在留資格「特定技能」は、日本が今後迎える労働人口減少への対策であり、人手不足が深刻な産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れる制度です。

2019年4月1日から運用が開始されました。
この特定技能に「外食業」がありますが、この業界の背景と取得要件、業務内容などを詳しくご説明いたします。

 

特定技能「外食業」ができた背景とは?

これまで、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得していても、単純労働をすることは認められていませんでした。

しかし、昨今の日本における労働人口不足を解消するためには、学歴・職歴とは関係のない業務でも、外国人の就労を認めようとする動きが出てきました。


特に外食業においては、他の業界に比べて欠員率が2倍以上あり、しかもかなり高い離職率であることも重なって、慢性的な人手不足に陥っていました。

そこで、「特定技能」という資格で、外食業に就労する外国人を受け入れる制度を作ったのです。
但し、この資格を取得しても、コンビニで働くことは認められていません。

 

特定技能「外食業」の取得要件

特定技能「外食業」を取得するためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。

 ・技能水準としては、「外食業技能測定試験」に合格すること、あるいは同等以上の水準であること
 ・日本語能力水準としては、「国際交流基金基礎日本語」、あるいは「日本語能力試験(N4以上)」に合格すること

 

「外食業技能測定試験」とは、一般社団法人外国人食品産業評価機構が実施する試験で、「衛生管理」、「飲食物調理」、「接客全般」という3つの分野から出題されます。


「国際交流基金基礎日本語」は、日本語がどれだけできるのかを測るテストで、国際交流基金が実施します。
また、「日本語能力試験(N4以上)」は、独立行政法人国際交流基金や日本国際教育支援協会が実施するテストです。
国内外で実施され、「N1~N5」に分類され、最も難易度が高いのは「N1」です。


また、上記の要件以外に求められる人材としては、食品衛生に配慮した飲食物の取扱いを理解し実践できる人、調理から給仕に至るまでの流れ業務を行うことができる人、食品衛生管理の知識がある人、必要な技能、知識、経験を有する人です。


なお、特定技能には14分野ありますが、「外食業」は、技能実習から特定技能への移行は認められていません。

ただし、「医療・福祉施設給食製造」の第2号技能実習を終了した人は、「外食業技能測定試験」、「国際交流基金基礎日本語」、あるいは「日本語能力試験(N4以上)」の試験が免除されます。
※参考URL(法務省ホームページ・上乗せ基準告示

 

特定技能「外食業」の業務内容

特定技能「外食業」を取得する外国人は、外食業分野の業務を行うことができます。

外食業分野とは、日本標準産業分野に当たる「飲食店」、「お持ち帰り・配送・配達飲食サービス業」の業務です。

例えば、食堂、レストラン、ファストフード店、喫茶店、お持ち帰り・テイクアウト専門店、宅配・配達専門店などです。

 

外食業技能測定試験とは?

外食業技能測定試験とは、在留資格「特定技能」の特定技能第1号の資格を取得するために、合格しなければならない試験です。

先程ご説明したように、一般社団法人外国人食品産業評価機構が実施する試験であり、「衛生管理」、「飲食物調理」、「接客全般」の3つの分野から出題されます。

受験資格

受験資格は、試験日において、以下のアとイを満たす人です。

 


ア.在留資格(※1)を有し、試験日において、満17歳以上であること

イ. 退去強制令書の円滑な執行に協力するとして法務大臣が告示で定める外国政府又は地域の権限ある機関の発行した旅券(※2)を所持していること


(※1)不法に日本国内にいる人(不法滞在者)を除き、適法に日本に在留している人が該当します。在留カードを持っていなくても、適法に観光等で日本に短期滞在している人も含みます。
(注2)現時点では、イラン・イスラム共和国以外の外国政府・地域の旅券が該当します。

 

受験料

受験料は、7,000円(税込み)で、自然災害で試験が実施されない場合などを除き、支払われた受験料は返金されません。

合格基準

合格基準は、65%以上の正解数です。

受験者のためのテキストが、一般社団法人日本フードサービス協会のホームページに公開されていますから、ダウンロードして、受験勉強に利用することになります。

 

外食業の特定技能所属機関に課される条件

外食業の「特定技能所属機関(受け入れ先企業)」に課される条件は、次の6つです。


 1. 「特定技能所属機関」は、「特定技能1号」の外国人を風営法で規定された「接待飲食等営業」に就労させてはいけません。

 2. 「特定技能所属機関」は、「特定技能1号」の外国人を風営法で規定されている「接待」を行わせてはいけません。

 3. 「特定技能1号」の外国人を雇用する企業(特定技能所属機関)は、「食品産業特定技能協議会」の構成員にならなければなりません。

 4. 「特定技能所属機関」は、協議会に協力をしなければなりません。

 5. 「特定技能所属機関」は、農林水産省あるいはその委託を受けた者が行う調査等に、協力しなければなりません。

 6. 「特定技能所属機関」は、登録支援機関に「特定技能1号」の外国人支援計画の実施を委託する際には、協議会の構成員となっており、さらに農林水産省及び協議会に対して、必要な協力を行う登録支援機関に委託することを求められます。

 

海外からの雇い入れについて

従業員を海外から外食業に雇い入れたい場合には、海外の送り出し機関にオファーすることになります。

そして、特定技能「外食業」を取得した外国人を外食業分野で、実際に雇い入れる際には、受入後4ヵ月以内に、「食品産業特定技能協議会」へ加入しなければなりません。
加入後は、「食品産業特定技能協議会」に必要な協力を行うことになります。


なお、4ヵ月以内に「食品産業特定技能協議会」の加入手続きを行っていなければ、当該外国人の雇い入れができません。

 

特定技能「外食業」を取得する際の注意点

働く側の注意点

特定技能「外食業」を取得する際、2つの要件、「外食業技能測定試験に合格すること(あるいは同等以上の水準であること)」と「国際交流基金基礎日本語、あるいは日本語能力試験(N4以上)に合格すること」は、必須です。

外国人にとっての注意点しては、この2つの要件が唯一無二ですが、その他にも、食品衛生に配慮した飲食物の取扱いを理解し実践できる人などの資質を備えていることも、当然必要です。

雇い入れる側の注意点

外国人を受け入れる側の注意点としては、特定技能「外食業」を確実に所得していることを確認することはもちろん、後々のトラブルを回避するために、雇い入れる際の条件面の合意、雇用契約の締結も確実に行わなければなりません。

 

特定技能「外食業」の雇用形態

従業員を雇い入れる場合、雇用形態には、正社員、派遣社員、アルバイト、パートなど様々あります。

ただし、特定技能「外食業」の外国人を雇い入れる場合、雇用形態は、直接雇用だけで、派遣雇用は認められています。
また、たとえ飲食店であっても、接待飲食店などでの就労することはできません。

 

今後の見通し

現在の新型コロナウィルス禍前の統計ですが、外食業の有効求人倍率(2017年度)は「飲食店主・店長」が約13倍、「飲食物給仕係」が約7倍、「調理人」が約3.5倍、「外食業全体」が約4倍という数値が出ています。

宿泊・外食業の欠員率も、他業種と比べて、2倍以上という高水準です。


そして、2022年までに、全国で29万人程度の人手不足が生じるとされています。

今回のコロナ禍で、この見込は下がるものと思いますが、それでも他の業界に比べて人手不足になることに変わりありません。


一方で、上記の見込数値だった場合には、特定技能「外食業」を取得している外国人が、仕事を就けないこともあり得ます。
そのような事態が発生した場合には、外食業以外で、特定技能の取得が必要な業種へ就労することになります。

 

まとめ

日本では、外食業での人手不足が特に深刻化しており、その打開策として、特定技能「外食業」という制度が設けられています。

ただし、資格取得のための要件を遵守することはもちろん、雇い入れる側も雇用条件を事前にきちんと決めて、外国人によって良好な労働環境になるように努めなければなりません。