在留資格の中に、「短期滞在」というものがあります。


生活の基盤を日本に移動させる意思がない場合の在留資格ですが、具体的にどのような場合に適用されるのでしょうか?

詳しくご説明いたします。

短期滞在ビザとは?

短期滞在ビザとは

日本で「短期的に」滞在するためには、短期滞在ビザを取得しなければなりません。

 

他の就労ビザと違って、生活、活動の基盤を日本に移転させる意思のない「一時的な滞在」でなければならず、「15日以内」、「30日以内」、「90日以内」、「180日以内」のように、定められた期間内に予定の活動を終えることが条件です。

要件1(報酬の有無)

短期滞在ビザは、収入を伴う事業を運営・経営・管理する活動、あるいは報酬を受ける活動の場合、取得できません。

ここで言う報酬、収入とは、「外国人による役務提供が日本国内で行われ、その外国人が役務提供の対価を受ける」こととされています。

 

なお、対価が日本の機関から支給されるか、国外で支給されるかは、関係ありません。

 

ただ、以下のものは、報酬・収入に該当しません。

  • 日本国外で行っている主業務に関連する従たる業務を行うために短期間来日する場合   ex)機械の輸出業者によるアフターサービス等のための短期来日
  • 渡航費、滞在費の実費弁償の範囲を超えない金額の支給
  • 業として行わない活動に対する謝金・臨時報酬等   ex)講演、講義、討論その他これらに類似する活動
  • 助言、鑑定その他これらに類似する活動
  • 小説、論文、絵画、写真、プログラムその他の著作物の制作
  • 催物への参加、映画又は放送番組への出演その他これらに類似する活動

要件2(活動内容の真実性)

本国で短期滞在ビザ(査証)を得た後に、日本へ到着しても、入国審査において、在留資格「短期滞在」に認められた活動を行うことに、真実性が認められなければ、滞在できません。

 

実際の審査では、その外国人の経歴、日本への出入国歴、本国での職の有無、滞在費支弁能力、所持金、訪問先の信用度や関係性、同行者との関係、所持品、宿泊先の確保の有無、滞在予定期間、滞在日程の把握状況など、総合的な観点から判断されることになります。

 

要件3(180日ルール)

「180日ルール」という明確な決まりがあるわけではありませんが、「入国・在留審査要領」では、「1年の過半を本邦に滞在することにならないように留意する」とされています。

この文言から、「年間180日を超える滞在は望ましくない」という暗黙の了解、すなわち「180日ルール」が存在するのです。


このルールは、あくまでも実務上の取り扱いということになります。
暗黙の了解で、厳密な規定ではありませんから、必ず守らなければならないというものではありません。

例えば、日本に在留する外国人が、引き続き特別な事情で在留することが認められれば、180日を超えて在留することができます。
特別事情とは、病気や手術などのやむを得ない場合に限られます。

それでも、先程ご説明したように、「入国・在留審査要領」で「180日ルール」そのものは存在していますから、180日を超える在留には、厳しい審査があります。

 

申請に必要な書類

 

  1. 申請書(1通)
  2. パスポート(提示)
  3. 写真(1枚)
  4. 渡航経費を支弁できることを証する資料(1通:所得証明書など)
  5. 親族関係を証する書面(1通) ※親族訪問の場合
  6. 滞在予定表または日程表(1通) ※観光の場合
  7. 在職証明書(1通) ※観光の場合
  8. 外国人登録証(表裏の写し)
  9. 招へい理由書・資料、滞在予定表
      ※日本側の招へい機関などで準備
  10. 身元保証書、身元保証人による渡航費用支弁能力の証明書類
      ※日本側の招へい機関などが申請人の渡航費用を負担する場合

 

9の資料で、海外で暮らしている親族・配偶者の家族を短期間(90日間以内)で、日本へ招待する場合には、「招へい理由書」を添付することになります。

審査における重要な書類ですから、作成には細心の注意を払う必要があります。


外国籍の人が、短期滞在ビザを取得して、来日する場合、「外国側主体で申請書類を準備する方法と、日本側の協力者が申請する方法の2つがあります。
招へい理由書には、以下の項目を記載します。

  1. 作成日
  2. 申請先の情報
      ※申請人が書類を提出する日本大使館または総領事館の名称を記載します。
  3. 招へい人の郵便番号
  4. 招へい人の住所
  5. 招へい人の氏名
  6. 招へい人の電話番号
  7. 招へい人のFAX番号
      ※招へい人とは、日本に招待する人のことです。
  8. 招へい機関(企業)の情報
      個人の場合は、空欄にします。
  9. ビザ申請人の国籍
  10. ビザ申請人の職業
  11. ビザ申請人の氏名
  12. ビザ申請人の性別
  13. ビザ申請人の人数
  14. ビザ申請人の生年月日
  15. 招へい目的
       ※ビザ申請人が日本へ来る目的を記載します。
  16. 招へいの経緯
       招へい人がビザ申請人を日本に呼ぶことになったいきさつを記載します。
  17. 招へい人と申請人の関係

 

短期滞在ビザの具体例

短期滞在ビザの代表的なものは、観光、業務連絡ですが、具体的には、以下のとおりです。

 

  • 観光…娯楽、参詣、通過の目的での滞在
  • 保養…病気治療の目的での滞在
  • スポーツ…競技会,コンテスト等へアマチュアとして参加する目的での滞在
  • 親族の訪問…親族等の訪問に限らず、友人・知人の訪問、親善訪問、冠婚葬祭等への出席まで含む目的での滞在
  • 見学…視察等の目的での滞在
  • 講習・会合…教育機関や企業等の行う講習、説明会、その他の会合等への参加
  • 業務連絡…会議、商談、契約調印、アフターサービス、宣伝、市場調査、その他   
  • 短期商用の目的での滞在
  • その他これらに類似する活動
    • 1. 報酬を受けないで行う講義、講演等
    • 2. 日本を訪れる国公賓、スポーツ選手等に同行して行う取材活動等、本国での取材活動に付随した一時的用務としての報道、取材活動
    • 3. 日本の大学等の受験、外国法事務弁護士となるための承認を受ける等の手続き
    • 4. 報酬を受けずに外国の大学生等が学業等の一環として本邦の公私の機関に受入れられて実習を行う「90日」以内の活動(90日以内の無報酬での「インターンシップ」)
    • 5. その他日本において収入を伴う事業を運営し、または報酬を得る活動をすることのない短期間の滞在

なお、預貯金3,000万円以上を保有する方は、満18歳以上、子どもが同伴していないなどの条件が合えば、「特定活動」の在留資格を所得し、観光・保養目的で180日以上(満了期間前に手続きを行うことで最長1年)の在留が可能です。

 

就労ビザへの変更

短期滞在ビザから、就労ビザ(在留資格)への変更は、通常認められません。

 

ただし、「やむを得ない特別の事情」がある場合のみに、変更が認められています。

その理由は、短期滞在ビザが、比較的容易に発行されるため、そして長期滞在予定の外国人に対して厳格な審査を行っているためです。

 

ですから、短期滞在の外国人は、一度帰国して、就労のためのビザ(在留資格認定証明書)を取得し直した上で、再入国することになります。
ただ、例外的に、日本に滞在したまま、短期滞在ビザから就労ビザ(在留資格)へ変更できる場合としては、入国後に、在留資格認定証明書を取得するという方法があります。

 

この場合でも、在留資格は「短期滞在」に過ぎませんから、就労ビザ(在留資格)への変更申請の際に、取得済みの在留資格認定証明書を一緒に提出することになります。

 

この手続きによって、在留資格認定証明書を添付したことが、「やむを得ない特別の事情」となり、在留資格変更が認められることになります。

 

ただ、認めるか否かは、あくまでも法務大臣の裁量ですから、「認められる場合がある」と理解しておいた方がいいでしょう。

 

短期滞在ビザの更新

短期滞在ビザの更新(延長)は、基本的に認められていません。
しかし、確実に出国が見込まれる場合、あるいはけがや病気の治療などの人道的な理由があれば、更新が認められることがあります。

必要な書類などは、次のとおりです。

  1. 在留期間更新許可申請書(1通)
      出入国在留管理官署、法務省のホームページから取得可能
  2. パスポート(提示)
  3. 「短期滞在」の在留資格に係る活動を引き続き必要とする理由を明らかにする資料(1通)
  4. 日本に入国してから現在までの活動を説明する資料(1通:書式自由)
  5. 滞在中の経費を支弁できることを証する資料、及び出国のための手段または経費を支弁できることを証する資料(1通:預金高証明書など)
  6. 身分を証する文書等(提示:取次証明書、戸籍謄本など)


短期滞在ビザは、基本的に更新される在留資格ではありません。
従って、上記の書類・資料を出したからと言って、簡単には認められないことを肝に銘じて置く必要があります。

ですから、上記の3及び4の資料において、「引き続き日本に在留ざるを得ない根拠」を詳しく、真摯に説明できるか最大のポイントです。

 

まとめ

短期滞在ビザは、観光や短期の業務などの理由で、日本に滞在する在留資格です。

 

ただ、「やむを得ない特別の事情」がある場合に限って、就労ビザへの変更が可能です。