技能実習制度とは、外国から技能実習生を日本で受入れ、企業や個人事業主などの実習実施者と雇用関係を結ぶものです。

それにより、出身国では修得が困難な技能などを修得、習熟、熟達しようとすることを目的としています。
期間は最長5年、技能等の修得は、技能実習計画に基づいて行われます。

ここでは、建設業の技能実習制度を取り上げ、対象となる職種や技能実習計画書について、詳しくご説明いたします。

■対象職種

建設業で、「技能実習制度」の対象となる職種、作業名は、次のとおりです。
職種は◎で、作業名は〇で示しています(22業種、33作業)。

◎さく井
  〇パーカッション式さく井工事作業
  〇ロータリー式さく井工事作業

◎建築板金
  〇ダクト板金作業
  〇内外装板金作業

◎冷凍空気調和機器施工
  〇冷凍空気調和機器施工作業

◎建具製作
  〇木製建具手加工作業

◎建築大工
  〇大工工事作業

◎型枠施工
  〇型枠工事作業

◎鉄筋施工
  〇鉄筋組立て作業

◎とび
  〇とび作業

◎石材施工
  〇石材加工作業
  〇石張り作業

◎タイル張り
  〇タイル張り作業

◎かわらぶき
  〇かわらぶき作業

◎左官
  〇左官作業

◎配管
  〇建築配管作業
  〇プラント配管作業

◎熱絶縁施工
  〇保温保冷工事作業

◎内装仕上げ施工
  〇プラスチック系床仕上げ工事作業
  〇カーペット系床仕上げ工事作業
  〇鋼製下地工事作業
  〇ボード仕上げ工事作業
  〇カーテン工事作業

◎サッシ施工
  〇ビル用サッシ施工作業

◎防水施工
  〇シーリング防水工事作業

◎コンクリート圧送施工
  〇コンクリート圧送工事作業

◎ウェルポイント施工
  〇ウェルポイント工事作業

◎表 装
  〇壁装作業

◎建設機械施工
  〇押土・整地作業
  〇積込み作業
  〇掘削作業
  〇締固め作業

◎築炉
  〇築炉作業

なお、建設に関係するものとして、他にも塗装職種に「建築塗装作業」と「鋼橋塗装作業」の2作業があります。

また、「建設機械施工」は、技能実習評価試験の職種でもあります。
建設業における「技能実習生」の受け入れ数(2017年)は36,589人で、2011年からの増加率は400%以上です。

全産業の増加率が86%ですから、建設業における増加がいかに顕著かわかります(国土交通省資料)。
(参考URL:
http://www.thr.mlit.go.jp/bumon/b06111/kenseibup/plan_build/pdf_0810/190507_siryou2.pdf

 

■技能実習計画書

▼技能実習計画書とは

技能実習を実施する機関は、受け入れる技能実習生ごとに、「技能実習計画」の作成義務があります。
この計画書を作成した後は、主務大臣の認定を受けなければなりません。

この認定制度は、技能実習の適正性を担保するためのものです。

この計画書では、「左官作業」を例にとると、「左官工事施工作業」や「安全衛生業務」を必須業務として記載し、それぞれの手順や具体的な項目を列記します。
さらに、必須業務を遂行するために必要な関連業務、周辺業務も記載することになります。

▼計画書の記載事項

技能実習計画書に記載しなければならない事項は、次のとおりです。

・申請者自身の氏名・住所
・法人の場合には代表者氏名
・法人の役員の氏名・住所
・技能実習を行う事業所の名称・所在地
・技能実習生の氏名・国籍
・技能実習の区分(第1号企業単独型技能実習、第2号企業単独型技能実習若しくは第3号企業単独型技能実習又は第1号団体監理型技能実習、第2号団体監理型技能実習若しくは第3号団体監理型技能実習の区分をいう。)
・技能実習の目的(技能実習評価試験の合格やその他の目標など)、内容および期間
・事業所ごとの責任者の氏名
・団体監理型の場合は、監理団体の名称・住所・代表者の氏名
・技能実習生の待遇(報酬、労働時間、休日・休暇、宿泊施設、食費・居住費等)
・その他省令で定める事項

▼計画の認定基準

技能実習計画書では、次の認定基準を満たさなければなりません。

・修得等をさせる技能が技能実習生の本国において修得等が困難な技能等であること
・技能実習の目標が技能実習の区分に応じて定めた基準に適合すること
・技能実習の内容が技能実習の区分に応じて定めた基準に適合すること
・実習を実施する期間が右記に適合していること(第1号は1年以内、第2号・第3号は2年以内であること)
・第2号・第3号に関する場合は、その前段階(1号・2号)の試験合格等の目標が達成されていること
・技能実習を修了するまでに、技能検定・技能実習評価試験等により評価を行うこと(適正な評価が実施されていること)
・事業所ごとに技能実習の実施責任者(その他、技能実習指導員・生活指導員)を選任していること
・団体監理型技能実習の場合は、申請者が監理団体の実習監理を受けること
・技能実習生の待遇(報酬が日本人従事者と同等以上であることその他)が省令で定める基準に適合していること
・許可を受けている監理団体による実習監理を受けること(団体監理型技能実習の場合)
・第3号企業単独型・団体監理型の場合は、申請者の実習実施能力が省令で定める基準を満たしていること
・複数の技能実習生に技能実習を行わせるときは、その数が省令で定める数を超えないこと

 

■注意点

技能実習制度において、受け入れる機関は、日本人と同等以上の報酬の確保、広さ要件に合う宿舎確保など、外国人実習生の労働条件や住環境への配慮が求められます。

また、技能実習計画を実施できるだけの環境の整備、仕事、生活面の支援、人間性の向上など、外国人の実習生を育てるという総合的なサポート体制が求められます。

 

■今後の動き

国土交通省は、建設分野の技能実習生の受け入れに関して、受け入れ人数枠の設定、キャリアアップシステムへの登録等を義務しました。

これは、2020(令和2)年1月から実施しなければなりません。
技能実習生のうち、建設分野での失踪者数が最多であるいう現実を踏まえて、職場環境や受け入れ体制を整備する必要が出てきたためです。

今後は、技能実習計画の認定において、3つの基準(技能実習を行わせる体制の基準、技能実習生の待遇の基準、技能実習生の数)が追加され、外国人技能実習機構で審査されます。

■まとめ

日本の人手不足を補うために、実習生が安価な労働力とならないように、技能実習制度は改正されました。
受け入れる日本の機関にとっても、外国人実習生によってもメリットがあるように、法律や制度を遵守する必要があります。