2つのポイントから考える 【外国籍従業員の退職】に関する手続き

外国人の従業員が、日本の企業を退職する際には、様々な手続きが必要になります。

 

ここでは、企業が行うべき手続きと外国人本人が行うべき手続きについて、詳しくご説明いたします。

 

企業が行う手続き

退職証明書の交付

まず、企業は退職する外国人に「退職証明書」を交付しなければなりません。この「退職証明書」は、退職した後で転職する際に不可欠な書類です。

 

退職した外国人が、転職の際に「在留資格の変更」、「就労資格証明書の交付」などの手続きを行うとき、入局管理局添付書類として提出しなければならないからです。

 

この「退職証明書」には、使用期間(企業のでの在籍期間)、業務の種類(従事業務、職務内容)、地位(企業での役職など)、賃金、退職理由(解雇の際にはその理由も)を記載します。

ハローワークへの届出

入国管理法では、外国人が企業を退職した時には企業は入国管理局に届け出るように努める、となっています。

 

しかし、ハローワークに「雇用雇用保険被保険者資格喪失届」を届け出れば、入国管理局への届出は免除されます。

 

この届出書の備考欄には、退職した外国人の国籍、在留資格、在留期間などを記載しなければなりません。

その他の届出

外国人に限らず、従業員が退職した際には、健康保険証の回収、雇用保険の離職票の交付、源泉徴収票の交付を行わなければなりません。

 

また、社会保険、税務関係の手続きも行います。さらに、企業から従業員に貸与した備品などの回収、業務の引継ぎなども行います。

 

本人が行う手続き

日本に在留し続ける場合

退職した外国人が、引き続き日本に在留して働く場合、入国管理局に、「在留資格の変更」、「就労資格証明書の交付」などの手続きを行わなければなりません。

 

その際に、先ほどご説明した「退職証明書」も提出することになります。まだ転職先が見つかっていない場合は、失業保険を受け取りながら、就職活動を行うことになりますから、ハローワークに申請しなければなりません。

 

具体的には、退職した企業から交付された「雇用保険被保険者離職票」を添えて、求職申し込みを行います。この手続きを行うことで、再就職の意思を示し、そのための「失業保険」を受給するということになります。

 

つまり、失業保険は失業中でも安定した生活を送りながら、1日でも早く就職するために給付されるものです。失業保険を受給するには、離職前2年間に被保険者期間、つまり雇用保険を支払っていた期間が12か月以上必要となります。

 

ただし、倒産・解雇等の理由で離職した場合、期間の定めがある労働契約が更新されなかった等のやむを得ない理由で離職した場合には、離職前1年間に被保険者期間が通算で6か月以上必要です。

 

また、退職後3か月間で再就職しなければ、在留資格を取り消されることもありますので、失業保険を受け取っている間に、次の就職先を見つける必要があります。

 

なお、退職後2週間以内に入国管理局に届出を提出したり、また契約期間にも届出を提出したりする必要がありますから、この点は企業の担当者が説明をする必要があります。

退職後に帰国する場合

退職後、日本で再就職せず、そのまま本国に帰る外国人は、自分が住んでいる市区町村役場で、転出届を提出します。

 

この手続きをしないと、帰国後も国民健康保険などの請求をされる可能性があります。併せて、国民健康保険に加入している場合は、同じく市区町村役場で脱退手続きを行わなければなりません。

なお、厚生年金に加入している場合は、企業が代わって脱退手続きを行いますから、特に個人で手続きを行う必要はありません。

 

今後、日本に再入国する予定がない場合には、「在留カード」を入国管理局に、「個人番号(マイナンバー)を市区町村役場に返却します。

 

まとめ

日本人でも、企業を退職する際に、どのような手続きが必要かよく理解していません。まして日本に在留している外国人にとっては、それ以上に不安な状態であることが予想できます。

 

退職する外国人には、企業の担当者が適切にフォローすることが必要です。

 

行政書士井上通夫

熊本県出身。福岡大学法学部法律学科卒業。在学中は、新聞部編集長として、学内新聞を発行。憲法・行政法ゼミ(石村ゼミ第18期生)所属。大学卒業後は、大手信販会社、大手学習塾に勤務。平成18年度行政書士試験に合格後、平成20年7月福岡市で行政書士事務所を開業、現在に至る。扱う案件は、主に相続・遺言、民事法務(内容証明・契約書・離婚協議書等)、公益法人業務(社団・財団法人)など幅広く対応。

新規CTA

合わせて読みたい