、その後法務局から許可の可否が通知されます。

必要書類は?

主な必要書類は、以下のとおりです。

  • 帰化許可申請書(申請者の写真が必要となります。)
  • 親族の概要を記載した書類
  • 帰化の動機書
  • 履歴書
  • 生計の概要を記載した書類
  • 事業の概要を記載した書類
  • 住民票の写し
  • 国籍を証明する書類
  • 親族関係を証明する書類
  • 納税を証明する書類
  • 収入を証明する書類
  • 在留歴を証する書類

(出典:法務省「国籍Q&A」)

なお、上記の必要書類はあくまでも一般的なもので、個人によって異なってきます。また、申請後に追加資料の提出を求められることもあります。

帰化許可申請に必要となる書類に関しては、以下の記事もご覧ください。
帰化許可申請|必要な書類一覧と審査期間

許可のポイントは?

帰化されるか否かは、申請書や資料などがそろっているか、申請する本人の素行(犯罪歴の有無など)が重要なファクターとして作用します。

ただし、外国人が今までの国籍を放棄して「日本人」になるのですから、かなり慎重に検討されます。しかも最終的には、法務大臣の決裁事項ですから、法務大臣の裁量にかかっています。

 

簡易(特別)帰化とは?

日本人の配偶者や子供等、一定の条件を満たす場合、帰化申請の要件が緩和されることがあります。
これを簡易帰化、あるいは特別帰化と言います。

例えば、帰化を申請する人が、次の1~3のいずれかにあてはまる場合、住所に関する要件が緩和され、日本に引き続き5年以上住んでいなくも、帰化申請することができます。

  1. 日本人であった者の子(養子は該当しない)で、引き続き3年以上日本に住んでいること
  2. 日本で生まれた者で、引き続き3年以上日本にすんでいること
  3. 日本で生まれた者で、実の父親または母親が日本で生まれていること

 

また、帰化を申請する人が、次の1、2のいずれかにあてはまる場合、住所要件と能力要件が緩和され、日本に引き続き5年以上居住せず、さらに20歳に達していない場合であっても、帰化申請することができます。

  1. 日本人の配偶者(夫または妻)で、引き続き3年以上日本に住んでいて、現在も日本に住んでいること
  2. 日本人の配偶者で、結婚してから3年を経過していて、引き続き1年以上日本に住んでいること

 

さらに、帰化を申請する人が、次の1~4にあてはまる場合、住所要件・能力要件・生計要件が緩和され、引き続き5年以上日本居住せず、さらに20歳に達していなく、かつ帰化を申請する人自身や家族の力で生活することができない場合であっても、帰化申請することができます。

  1. 日本人の子(養子は該当しません)であって、日本に住んでいること
  2. 日本人の養子で、引き続き1年以上日本に住んでいて、養子縁組をした際に本国で未成年であったこと
  3. 日本国籍を失った人で、日本に住んでいること
  4. 日本で生まれ、かつ、生まれた時から国籍をもっておらず、出生のときから引き続き3年以上日本に住んでいること

 

なお、帰化申請が不許可になっても、再申請は可能です。申請書等のどこに不備があったのかを十分検討した上で、再度申請する必要があります。

 

まとめ

永住と帰化の違いは、日本の国籍を取得するのか否かの違いです。

ただ、帰化は今までの国籍を放棄して、日本の国籍だけを持つ手続きですから、より厳密に行われます。

永住権については、以下の記事もご覧ください。
夢の在留資格【永住権】とは?〜永住許可申請を1から詳しく〜