少子高齢化が進み、労働力人口の減少が大きな問題になっている日本。人手不足により倒産する企業も少なくありません。

そんな人手不足の解消に期待されているのが外国人の労働力です。しかし初めて外国人を雇用する際に必要な届出については分からないことが多いと思います。

今回は外国人を雇用した際に必要となる外国人雇用状況届について解説していきます。

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外国人雇用状況届出の必要性

まず外国人を雇用する際に必ず確認しなければならないのが雇用する外国人の持っている在留資格です。

 

就労が可能なのか否か、就労に制限があるか否か、など確認したうえで雇用し、不法就労とならないよう十分配慮をするようにしましょう。雇用契約締結後、そのあとは日本人を雇用した場合と同様の手続きで良いかというと、そうではありません。

 

外国人を雇用した場合には、公共職業安定所(ハローワーク)に外国人雇用状況届出書を提出しなくてはなりません。これは「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等の関する法律」により外国人を雇用したすべての事業主に義務付けられている届出であり、雇い入れの時だけではなく、離職の際にも必要となる届出です。

 

ハローワークではこの届出に基づき外国人の雇用環境の改善に向け事業主への助言や指導、また離職した外国人に対する再就職支援を行っています。

 

また厚生労働省では事業主から提出された届出を毎年10月末現在で集計し、「外国人雇用状況」の届出状況として報道発表しています。この報道発表により現在の外国人労働者数やその増加率、どの国の人々が多く雇用されているのか、等の情報を知ることが出来ます。

 

外国人雇用状況届を行うことにより、国の外国人雇用政策の立案に役立つだけではなく、事業主への雇用管理に対する適切な助言を行うためにも必要な情報の収集に役立ちます。

 

外国人雇用状況届出対象者と雇用形態

外国人雇用状況届は日本国籍を有しない「外国人」を雇用した場合に必要となる届出ですが、ただすべての外国人を雇用した場合にこの届出を行わないといけないかというとそうではありません。

 

「外交」「公用」以外の在留資格を有する外国人を雇用した場合に届出が必要となります。前述のように「外国人」を対象としますので、「永住者」や「日本人の配偶者等」などの身分系資格を有する外国人を雇用した場合も同様にこの届出が必要です。

 

ただし、外国人とはいえ、「特別永住者」の在留資格をもって日本に在留している方については、特別な法的地位が与えられているためこの届出は必要ありません。雇用形態としては正社員のみならず、留学生が週28時間の制限内で働くアルバイトや派遣労働者も届出の対象となります。

 

外国人「雇用」状況届ですので、「雇用関係」を前提としていますが、雇用契約を締結していなくても、実態からみて業務遂行上の指揮監督の有無や専属性の程度などから労働者性が強く雇用関係にあると判断される場合もありますので、注意が必要です。

 

外国人雇用状況届出の方法

外国人雇用状況届の届出先はハローワークであることは既に述べたとおりです。では、どのような方法で提出すれば良いのでしょうか。

 

この外国人雇用状況届はハローワークの窓口に出向き、直接書類を提出する方法と外国人雇用状況届出システムを利用する方法があります。またこの届出は雇用保険に加入しているかどうかで使用する書式や提出期限、ハローワークの届出先が異なりますので、注意が必要です。

 

雇用保険の被保険者となる外国人を雇用した場合は雇い入れの翌月10日までに、離職の場合は離職の翌日から起算して10日以内に雇用保険の適用を受けている事業所を管轄するハローワークに届出ます。雇用保険の被保険者とならない外国人を雇用または離職の場合は、雇用または離職の翌月末日までにその外国人が勤務する事業所施設の住所を管轄するハローワークに届け出ます。

 

外国人雇用状況届出の記載内容

外国人雇用状況届出書にはどのような内容を記載すれば良いのでしょうか。

 

雇用した外国人が雇用保険の加入者である場合、雇用した際には「雇用保険被保険者資格取得届」、離職の場合には「雇用保険被保険者資格喪失届」を使用します。

 

ここには雇用した外国人の

  • ①氏名
  • ②在留資格
  • ③在留期間
  • ④生年月日
  • ⑤性別
  • ⑥国籍・地域
  • ⑦勤務する事業所の名称および所在地等

を記載します。

 

雇用した外国人が雇用保険に加入しない場合、雇用時も離職時も「外国人雇用状況届出書(様式3号)」を使用します。①から⑥までは雇用保険加入時と同様の内容を記載します。

 

記載が異なる部分としては、

 

  • ⑦資格外活動許可の有無(雇用時のみ)
  • ⑧雇入れ又は離職年月日

を記載します。

 

記載する内容は雇用する外国人の在留カードやパスポート等の提示をしてもらい、確認するようにしましょう。これらを提示してもらうことで不法滞在でないか、資格外活動許可は受けているか、等も確認できます。また届出用紙はハローワークの窓口で配布も行っている他、厚生労働省のホームページでもダウンロードできます。

 

まとめ

外国人を雇用した際、保険や年金については手続きが出来ていても案外忘れがちなのがこの外国人雇用状況届です。

この届出は外国人労働者を雇用しているすべての事業主に義務付けられています。

 

届出を怠ったり、虚偽の届出を行ったりした場合には、指導、勧告の対象となるとともに30万円以下の罰則の対象となります。届出の記載内容を担保するのは一義的には事業主の責任となりますので、在留カードやパスポートを確認のうえ、正しく届出を行うようにしましょう。