日本に在留している外国人で、現在取得している在留資格以外の活動内容でアルバイトを考えている場合、現在の資格を保有したまま、申請の手続きをする必要があります。

これを「資格外活動許可」の申請と言います。

許可を得ないまま、資格以外の活動を行うと、不法就労と受け取られ、勧告されます。
その後改善されなければ、強制送還される可能性も出てきます。

資格外活動許可の申請の手続きや注意点について、詳しくご説明します。

 

資格外活動とは

資格外活動とは、「在留資格で認められた活動以外の活動で、それによって収入・報酬を受けるもの」となされています。

 

資格外活動に該当しないもの

現在の在留資格の範囲内で行える活動は、資格外活動に該当しません。

例えば、人文知識・国際業務の在留資格を持ち、通訳の仕事をしている人が、休日を利用して通訳のアルバイトをする場合は、資格外活動ではありません。


また、就労ではない活動も、資格外活動には該当しません。
例えば、技術の在留資格を持っている人が、夜間、あるいは休日に学校を通うような場合は、資格外活動ではありません。

さらに、継続的ではなく、一時的に報酬を得る活動も、資格外活動に該当しません。
例えば、一回だけの講演で、謝金を主催者からもらうような場合などが、それに当たります。

資格外活動許可があっても禁止されること

資格外活動の許可を得ても、禁止されていることがいくつかあります。

まず、資格外活動を行うことで、現在持っている在留資格の活動を妨げることです。
あくまでも、本業が在留資格で、資格外活動は副業であるという考え方です。

それに関連して、本来の在留資格の活動が資格外活動によって、中止、中断することがあってはいけません。
例えば、留学生がアルバイトのしすぎで、勉強がおそろかになってしまう、などの場合です。


さらに、資格外活動が、風俗営業に従事したり、公序良俗に反する活動を行ったり、あるいは法令に違反したりするものも、認められません。
風俗営業とは、一般的に言われる「水商売」ですが、その他にもゲームセンター、パチンコ、麻雀店も含まれます。

アルバイトで派遣会社から派遣される場合でも、派遣先がゲームセンターやパチンコ店であれば働くことができないので、注意が必要です。

 

資格外活動許可の二つのパターン

資格外活動許可には、二つのパターンがあります。


一つは、勤務先を指定して許可する場合と、勤務先は指定せずに包括的に許可をするパターンです。

勤務先を指定して許可される場合は、雇用主である企業等の名称,所在地及び業務内容等を個別に指定して許可されます。

この場合、勤務先、業務内容を指定されるため、資格外活動許可であっても、許可以外の仕事をすることはできません。
例えば、本業の他に副業としてすでに決まっているケースなどです。


もう一つは、勤務先や業務内容を指定しないパターンで、包括的許可と呼ばれているものです。
一般的に、留学生などがアルバイトをするために資格外活動許可を取得する場合は、この包括的許可になります。

包括的とはいえ、週28時間以内、風俗営業には就業できないなどの禁止事項があります。

 

アルバイトをするために必要な許可

外国人は、日本に滞在している間、基本的には、各自の在留資格の内容の活動しか行うことができません。

在留資格の中には、留学など基本的に就労できない資格や業務が特定された就労可能な資格などがあります。


しかし、留学生などは、生活のためにアルバイトが必要なケースがありますし、本業とは別の副業、つまりはアルバイトが必要になるケースもあります。

そういったアルバイトは、現在持っている在留資格の活動以外で報酬を得ることになり、資格外活動許可を得る必要があります。

 

資格外活動許可が必要な在留資格

どのような在留資格を持っている人が、アルバイトをする際に、資格外活動許可が必要なのかについて説明します。

 

定められた範囲の就労可能な在留資格

就労可能な在留資格として一般的に多く使われているのが、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格です。
この他、「高度専門職」や「経営・管理」など就労の範囲が決められた就労可能な在留資格があります。


これらの資格は、許可された範囲のみで就労が可能で、それ以外の仕事を行おうとする場合には、資格外活動許可が必要です。

例えば、「高度専門職」でIT技術者として働いている人が、副業で専門学校などの講師をする場合、資格外活動許可が必要になります。

就労系の在留資格として、技能実習や特定技能の在留資格も、資格外活動許可の対象にはなりますが、それぞれの制度の趣旨から考えて、認められるケースはほとんどないと思われます。

就労制限がない在留資格

永住者日本人の配偶者等の身分や地位に基づく在留資格を持っている場合は、元々持っている在留資格そのものに就労制限がありません。

そのため、風俗営業等、どのような職種であっても、日本人と同様に働くことができます。

そもそも就労制限がないため、どのような仕事についても資格外活動とはならず、資格外活動許可も不要です。

 

活動時間の制約

許可が下りたからと言って、資格外活動を行うことができる時間は無限ではありません。

留学生のアルバイトなどの包括的許可の場合、資格外活動が行えるのは、原則1週間28時間以内です。


ただし、「留学」の在留資格を持っている場合は、学校の長期休暇(夏休み、冬休みなど)の際には、1日8時間以内まで活動することができます。
これは「留学」の在留資格に限られており、「家族滞在」や「特定活動(就職活動)」では、このような特例はありません。

1週間28時間以内であれば、アルバイトの残業や掛け持ちをしてもかまいませんが、複数のアルバイト先がある場合、すべてのアルバイト先での勤務時間の合計が1週間28時間以内になるようにしなければなりません。

そのため、複数でアルバイトをしている場合や残業等で勤務時間が長くなってしまった場合は、注意が必要です。

留学生のアルバイトを雇い入れる際の注意点は以下の記事をご覧ください。
0から詳しく! 【留学生 アルバイト】を採用する際の注意点

それ以外の在留資格を持っている場合には、個別に決定されます。

 

資格外活動の申請から許可までの流れ

日本の企業で雇用されている外国人の場合、申請者本人もしくは申請取次資格を有する企業の人事担当者・行政書士が外国人本人の代理人として、申請を行うことになります。主な手続きの流れは、次のとおりです。

 

本人もしくは企業の人事や行政書士等の取次者が入国管理局へ必要書類を提出

本人もしくは企業の人事担当者や行政書士等の取次者が、申請書、資格外活動にかかる活動内容を明らかにする資料、在留カードを準備して、居住地を管轄する入国管理局に提出し、「資格外活動許可」を申請します。

標準処理時間は、2週間から2ヵ月となっていますが、実際は、比較的早いようです。

なおこの申請手続きは、資格外活動を開始する前までに行うことになります。
許可が出るまでは、資格外活動を行えませんので、注意が必要です。

出典:法務省「資格外活動許可申請

資格外活動許可の通知

書類審査の後、資格外活動が許可されると、「通知書」が送られてきます。

許可証の交付

入国管理局へ通知書、パスポート、現在の在留カードを持参します。

資格外活動許可証が交付され、資格外活動が可能になります。
なお、在留カードを持っている人は、在留カードの裏面に、資格外活動許可を受けている旨が記載されます。

在留資格との関係

在留資格の期間が満了になり、引き続き日本での在留を希望して場合には、在留資格の更新手続きと併せて、資格外活動も再度申請する必要があります。

 

留学生をアルバイトとして採用する際の注意点

留学生をアルバイトとして採用する場合、いくつかの注意点があります。
採用する側が気を付けなければいけない注意点を説明します。

 

採用時に必要な確認

まずは、在留カードを確認します。

留学の在留資格があるかどうか、在留期限が切れていないかどうかを確認し、資格外活動許可が付与されているかどうかを確認します。

資格外活動許可は、本来の在留資格「留学」の活動がきちんと行われていることが前提ですので、学校を卒業や退学をしていないか、きちんと通学しているかも確認しておきます。

また、1週間28時間以内しか働けないため、他にアルバイトをしていないかも確認しておいた方が良いでしょう。

留学生が卒業後もアルバイトしたい場合

留学生のアルバイトは、学校を卒業すると「留学」の在留資格ではなくなってしまうため、そのままの資格外活動許可では、アルバイトをすることができません。


しかし、卒業後、就職活動をしながらアルバイトを希望する場合や、就職先が決まり、入社までの間アルバイトを継続したい場合は、在留資格そのものを変更する必要があります。

「留学」の在留資格から、就職活動を行うための「特定活動」という在留資格に変更し、その上で資格外活動許可を得ます。

在留資格の変更と新たな資格外活動許可が出てから、アルバイトができるようになります。

 

まとめ

資格外活動については、該当する内容や許可を受けても認められない事柄など、詳しく調べないと対応できないものが少なくありません。


まずは、在留カードで、現在の在留資格や在留期間をしっかりと確認し、アルバイトに資格外活動許可が必要であれば、きちんと得ているのかどうかを確認する必要があります。

また、資格外活動許可でアルバイトする場合は、1週間28時間以内などの制約があるため、アルバイトのかけもちの有無や勤務時間にも注意が必要です。