【送出機関とは?】6つの観点からみる技能実習制度

1993年に制度化された技能実習制度は、一部で人権侵害を疑われてもやむを得ないような事例が散見したことから、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」が2017年11月に施行され、制度の適正化を図られました。

 

その一環として、実習生を送り出す側である「送出機関」についても、改めて種々の取り決めがなされました。この「送出機関」とは一体どういうものか、確認してみましょう。

 

送出機関の問題点

技能実習生を集めるには、二通りの方法があります。一つは公募です。募集をかけて集めるのです。もう一つは、その国の会社で働いている従業員を日本に送り出す方法です。

 

「人材育成を通じた開発途上地域等への技能、技術又は知識(以下「技能等」という。)の移転による国際協力を推進することを目的とする(技能実習法第一条)」

 

という趣旨からすると、二つ目の方法が理想的といえます。

 

しかし現実には最初にご紹介した方法の公募が多いようです。

 

実はここに問題点が潜んでいたのです。公募の際に、「実際には残業が多く、基本給よりもはるかに稼げる」というようなうたい文句で募り、多額の借金をさせてから日本に送り出すということがありました。

 

技能実習の期間に逃げ出したり、勝手に帰国したりしないよう、高額な保証金を取る仲介会社もあったようです。更には同じ仲介会社であっても、技能実習生ごとに要求される費用が異なることも少なくありませんでした。

 

新制度における「送出機関」とは

技能実習制度を適正に運用していくために、技能実習生を送り出す側の「送出機関」については、

 

「技能実習生になろうとする者からの…(途中省略)…技能実習に係る求職の申込みを適切に本邦の監理団体に取り次ぐことができる者として主務省令で定める要件に適合するもの(技能実習法第二十三条二項六号)」

 

と定められました。

 

つまりは、技能実習生の母国にあり、技能実習生の就職を日本の技能実習監理団体に取り次ぐのが、「送出機関」ということです。

 

日本語教育を行うだけの機関や技能実習のための事前訓練だけを行う機関は、「送出機関」ではありません。これらは「準備機関」に過ぎません。最終的に、日本の技能実習監理団体に技能実習生の就職を取次ぐ機関でなければならないのです。

 

「送出機関」であることの重要性

日本の技能実習監理団体に技能実習生の就職を取次ぐ機関が、「送出機関」だと説明しましたが、「送出機関」であると認定されることは、非常に重要なことなのです。

 

なぜなら、技能実習監理団体は、必ず「送出機関」と契約しなければならず、外国人技能実習機構のホームページに「送出機関」が公表された後は、「送出機関」以外から技能実習生を受け入れることができなくなるからです。

 

たとえばベトナムを例にすると、外国人技能実習機構のホームページ上に公表されている「送出機関」は275団体あり(2018年10月末現在)、2018年9月1日以降はこの公表されている団体以外からの技能実習生受け入れはできないのです。

 

「送出機関」の認定要件

技能実習生の「送出機関」と認定されるための主な要件は、以下のようなものになります(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則第二十五条)

 

  • 自国又は自国の地域の公的機関からの推薦があること
  • 技能実習制度の趣旨を理解した上で、実習候補者を適切に選定、送り出しができること
  • 技能実習生等から徴収する手数料等の算出基準を明確に公表し、技能実習生に明示して
  • 十分に理解させること
  • 技能実習修了者(帰国者)に就職の斡旋等必要な支援ができること
  • 法務大臣、厚労大臣又は外国人技能実習機構からのフォローアップ調査や技能実習生の
  • 保護に関する要請などに対応できること
  • 当該送出機関又はその役員が、過去5年以内に
    • 保証金の徴収他名目を問わず、技能実習生や親族等の金銭又はその他財産を管理していないこと
    • 技能実習に係る契約の不履行について違約金や不当な金銭等の財産移転を定める契約をしていないこと
    • 技能実習生に対する人権侵害行為、偽造変造された文書の使用等を行っていないこと

まとめ

新しい技能実習制度において、「送出機関」とは「準備機関」とは明確に区別され、日本の技能実習監理団体に技能実習生の就職を取次ぐ機関でなければなりません。

 

日本語教育を行ったり、技能実習のための事前訓練を実施したりすることは「準備機関」の役割となります。実際には、「準備機関」は「送出機関」の一部として、もしくは「送出機関」とは独立し、「送出機関」からの委託を受けることで、それぞれ機能しているようです。

 

日本の技能実習監理団体にとっても、この「送出機関」は重要であり、最終的には「送出機関」以外から技能実習生を受け入れることはできなくなるのです。

 

行政書士齊藤学

千葉県行政書士会会員・葛南支部船橋幹事。 25年間の会社勤務経験を経て2016年に行政書士として独立。市民法務と国際業務を中心に活動し、ビザの申請取次業務にも従事。

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