1から詳しく! 在留資格が取り消される場合【行政処分&刑事罰】

在留資格を持つ外国人が、日本で罪を犯した場合、在留資格を取り消されることがあります。

 

このような場合、引き続き日本に在留することは難しくなり、強制的に本国へ返還されることになります。

 

ただ、犯した罪によっては、そこまで厳しいペナルティが科されない場合もあります。ここでは、在留資格と行政処分・刑罰について、詳しくご説明いたします。

 

退去強制とは?

退去強制とは

強制退去とは、一定の事由がある日本在留の外国人に対して、日本から強制的に退去させることを言います。「追放」、または「国外退去追放」とも呼ばれています。

 

ここでいう「一定の事由」は、入管法の中で具体的に記載されています。例えば、不法入国者、不法残留者、刑罰法令違反者、暴力主義的破壊活動を行う者などです。

 

またこの他にも、法務大臣が日本の利益や公安を害する行為を行った者を強制退去処分にすることができるとして、法務大臣の裁量も認められています。

 

なお、この退去強制は、法務省が入管法の規定、あるいは法務大臣の裁量で行わるので、「行政処分」に該当します。

退去強制の流れ

退去強制は、入国警備官の違反調査、収容、入国審査官による審査、口頭審理、異議の申し出という流れで行われます。

 

その後、入管法の定める一定の手続きを経て,退去強制令書が執行され、原則として、その人の国籍、または市民権を持つ国に送還することになりいます。

 

また、2004年に入管法が見直され、難民申請者については一定の基準を満たせば退去強制手続きが一時停止され、仮滞在を許可する制度が創設されました。

 

なお,外国の外交官に対する退去強制は,国外退去処分と呼ばれます。

 

不法就労助長罪とは

不法就労とは、入管法で定められた活動以外のことを行ったり、そもそも在留資格を持たずに不法入国した外国人や在留資格の更新手続きを行わずに不法残留となった外国人が就労したりすることです。

 

このような外国人が就労した場合、不法就労とみなされ、退去強制などに処せられることになります。

 

その一方で、不法就労した外国人を雇った事業主には、「不法就労助長罪」によって処罰されます。

 

具体的には、「3年以下の懲役、または300万円以下の罰金」などの刑罰に処せられます。

また、労働者派遣事業、有料職業紹介事業の許可の欠格事由となりますので、外国人を雇い入れることができなくなります。

 

従って、事業主は外国人を雇い入れる場合、事前にどの在留資格で在留する外国人か、在留資格を所持していても就労が可能かなどの確認が必要となります。

 

なお、この不法就労助長罪は、刑罰が科されることからもわかるように、行政処分ではなく、「刑罰」に該当します。

 

行政処分と刑事罰

行政処分と刑事罰との違い

今までご説明した「行政処分」と「刑罰」ですが、どのような違いがあるのでしょうか。

最もわかりやすいのは、車の運転に関する事例です。

 

例えば、速度違反や飲酒運転などを行ったことによって、免停や免許取り消しの処分を受けることがあります。

 

この処分は、公安委員会の管轄ですから、行政処分です。

 

一方、飲酒運転で事故を起こして人を死傷させた場合、「自動車運転過失死傷罪」などに問われ、起訴、裁判を経て、罰金や懲役、禁錮刑などが科されます。これを刑事罰と言います。

 

簡単に言うと、起訴、裁判を経て、ペナルティが科された場合が、刑事罰です。

再入国

日本で罰せられた外国人が、再度日本に入国する際には、基本的に拒否されますが、それが行政処分だったか刑事罰だったかによって、違ってきます。

 

入管法第5条には、「上陸の拒否」について記載されています。その第5条の「第5号」には、「刑に処せられた者」として、以下の人が再入国できないとされています。

 

「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、1年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし政治犯罪により刑に処せられた者は、この限りでない。 」

 

(1) 「これらに相当する刑」とは、一定の矯正施設、労働施設等への収容であって懲役、禁錮に相当するもの言います

(2) 「刑に処せられた」とは、歴史的事実として刑に処せられたことを言い、刑の確定があれば足り、刑の執行を受けたか否か、刑の執行を終えているかは問いません。

(3) 「刑に処せられたことのある者」には、執行猶予期間中の者、執行猶予期間を無事経過した者、刑法の規定により刑の言い渡しの効力が消滅した者(刑第34条の2)、恩赦法の規定により刑の言い渡しの効力が消滅した者も含まれます。

 (4) 不定期刑については、その長期が1年以上であることを要します。併合罪で主 文が2つ以上ある場合は、各主文の刑によります。

 

以上のように、刑事罰に処せられた外国人は、再入国することはできません。

 

但し、刑の執行終了から5年経過している場合、または人道上配慮すべき場合には上陸特別許可の可能性があります。

 

まとめ

在留する外国人が、行政処分で退去強制したのか、あるいは刑罰で退去強制したのかによって、再入国できるかどうかが決まってきます。

 

基本的には、刑罰によって本国に強制送還された場合は、一定期間再入国できません。

 

行政書士 井上通夫 (ウェブサイト)

熊本県出身。福岡大学法学部法律学科卒業。在学中は、新聞部編集長として、学内新聞を発行。憲法・行政法ゼミ(石村ゼミ第18期生)所属。大学卒業後は、大手信販会社、大手学習塾に勤務。平成18年度行政書士試験に合格後、平成20年7月福岡市で行政書士事務所を開業、現在に至る。扱う案件は、主に相続・遺言、民事法務(内容証明・契約書・離婚協議書等)、公益法人業務(社団・財団法人)など幅広く対応。

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