特定技能ビザ在留資格)により、より多くの外国人が日本で働くことができるようになりました。しかし日本人と同等以上の待遇で雇用することが要求されますし、更には受入機関となる会社等には、多くの「義務(支援)」が課せられます。この「義務(支援)」を自社でまかないきれない場合、「登録支援機関」に委託することもできます。

今回は、特定技能制度における「登録支援機関」の登録申請方法をお伝えします。

登録支援機関の概要

特定技能ビザ(在留資格)には、1号と2号があります(詳細は、別記事にてご確認ください)。そのうちの1号特定技能ビザ(在留資格)については、外国人を受け入れる会社等に対して、外国人を支援する多くの義務(支援)が課せられています。

 

この義務(支援)は外部に一部もしくは全部を委託することができ、この委託を受けることができる機関のことを「登録支援機関」というのです。

 

登録支援機関は、会社であっても、個人であってもなることができますが、出入国在留管理庁長官に登録を申請し、認められなければなりません。

 

特定技能所属機関とは?

登録支援機関の中でも、外国人を受け入れ、雇用する企業自体のことを「特定技能所属機関」言います。

特定技能所属機関の基準としては、以下の①~③の条件のいずれかに該当する必要があります。



① 過去2年間で「中長期在留者」の受入れ、又は管理を適正に行った実績があり「適合1号特定技能外国人支援計画」に基づいて、役員又は職員から支援計画の実施責任者(支援責任者)と、雇用契約に基づく活動をさせる事業所ごとに1名以上の支援担当者を選任していること。

② ①の支援責任者及び支援担当者は、過去2年間に「中長期在留者」の生活相談業務に従事した経験がある役員又は職員であること。

③ ①及び②に該当する者と同じ程度に支援業務を適正に実施できる者として、出入国在留管理庁長官が認めるもの(在留資格認定証明書の交付申請の審査で判断されます)。


なお、上記で説明した「中長期在留者」とは、各在留資格のうち、収入を伴う事業を運営する活動、又は報酬を受ける活動ができる在留資格で、在留する人のことを指します。


特定技能所属機関は、以下の1.~9.の手続きを行わなければなりません。


1. 特定技能の在留資格認定証明書交付申請
2. 特定技能外国人の雇用契約に関する届出
3. 1号特定技能外国人支援計画に関する届出
4. 特定技能外国人の支援委託契約に係る届出
5. 特定技能外国人の受入れ困難に係る届出
6. 出入国又は労働関係法令に関する不正行為等を知ったときの届出
7. 特定技能外国人の受入れ状況に係る届出
8. 1号特定技能外国人支援計画の支援実施状況に係る届出
9. 特定技能外国人の活動状況に係る届出


2.は、初めて外国人と雇用契約を結ぶ場合に必要です。
雇用契約の日から、14日以内に届出をしなければなりません。

届出の際には、雇用条件等を資料として、添付する必要があります。
また、3.と8.は、特定技能所属機関から委託を受け、「登録支援機関」が代行することも可能です。

 

登録支援機関が出来ること

登録支援機関は、1号特定技能ビザ(在留資格)を持つ外国人労働者を雇用する会社などに代わって、職業生活上、日常生活上、社会生活上のそれぞれの支援を行います。つまりは、日本に来る前から帰国するまでの間は、全部めんどうを見なければならないということです。具体的に列挙していくと、次のようになります。

 

  1. 出国前に日本での注意事項の情報提供
    在留資格を申請する前に、対面、テレビ電話、Skypeなどを使って本人確認を行った上で、当該外国人が理解できる言語で、雇用契約、活動内容などの説明を行います。
  2. 空港までの出向え
    当該外国人が日本に入国する際には、到着する空港まで出迎えを行います。
  3. 入国後に生活関係全般の情報提供
    当該外国人が、日本に入国した後で日常生活に困らないように、生活一般、行政手続き、相談や苦情の連絡先、外国人の対応が可能な病院、防災・防犯などに関する緊急時の対応などについて、理解できるように、情報を提供します。
  4. 住居を借りるためのお手伝いや賃貸借契約の保証人となること
    当該外国人がアパートなどを借りる際のサポートを行い、契約の際の保証人として契約を行います。
  5. 銀行口座開設、携帯電話契約のお手伝い
    生活する上で必要となってくる銀行口座の開設や携帯電話の契約の際に、立ち合います。
  6. 役所関係の届け出のお手伝い
    住所地となる市区町村役場に同行し、転入届などの手続きをサポートします。
  7. 日本語学習の機会の提供
    当該外国人が仕事や日常生活で困らないように日本語が理解できる必要がありますから、日本語を学べる学校などを紹介します。
  8. 相談、苦情の窓口確保
    当該外国人が、何か相談したい時などに、窓口となる機関を紹介します。
  9. 日本人との交流促進
    孤独になりがちな外国人に、地域住民との交流、地域の行事などを紹介し、参加を希望する際のサポートを行います。
  10. 支援責任者や支援担当者と定期的な面談実施
    当該外国人が十分できる言語を用いて、支援責任者や支援担当者が、少なくとも3ヵ月に1回以上、面談を行います。
  11. ⑩の面談で法令違反を知った場合の行政機関への通報
    面談により、当該外国人の法令違反を認知した場合には、行政機関などに相談、通報します。
  12. 会社都合による解雇では、新しい就職先を見つけるまでのお手伝い
    勤めていた会社が倒産などによって、当該外国人が解雇された場合には、次の就職先が見つかるように、サポートを行います。
  13. 外国人が帰国する際には、空港までの見送り
    外国人が帰国する際には、空港まで送り、保安検査場まで同行し、入場を確認します。

 

登録支援機関の役割

登録支援機関とは、1号特定技能ビザ(在留資格)を持つ外国人労働者に対して、職業生活上、日常生活上、社会生活上のそれぞれの支援を行います。これは、1号特定技能ビザ(在留資格)を持つ外国人労働者の人権を擁護し、良質な職業生活、日常生活、社会生活を確保するためです。そのような重要な役割を担うのが、登録支援機関なのです。

 

なぜそこまでのコストをかけてまで、多くの義務(支援)を要求するのかというと、国内にあっては、安い労働力の流入に対する懸念を払しょくするためでしょう。
治安の悪化を心配する声もありますから、そのような声に対する対策が必要だったと思われます。

対外的には、労働力を送り出す国に対するアピールと思われます。
不当に安く働かせるわけではないということをアピールし、労働者の人権擁護を日本国として担保することで、送り出しに協力してもらう目的だと考えられます。


また、技能実習においては、実習生である外国人に対して、その人権を侵害するような案件が多く発生しているため、そのような事態を防止したいという意図があります。

 

登録支援機関の要件

登録支援機関になるための要件には、機関が適切であること、外国人を支援する体制があることの2つです。

具体的には、以下の6点です。


① 支援責任者及び1名以上の支援担当者を選任していること
  ※支援責任者…1号特定技能外国人の支援計画の実施に関する責任者。
   支援担当者…1号特定技能外国人の支援計画の実施に基づく支援を担当する人。


②  下記の4点のうち、いずれに該当すること
  1. 個人、団体に限らず、2年以内に中長期在留者の受け入れ実績があること。
  2. 登録支援機関になろうとする個人、あるいは団体が、2年以内に報酬を得る目的で、業として、外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること
  3. 選任された支援担当者が、過去5年間に2年以上中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を有すること
  4. 上記のほか、登録支援機関になろうとする個人、あるいは団体が、これらと同程度に、支援業務を適正に実施できると認められていること


③ 1年以内に責めに帰すべき事由により、特定技能外国人、または技能実習生の行方不明者を発生させていないこと


④ 支援の費用を直接、または間接的に外国人本人に負担させないこと


⑤ 刑罰法令違反による罰則(5年以内に出入国又は労働に関する法令により罰せられたなど)を受けていないこと


⑥ 5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し著しく不正、または不当な行為を行なっていないこと

 

登録支援機関の登録申請方法

登録支援機関としての登録申請方法は、出入国在留管理庁長官に手数料28,400円を支払って(収入印紙)、申請書などを提出しなければなりません。

直接地方出入国在留管理局に持っていくか、郵送することになります。

 

提出する書類はそれほど多くなく、その書類の一覧は、法務省のホームページにある「特定技能外国人の受入れに関する運用要領」で確認できます(146枚目)。

登録申請方法はあくまで書類の提出ですから、その書類の中で、以下の拒否事由(法19条の26)に該当していないことを疎明しなければなりません。
事前にすべての拒否事由に該当しないよう確認し、書類を調えることが必要です。

 

  • ①関係法律による刑罰を受けたことによる拒否事由
      刑に処せられたことがあり、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから5年を経過していない場合などです。
  • ②申請者等の行為能力・役員等の適格性の観点からの拒否事由
      精神機能の障害で支援を適正に行うことができない場合や、破産手続開始の決定を受けた後に復権していない場合などです。
  • ③登録を取り消されたことによる拒否事由
      登録支援機関としての登録があったが、その登録の取消しを受けたときは、取消日から5年が過ぎていない場合(取り消された法人の役員であった場合を含む。)などは拒否事由となります。
  • ④出入国又は労働関係法令に関し不正行為を行ったことによる拒否事由
      登録のための申請日より遡って5年以内に,出入国又は労働関係法令に関する不正又は著しく不当な行為(以下「不正行為」という。)を行っていた場合などは、拒否事由となります。
  • ⑤暴力団排除の観点からの拒否事由
      反社会的勢力であったり、それに関する事業活動に影響力を持ったりしている場合は、当然拒否されます。
  • ⑥行方不明者の発生による拒否事由
      過去1年間に行方不明者を発生させていないことが求められます。
      なぜなら、行方不明者を出したということは、支援が十分になされていなかったとみなされるからです。
  • ⑦支援責任者及び支援担当者が選任されていないことによる拒否事由
      支援責任者と1名以上の支援担当者を選任しなければなりません。
      登録支援機関の支援業務を行う事務所に所属する者の中から、支援担当者を選任すればよく、1号特定技能ビザ(在留資格)を持つ労働者を雇用する会社ごとに支援担当者を1名選任しなければならないという訳ではありません。
  • ⑧中長期在留者の適正な受入れ実績がないこと等による拒否事由
       ア)からエ)のどれか一つに当てはまらない場合に、拒否されます。
    • ア)過去2年間に就労目的の中長期在留者の受入れや管理を適正に行った実績
    • イ)過去2年間に報酬を得る目的で仕事として、日本に滞在する外国人から相談を受けた経験
    • ウ)支援責任者と支援担当者が、過去5年間に2年以上就労目的の中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を持つ
    • エ)ア)~ウ)に該当する者と同程度に支援業務を適正に実施することができる者として出入国在留管理庁長官が認める
  • ⑨情報提供・相談等の適切な対応体制がないことによる拒否事由
      1号特定技能ビザ(在留資格)を持つ外国人労働者に対して、十分に理解できる言語(母国語でなくてもOK)による適切な情報提供体制や相談体制がないと判断されると拒否事由になります。
  • ⑩支援責任者、支援担当者と1号特定技能ビザ(在留資格)を持つ外国人労働者を雇う会社などとの関係性による拒否事由
      支援の中立性を確保するために、1号特定技能ビザ(在留資格)を持つ外国人労働者を雇う会社の役員の配偶者や2親等内の親族などは、登録支援機関になれません。

以下は、最初に申請するときにもチェックされますが、主に更新の際に問題となりそうです。

  • ⑪支援業務実施に係る文書の作成等をしないことによる拒否事由
  • ⑫特定技能外国人に支援に要する費用を負担させることによる拒否事由

1号特定技能ビザ(在留資格)を持つ外国人労働者に対する支援は、無償で提供しなければならず、直接的・間接的に負担させると、拒否事由になります。

 

  • ⑬支援の委託契約締結に当たって支援に要する費用の額等を明示しないことによる拒否事由

支援に要する費用の額とその内訳を明示することが求められています。
上限額があるわけではないのですが、全部を明確にすることが求められています。

 

申請者は、「特定技能所属機関から契約により委託を受けて適合1号特定技能外国人支援計画の全部の実施の業務を行う者」とされています。

また、審査時期及び審査期間についてですが、登録支援機関の登録申請に係る審査は、2ヵ月程度要することから、支援業務を開始する予定日の2ヵ月前までに申請を行う必要があります。

なお、申請書は、外務省のホームページから、ダウンロードすることができます。
※外務省・登録支援機関の登録申請

 

登録後の届出

登録支援機関について、登録事項の変更、休止や再開などについては、変更が生じた日から14日以内に、届出をしなければなりません。

その際に、届出書、変更内容を証する書面を提出し、届出者の身分を証する書面を提示する必要があります(郵送の場合は、コピーを添付)。


届出書の様式は、外務省のホームページからダウンロードできます。
※外務省・登録支援機関による登録事項変更に関する届出


また、登録支援機関は、四半期に1回、支援実施状況を届け出なければなりません。

四半期は、「1月~3月」、「4月~6月」、「7月~9月」、「10月~12月」と分かれており、それぞれの期間の初日から14日以内に、届出書を提出し、届出者の身分を証する書面を提示する必要があります(郵送の場合は、コピーを添付)。


届出書の様式は、外務省のホームページからダウンロードできます。
※外務省・登録支援機関による支援実施状況に係る届出


なお、登録支援機関は、5年ごとに更新手続きを行う必要があります。
もし更新しなければ、効力を失うことになります。

更新の際も、登録申請と同様に、手数料28,400円が必要です。

登録支援機関には、様々な業務があり、4ヵ月に1回の報告義務もあります。

また、変更が生じた場合には、速やかな届出も必要です。
従って、機関の運営に当たっては、常に細かい点にも気を配り、疑問点が生じたら、関係機関に問い合わせるようにしましょう。

 

まとめ

1号特定技能ビザ(在留資格)を持つ外国人労働者を支援するために、登録支援機関となる登録申請方法は、全部で13種類しかない書類を調えて、地方出入国在留管理局に提出すればよいのです。

 

しかし、その書類の中身で13個の拒否事由に該当しないことを明らかにしなければなりません。登録支援機関として認められた場合には、1号特定技能ビザ(在留資格)を持つ外国人労働者の支援を入国前から帰国まで、しっかりと行うことが要求されます。その分のコストは、1号特定技能ビザ(在留資格)を持つ外国人労働者を雇用する会社などが負担しなければなりません。

 

登録申請方法を間違わなければ、登録支援機関になることは難しいことではないようですが、登録支援機関としての役割を十分に理解することが大切です。