外国人が日本に在留する場合、生活に不都合が生じないように指導・助言を行ったり、経済的に困窮した際の援助を行ったりする人が必要です。
このような人を「身元保証人」と言います。また、この身元保証人が存在する証拠として、「身元保証書」が必要となります。
ここでは、身元保証人や身元保証書の具体的な内容について、詳しくご説明いたします。
身元保証人とは?
身元保証人とは、文字どおり日本に在留する外国人の身元を保証する人です。
この身元保証人は、外国人の日本在留が違法でないことを証明し、外国人に不測の事態が発生した場合には、道義的責任を負わなければなりません。
具体的な責任の内容は、次の3点です。
・外国人が滞在費を支払うことができない場合、代わりに負担する。
・外国人が帰国費用を支払うことができない場合、代わりに負担する。
・外国人が日本の法律を守るように指導する。
ただし、身元保証人の責任は道義的なものですから、民法で規定されている「連帯保証人」のような法的責任は負いません。
身元保証人の条件
身元保証人になるための条件は、身元保証人の責任を果たせる能力があること、身元保証人になる意思があることの2つです。
従って、身元保証人は、日本人以外で日本に在留している外国人でも構いません。
それでも、滞在費や帰国費用の負担を代わりにしなければならない場合もありますから、一定以上の収入、資産を持っている必要があります。
従って、単に名目的な保証人、いわゆる名義貸し的な保証人では、条件に当てはまらないことになります。
仮に、収入、資産がない人が身元保証人になった場合、外国人の在留資格の変更、更新に影響が出ることになります。
身元保証人の注意点
身元保証人について、外務省のホームページでは、「外国人本人が日本で適法に滞在していることを在外公館長(日本大使館、総領事館など)に対して保証する人が『身元保証人』である」としています。
先ほどもご説明しましたが、身元保証人の責任は、「連帯保証人」という民法上の責任を負うということではなく、いわゆる道義的責任です。
言い換えれば、「保証すべき事項(滞在費、帰国旅費、法令の遵守)」について、本人が対応できない場合、それ以降のビザ申請で身元保証人となった人の信頼性が失われることになります。
つまり、外国人本人が金銭を支払えないからといって、その外国人に代わって、支払う義務が生じる「連帯保証人」とは違うということです。
あくまでも、身元保証人の責任は、入国管理法上の責任と道義的責任ととどまります。
ただ、身元保証人が、外国人本人との関係を偽り、書類を作成した場合には、当然ながら刑事的責任は問われます。
さらに、そのことにより、当然のことながら、外国人の在留資格の取得、変更、更新等の手続きに大きな影響を与えることになるのです。
身元保証書とは?
「身元保証書」とは、その名前のとおり、日本に在留する外国人の身元を保証するための「証明書」のことです。
外国人が日本で生活や仕事をする際に、本人に不都合が生じないために指導を行ったり、経済的に困窮した際に援助を行ったりする人が必要です。
この役目を担う人を「身元保証人」と言い、外国人に「保証人」が確実にいることを証明する書類が、「身元保証書」というわけです。
特に、「日本人の配偶者等」、「定住者等」などの身分系の在留資格、あるいは地位に基づく在留資格を取得したり、更新したり、あるいは他の在留資格に変更する際には、「身元保証書」の提示を求められる場合があります。
身元保証書の書き方
以下、ビザ別に身元保証書の記載例をご紹介します。
ただし、あくまでも例であり、外国人本人のビザ取得を保証するものではありませんので、その点はご承知おきください。
配偶者ビザの場合
配偶者ビザの場合、外国人本人の配偶者が「身元保証人」」になるケースが多いと思います。
記載例のように、外国人の「滞在費用」、「帰国費用」、「法令の遵守」について保証する旨を誓約します。
そして、その証として身元保証人の氏名、住所、職業、国籍、被保証人との関係を記載した上で、捺印します。
短期滞在ビザの場合
記載した日付、外国人本人の国籍・氏名を記載します。
次に、外国人の「滞在費用」、「帰国費用」、「法令の遵守」について保証する旨を誓約し、身元保証人の氏名、住所、職業、国籍、被保証人との関係を記載します。
そして、氏名の左側に捺印します。
永住申請の場合
他の「身元保証書」と同じく、に記載した日付、外国人本人の国籍・氏名を記載し、さらに外国人の「滞在費用」、「帰国費用」、「法令の遵守」について保証する旨を誓約し、身元保証人の氏名、住所、職業、国籍、被保証人との関係を記載した上で、氏名の左側に捺印します。
身元保証人の氏名は、必ず自ら署名する必要があり、決して他人が署名してはいけません。
また、捺印は、実印を押印する必要はなく、認印で構いません。
まとめ
身元保証書は、外国人本人の滞在費用等を保証するものですが、身元保証人は民法で規定されている「連帯保証人」の責任を負うものではありません。
それでも、外国人の在留資格の取得等を左右するものですから、身元保証人になる人は、責任を持って引き受けることが大切です。