出生率の低下などに伴って、人口減少が著しい日本では、今、様々な業界において人手不足が深刻化しています。自動車整備業も人手不足に悩む業界の一つです。

自動車は、今や私たちの生活にとってなくてはならない存在です。
その整備もまた、必要不可欠の業種で、人材不足によって整備ができなくなってしまったら、国内の自動車産業の発展が衰退してしまいます。


そうならないために、特定技能において自動車整備業も対象となりました。
特定技能の「自動車整備業」とはどんなものでしょうか。

 

特定技能とは?

特定技能とは、自動車整備業のように、人手不足が著しい業種において、一定の技能を持った外国人が就労できるようにする制度です。

この制度は、2019年4月にスタートし、2020年2月現在では、自動車整備、介護建設外食業などの14分野が認められています。


特定技能ビザを取得するためには、同じ分野の技能実習2号を修了すること、あるいは、各業種ごとの特定技能の試験と日本語能力試験に合格することが必要です。

技能実習2号から特定技能になるためには、技能実習で行っていた業種と特定技能で行っていた業種が対応している必要があります。


特定技能試験については、当初は受験資格が限られていましたが、2020年4月から受験資格が緩和され、日本に在留している外国人の多くが受験できるようになりました。

 

特定技能「自動車整備」ができた背景

特定技能において自動車整備ができたのは、どのような事情があったからでしょうか。自動車整備業の現状から見ていきます。

人材確保の必要性と工夫

自動車整備においては、自動車保有台数によって、その必要性が左右されます。
自動車保有台数は、近年、ほぼ横ばいで推移しているため、点検整備における需要は減少する見込みがありません。

そのため、自動車整備士の急激な需要はないものの、今後も一定数を安定して人材確保する必要があります。


自動車整備業界では、人手確保のため、作業効率向上のための設備機器の導入や、若者に対する啓発、賃金水準の改定を行ってきました。

給与においては、一人当たりの年間平均給与が5年連続増加するなど、働く環境は改善されてきています。

深刻な人材不足の現状

国内での人材確保の工夫をしても、自動車整備士をめざす若者が減少しています。
さらに、高齢の自動車整備士の引退によって人材不足が発生しています。

自動車整備分野における平成29年度の有効求人倍率は3.73倍もあり、深刻な人手不足であることが分かります。
特に、自動車保有台数が多い愛知県では、有効求人倍率が8.35倍にもなっています。

出典:国土交通省「自動車整備分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針

 

特定技能「自動車整備業」の現状

人手不足の解消策として取り入れられた特定技能ですが、特定技能の活用はどれくらい進んでいるのでしょうか。

2020年6月末現在における特定技能で働く外国人の人数は、5,950人で、そのうち、自動車整備業においては、54名となっています。


自動車整備業において、特定技能の受入人数は、向こう5年間で最大7,000人としており、特定技能の活用は、まだまだこれからということが分かります。

出典:法務省「特定技能在留外国人数の公表

 

自動車整備業の業務内容

特定技能「自動車整備業」で行う業務は、自動車の定期点検整備と自動車の分解整備です。

定期点検底部は、道路運送車両法に基づく法定点検整備で、ステアリング装置、ブレーキ装置、走行装置、電力伝達装置、電気装置などの点検を行います。

また、分解整備は、装置を取り外して行う整備や改造で、原動機、電力伝達装置、走行装置などを取り外して整備を行う作業です。


これらの作業を一人で適切に行える技術が必要のため、特定技能の自動車整備では、三級自動車整備士相当の技能水準が必要とされています。

 

特定技能「自動車整備業」のビザを取るには

特定技能「自動車整備業」のビザを取るには、二つの方法があります。

試験に合格すること

技能試験として、自動車整備分野技能評価試験または自動車整備士技能検定3級に合格することが必要です。
それに加えて、日本語能力試験に合格することが必要です。


自動車整備分野特定技能評価試験は、一般社団法人日本自動車整備振興会連合会が実施し、コンピューター上で回答する試験です。学科試験と実技試験があります。

学科試験では、構造、機能などに関する基本知識から点検、修理及び調整に関する知識、材料や燃料の性質に関する基本的な知識です。
実技試験は、簡単な基本工作や分解、組み立て、点検調整などから出題されます。


合格基準は、学科試験が65%以上、実技試験が60%以上です。


試験は、日本国内の他、フィリピンでも行われており、フィリピンで受験する際はには、2,000PHP必要です。
合格後に、合格証明書交付手数料として16,000円必要です。

日本語能力試験は、独立行政法人国際交流基金実施の「日本語能力判定テスト」または、独立行政法人国際交流基金および日本国際教育支援協会が実施する「日本語能力試験」を受験します。

これら、技能評価試験と日本語能力試験の両方の合格が必要です。

出典:一般社団法人日本自動車整備振興会連合会「特定技能評価試験

 

技能実習からの移行

自動車整備業の技能実習生は、技能実習2号が終了すれば、特定技能に移行することができます。
技能実習修了生の場合は、通常必要な技能評価試験や日本語能力試験も免除されます。

 

雇用する側の注意点

特定技能「自動車整備業」で外国人を雇用する際、雇用側にも条件があります。どんな条件があるのでしょうか。

雇用側に課される条件

国土交通省が設置する「自動車整備分野特定技能協議会」の構成員になることが必要で、この協議会への協力が必要です。

さらに、雇用側は、その協議会や国土交通省の調査や指導に協力するよう求められています。これらは、自動車整備業において適切に特定技能の外国人を受け入れるために設けられています。


このほか、雇用する側は、道路運送車両法(昭和 26 年法律第 185 号)第 78 条第1項に基づく、地方運輸局長の認証を受けた事業場であることが必要です。

また、特定技能ビザの外国人の支援のために、登録支援機関を利用する場合は、その登録支援機関が、協議会に参加し、認証を受けた事業所であり、それに加えて自動車整備士1級若しくは2級の資格者、あるいは5年以上の自動車整備士の養成指導経験者がいることが条件になっています。

 

雇用する際の条件

雇用は直接雇用に限られています。

特定技能「自動車整備業」の外国人を雇用する際には、直接、自分の会社で雇用する必要があります。
そのため、自分の会社で雇用契約を結びます。

また、雇用する際には、他の日本人従業員と同程度の給与や待遇にする必要があります。

 

■まとめ

自動車保有台数により常に一定数必要となる自動車整備業において、超高齢化や若者の整備士志望者減少によって、人手不足が深刻化しています。

その担い手として、外国人技術者の活躍が期待されています。
雇用する側にも様々な条件が課され、現状の利用は少ないですが、今後増加することが期待されます。