外国人介護人材受入れの仕組みには、4通りの仕組みがあります(2019年7月現在)。EPA(経済連携協定)による在留資格「特定活動」、在留資格「介護」、在留資格「技能実習」、そして2019年4月から始まった在留資格「特定技能(1号)」です。この中の特定技能(1号)については、誤解されている方も多いので、わかりやすく紹介させていただきます。

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在留資格「特定技能(1号)」は、なぜ誤解されるのか

「安い労働力が大量に日本に入ってきたら、日本人の仕事が減る。治安が悪くなる。」というネガティブな誤解。そして「これからは外国人を雇用して、単純労働をさせられる」という、非常に短絡的な誤解が生じています。


これらの誤解は、「日本が外国人労働者に門戸を開放した」というような報道タイトルだけが、独り歩きしていることにあります。記事内容や報道内容をしっかりと確認すれば、誤解は生じないはずなのですが、…。

特定技能(1号)で外国人を雇用するにはコストがかかる

在留資格「特定技能(1号)」で働くことができる外国人介護人材には、誰でもなれるわけではありません。日本語能力試験N4以上に合格し、さらに「介護」分野の試験に合格していることが前提です。その「介護」分野の試験とは、「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」です。どちらの試験も、2019年度に5~6回、次年度以降は3~4回実施予定となっています。

参考資料:

https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000496064.pdf

https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000496065.pdf

しかも試験に合格した外国人を、日本人と同等以上の雇用条件で採用しなければならないのです。

そして受入機関(外国人介護人材を雇用する会社)は、在留資格「特定技能(1号)」で働く外国人介護人材を、地域になじめるようにする活動義務を負います。それを年4回、出入国在留管理局に報告しなければなりません。義務を怠れば、その受入機関(外国人介護人材を雇用する会社)は、在留資格「特定技能(1号)」で外国人介護人材を受け入れられなくなります。

「介護技能評価試験」の内容

介護技能評価試験では、学科40問と実技5問が出題されます(試験時間は60分)。

学科では、介護の基本(10 問)、こころとからだのしくみ(6問)、コミュニケーション技術(4問)、生活支援技術(20 問)が出題され、実技は生活支援技術(5問)となっています。コンピュータを使っての試験ですから、実技も実際に行うのではなく、写真を見て正しい介護の手順について判別をするような出題になっているようです。

気になる問題レベルですが、技能実習の第2号修了相当です。したがって、お気軽に受ける試験ではありません。かなりの準備期間が必要かと思われます。

サンプル問題 
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000503363.pdf

「介護日本語評価試験」の内容


介護日本語評価試験は、介護技能評価試験と同じくコンピュータを使って、介護のことば(5問)、介護の会話・声かけ(5問)、介護の文書(5問)が出題されます(試験時間は30分)。問題レベルは、「介護現場で介護業務に従事する上で支障のない程度の水準」という抽象的な基準しかないため、はっきりとしたことは今後の試験結果から判断していくしかありません。
サンプル問題 https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000503364.pdf

「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」の最新状況

「介護」分野の試験は、九か国(ベトナム、フィリピン、カンボジア、中国、インドネシア、タイ、ミャンマー、ネパール、モンゴル)で行うことになっていますが、今のところ準備が整って試験を実施しているのは、フィリピン一か国のみです。

試験結果は2回分が公表されていますが、あまりにも合格率に差がありすぎるので、この2回で試験の合格レベルを判断するのは避け、今後の状況を見守りましょう。

第1回 平成31年4月13日(土)~14日(日)
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000511849.pdf

第2回 令和元年5月25日(土)~27日(月)
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000523383.pdf

まとめ

外国人介護人材受入れの仕組みとしての在留資格「特定技能(1号)」は、非常に注目されていながらも意外と正確に理解されていないところがあります。在留資格「特定技能(1号)」を正確に理解していただくと、受入機関(外国人介護人材を雇用する会社)のコスト・負担が大きな仕組みだとわかっていただけるでしょう。

それでも在留資格「特定技能(1号)」で外国人介護人材を受け入れたい受入機関(外国人介護人材を雇用する会社)は多いのです。それほどに国内での人材不足が深刻だということなのでしょう。在留資格「特定技能(1号)」では、訪問介護は対象外となっていますし、働ける期間も最大5年間に限られています。このあたりは、今後の運用状況を見据えての制度改革を期待したいところです。