技能実習制度

技能実習制度とは

技能実習制度」とは、一定期間日本国内で外国人を技能実習生として雇い、様々な分野の技能を修得してもらう制度です。
外国の中でも、特に発展途上国の経済面・技術面の発展を担う人材を育成することを目的として、作られた制度です。
また、日本国内で人手不足となりつつある産業を支えるために、外国人の労働者に働いてもらうという側面もあります。

現状の問題点

日本政府が「技能実習制度」を推進したこと、また日本の企業の人手不足という現状が重なり、多くの外国人が技能実習生として、日本の企業で働くことになりました。
しかし、外国人の雇用をめぐり、賃金の不払い、未払いや違法な時間外労働を強いるなど、多くの問題が頻発するようになりました。

 

主な違反事項

法務省入国管理局では、違反事項として次の6つに分類しています。

第1類型

・二重契約
 研修生が在留資格認定証明書に記載した研修手当の額などと違った合意がなされた場合

・研修・技能実習計画との齟齬
 提出した研修計画や技能実習生との間の雇用契約の内容について齟齬がある研修・技能実習が行われていた場合
※特にその齟齬が申請の許否を左右する程度であるとき

・名義貸し
 申請上の研修生・技能実習生の受け入れ機関が研修生・技能実習生を受け入れず、他の機関が研修生・技能実習生を受け入れているような場合

・虚偽文書の作成・行使
 入国管理局に虚偽内容の書面を提出した場合

 

第2類型

研修生に対して、一般の労働者のように所定時間外、休日等に作業を行わせるなどして、研修計画に記載していない作業をさせていた場合

 

第3類型

・暴行・監禁等
 研修生や技能実習生に対して、暴行や監禁を行った場合

・旅券・外国人登録証明書の取上げ
 研修生や技能実習生の旅券・外国人登録証明書を取り上げている場合

・研修手当・賃金の不払い
 研修生に支払う研修手当、技能実習生に支払う賃金の一部、または全部を支 払っていない場合

・人権侵害行為
 研修生、技能実習生に対して、悪質な人権侵害行為を行う、あるいは研修・技能実習制度に対する信頼に重大な影響を与えた場合

 

第4類型

・報告義務違反
 研修生、技能実習生の失踪等の問題が発生した事実について、入国管理局に届け出ていなかった場合

・監査未実施
 第一次受け入れ機関が、研修告示で定められた監査報告を怠っている場合

・失踪者の多発
 直近の失踪者が発生した前の1年間で、受け入れた研修生・技能実習生が50人以上の機関において、そのうちの20%以上の研修生・技能実習生が失踪した場合

 

第5類型

・不法就労者の雇用
 研修生受け入れ機関や実習実施機関で、不法就労者を雇用した場合

・労働関係法規違反
 研修生受け入れ機関や実習実施機関で、技能実習生等に係る労働関係法規に違反があった場合

・外国人の就労に係る不正な行為
 第二次受け入れ機関や実習実施機関など研修・技能実習に関与する機関が、不法就労者の雇用をあっせんする、あるいは不法就労活動を容易にするなどの外国人の就労に係る不正な行為を行った場合

 

第6類型

「不正行為に準ずる行為」に認定された後、改善策を提出して、改善が認められて研修生や技能実習生の受入れを再開したものの、その後概ね3年以内に再度「不正行為に準ずる行為」に該当する行為を行った場合

 

企業・受け入れ機関へのペナルティとは

「不正行為」に当たると判断された場合

・新規研修生・技能実習生の受け入れ停止
 「不正行為」を行った機関は、3年間研修生・技能実習生の受け入れができません。

・在留する研修生・技能実習生に対する措置
 「不正行為」について、研修生・技能実習生にも責任があったとき、あるいは責任がなくても、適正な研修・技能実習を実施する体制を有する他の機関に受け入れられなかった、あるいは雇用されなかった場合には、その研修生・技能実習生は帰国しなければなりません。

・改善措置の提出
 「不正行為」後の3年間、研修生、技能実習生を受け入れることはできませんが、3年を経過した後であっても,受入れ機関に改善策の提出を求めた上で、問題が再発するおそれがなく、適正な研修の実施が見込める場合のみ、研修生の新規受け入れが認められます。
※出典「研修生及び技能実習生の 入国・在留管理に関する指針 (平成19年改訂)」(法務省入国管理局)

 

必要な対策は

企業側、受け入れ機関がペナルティを受けないためには、法令、規程等を厳格に守る意識を常に持つことです。
また、何か事態が発生すれば、入国管理局等に速やかに報告することはもちろん、疑問に思うことは、関係機関や「技能実習制度」に詳しい行政書士等に相談することが大切です。

 

まとめ

外国人に日本の技能を習得してもらうという目的で始まった「技能実習制度」ですが、賃金未払いや不法な時間外労働等の問題が頻発しています。

なお、「技能実習制度」に関する法律が改正され、新たな制度が2019年4月から始まります。
この改正を機に、外国人実習生にとっても、日本の企業・受け入れ機関にとっても、充実した「技能実習制度」にしていく必要があります。