ワーキング・ホリデー制度とは?
ワーキング・ホリデー制度とは二国・地域間の取り決め等に基づき、相手国・地域の青少年に対し、休暇目的の入国及び滞在期間中における旅行・滞在資金を補うために付随的な就労を認める制度です。
この制度の趣旨は、お互いの国の青少年に対し、自国の文化や生活様式等を理解してもらう機会を提供し、相互理解を深めることとしています。
日本では昭和55年にオーストラリアとの間で開始したことを皮切りに令和2年4月1日現在で26の国・地域との間でこの制度を導入しています。(出典 : 外務省 「ワーキング・ホリデー制度」)
ワーキング・ホリデービザでできる職種とは?
ワーキング・ホリデー制度で来日している外国人の在留カードを確認すると、在留資格には「特定活動」と記載されています。
特定活動とは「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」と定義されており、ワーキング・ホリデーもここに含まれます。具体的には特定活動告示5号または特定活動告示5号の2に該当します。
もちろんワーキング・ホリデービザで来日している外国人は就労することができ、就労時間等の制限はありません。
しかし、従事できる職種には制限があり、風俗営業等に従事することは出来ません。
風俗営業とは「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」第2条第1項に規定されるものを言います。
万が一このような業種で就労していた場合には、退去強制事由に該当しますので、注意してください。ただし、人身取引等の被害を受けた場合は除きます。
またこれらの業種に従事させた者は、不法就労助長罪、人身売買罪等に問われる可能性もあります。
雇用側も自社で雇用できるかどうかしっかり確認することが重要です。
これはワーキング・ホリデー制度で来日した外国人を雇用する場合に限りませんが、必ず在留カードの確認をしましょう。
ワーキング・ホリデー制度で来日している場合は、上記の通り在留カードには「特定活動」と記載されていますが、その場合はパスポートに法務大臣が個別に指定した活動等が記載された「指定書」が添付されています。
在留カードと併せて「指定書」の確認も行い就労制限についての確認をしておくようにしましょう。
正社員としての雇用は可能なのか?
ワーキング・ホリデー制度で雇用した外国人がとても優秀でこのまま正社員として雇用を続けたいという場合もあるかもしれません。
しかし、ワーキング・ホリデー制度で日本に滞在できる期間は1年間であり、延長は認められません。
またワーキング・ホリデー制度で来日できるのは1回のみとされているので、再度ワーキング・ホリデー制度を利用することもできません。
ではそのまま正社員として雇用することは出来ないのでしょうか。
実は雇用したい外国人の出身国により「日本在留中にそのまま」正社員雇用できるかどうか決まります。
ワーキング・ホリデー制度を利用して就労している外国人の出身国がオーストラリアやカナダ等、日本在留中に在留資格変更許可申請が認められている場合はワーキング・ホリデーの特定活動ビザから就労ビザへの変更申請が出来ますが、それ以外の場合には原則として日本在留中の在留資格変更申請は認められておらず、在留資格認定証明書交付申請を行い、一旦帰国していただくことになります。
ただし、対象となる国や変更申請の受付可否等については届出を出す出入国在留管理局の扱いや当該国と日本との協定等によって違いがありますので、手続き前に必ず申請を提出する出入国在留管理局に問い合わせを行うようにしてください。
ただし、在留資格変更申請ができる場合であっても、変更しようとする就労ビザの法律的な要件を満たす必要があることは言うまでもありません。
自社で正社員として雇用することを考える場合には、まずどのような就労ビザが該当するのか、そのビザを取得するためにはどのような法律的要件があるのか、またそれを当該外国人が満たしているかどうかなど予め確認しておくことが重要です。
まとめ
ワーキング・ホリデー制度は若い人材が海外で視野を広げ経験を積める素晴らしい制度です。
このような制度を利用して来日して就労している若者の中にはこのまま雇用を続けたいと思う素晴らしい人材も多くいるでしょう。
ただワーキング・ホリデー制度で就労が許される範囲はあくまでも「滞在中の資金を稼ぐための付随的な範囲」となっているため長期間にわたり雇用し続けることは出来ません。
そのまま雇用し続けることは法律違反であり会社にも外国人本人にとっても良いことはありません。
必ず関係当局に問い合わせ、最新の情報を得たうえで必要な手続きを行うようにしてください。